35 / 50
第35話「鳥料理大好き!」
しおりを挟む
新装なった城の大広間……
『勇者タウン』同様、これまたドヴェルグとスパルトイ軍団が城内の家具を全て新調した。
真新しい大きなテーブルの上には、料理を載せた皿がずらりと並べられていた。
今日の夕食は鳥肉料理。
と、いっても鶏肉ではない。
ダンとスオメタルが風の魔法弾で撃った魔境に生息する鳥である。
キジ、ヤマドリ、ライチョウなどに似た鳥であり、魔王軍討伐の際、
捕えて食べた事があった。
料理する事が大好きなダンはリフォームされた厨房で一層気合が入る。
この厨房はダンのリクエストにより、使い勝手が良いように様々な工夫がされていた。
魔導かまど、魔導給湯器、魔導グリル、魔導オーブン、魔導蒸し器、魔導粉ひき器など……
魔力で調理する様々な調理器具が備え付けられているのは勿論、
木目が新しい大型の収納棚にはフライパン、鍋、加熱用ポットなどの調理道具。
食器棚には美しく殺菌効果に優れた銀製食器をメインに、平皿、深皿、水差し、
カップ、塩入れ、鉢、壺、ワイン入れ等々……
ナイフにフォーク、テーブルクロスやナプキンまでが既にセットされている。
また、大量の食糧が保存出来る地下倉庫が新たに作られ、数多の食材とともに、
飲み水や酒、飲料が詰められた大量の樽が並んでいた。
冷凍保存可能なように水属性魔法で作動する氷室も併設してあった。
さてさて!
ふたりが捕えた鳥は既に肉片となっていた。
血抜きをし、羽を取り、内臓を除去し、水洗いした後、
適度な大きさに切っておいたのである。
すぐ調理出来るよう『したごしらえ』もほぼ完了していた。
ダンが主導し、スオメタルが手際よく手伝いながら、
厨房でふたりは夕食を作って行く。
メニューは下記の通りである。
まず、鳥と野菜のコンソメスープ。
これは、キャベツとにんじん、そしてニンニクも使用。
鳥と野菜の旨味を活かした、コンソメスープである。
「これクリームシチューもいけるぞ」
「わお! 美味しそうでございます! 次回が楽しみでございますね!」
「しょうがや焼きネギを使っても美味いぞ!」
「わお! わお! わお!」
次に鳥の手羽先焼き。
こちらもニンニクを使用。
事前にすりおろしたニンニクを鳥肉に塗り、したごしらえ。
魔導オーブンで焼くシンプルなモノ。
お好みで胡椒、レモンをかけると、もっと美味しい。
「次回はケッパー」を使ってもと話し、ダンとスオメタルはますます盛り上がる。
その次はワイン蒸し。
フライパンで野菜、キノコと炒めた鳥肉をふたをしてワインで蒸す。
最後は鳥のアヒージョ。
またまたニンニク使用。
塩と共に事前に鳥肉へすりこみ、オリーブオイルに浸しておく。
フライパンで焼いて出来上がり。
こちらも比較的簡単に作る事が出来る。
いずれも、料理初心者のスオメタル向きである。
数種のパン、サラダも当然用意する。
飲み物はキンキンに冷えた白ワイン。
さてさて結果は……
立ち昇る香りからして、美味しいのは100%確定なのだが……
口に含んだ瞬間。
ダンとスオメタルは、満面の笑み。
「おお! うま!」
「マスター! いつもながら、激うっま! でございます!」
こうなると食欲が更に旺盛に、会話も弾む。
「うん! やっぱりこの鳥、ニワトリに近い。でも野生の味って感じだ」
「いえ~す! マスター、卵も食べたい! スオメタルがお世話しますからニワトリ飼いましょ!」
「おお! いいな! 王都で仕入れて来るか! 俺も世話するぞ! それに鶏肉使うと同じ料理でも、味が変わるしな!」
「本当でございますか? 楽しみでございます!」
「ああ、経験上そう思う。でも確約は出来ないぞ!」
「うふふ、大丈夫でございます! どちらにしても美味しいのは間違いなしでございますゆえ!」
「あはは、そうだな!」
「スオメタル、またスクランブルエッグ食べたいでございます! その次はオムレツも! 卵料理大好きでございます! いっぱい教えてくださいませませ~!」
更に会話は盛り上がり、夢はふくらんで行く。
ふたりの人生はこれまで暗く重かった。
いろいろな経緯の末、天涯孤独でもあった。
だから今や、信じ合い、愛し愛される相手が居るのはとても素晴らしい。
いろいろな未来を想像するのも楽しい。
語り合いながら、ふたりはそう実感していたのである。
『勇者タウン』同様、これまたドヴェルグとスパルトイ軍団が城内の家具を全て新調した。
真新しい大きなテーブルの上には、料理を載せた皿がずらりと並べられていた。
今日の夕食は鳥肉料理。
と、いっても鶏肉ではない。
ダンとスオメタルが風の魔法弾で撃った魔境に生息する鳥である。
キジ、ヤマドリ、ライチョウなどに似た鳥であり、魔王軍討伐の際、
捕えて食べた事があった。
料理する事が大好きなダンはリフォームされた厨房で一層気合が入る。
この厨房はダンのリクエストにより、使い勝手が良いように様々な工夫がされていた。
魔導かまど、魔導給湯器、魔導グリル、魔導オーブン、魔導蒸し器、魔導粉ひき器など……
魔力で調理する様々な調理器具が備え付けられているのは勿論、
木目が新しい大型の収納棚にはフライパン、鍋、加熱用ポットなどの調理道具。
食器棚には美しく殺菌効果に優れた銀製食器をメインに、平皿、深皿、水差し、
カップ、塩入れ、鉢、壺、ワイン入れ等々……
ナイフにフォーク、テーブルクロスやナプキンまでが既にセットされている。
また、大量の食糧が保存出来る地下倉庫が新たに作られ、数多の食材とともに、
飲み水や酒、飲料が詰められた大量の樽が並んでいた。
冷凍保存可能なように水属性魔法で作動する氷室も併設してあった。
さてさて!
ふたりが捕えた鳥は既に肉片となっていた。
血抜きをし、羽を取り、内臓を除去し、水洗いした後、
適度な大きさに切っておいたのである。
すぐ調理出来るよう『したごしらえ』もほぼ完了していた。
ダンが主導し、スオメタルが手際よく手伝いながら、
厨房でふたりは夕食を作って行く。
メニューは下記の通りである。
まず、鳥と野菜のコンソメスープ。
これは、キャベツとにんじん、そしてニンニクも使用。
鳥と野菜の旨味を活かした、コンソメスープである。
「これクリームシチューもいけるぞ」
「わお! 美味しそうでございます! 次回が楽しみでございますね!」
「しょうがや焼きネギを使っても美味いぞ!」
「わお! わお! わお!」
次に鳥の手羽先焼き。
こちらもニンニクを使用。
事前にすりおろしたニンニクを鳥肉に塗り、したごしらえ。
魔導オーブンで焼くシンプルなモノ。
お好みで胡椒、レモンをかけると、もっと美味しい。
「次回はケッパー」を使ってもと話し、ダンとスオメタルはますます盛り上がる。
その次はワイン蒸し。
フライパンで野菜、キノコと炒めた鳥肉をふたをしてワインで蒸す。
最後は鳥のアヒージョ。
またまたニンニク使用。
塩と共に事前に鳥肉へすりこみ、オリーブオイルに浸しておく。
フライパンで焼いて出来上がり。
こちらも比較的簡単に作る事が出来る。
いずれも、料理初心者のスオメタル向きである。
数種のパン、サラダも当然用意する。
飲み物はキンキンに冷えた白ワイン。
さてさて結果は……
立ち昇る香りからして、美味しいのは100%確定なのだが……
口に含んだ瞬間。
ダンとスオメタルは、満面の笑み。
「おお! うま!」
「マスター! いつもながら、激うっま! でございます!」
こうなると食欲が更に旺盛に、会話も弾む。
「うん! やっぱりこの鳥、ニワトリに近い。でも野生の味って感じだ」
「いえ~す! マスター、卵も食べたい! スオメタルがお世話しますからニワトリ飼いましょ!」
「おお! いいな! 王都で仕入れて来るか! 俺も世話するぞ! それに鶏肉使うと同じ料理でも、味が変わるしな!」
「本当でございますか? 楽しみでございます!」
「ああ、経験上そう思う。でも確約は出来ないぞ!」
「うふふ、大丈夫でございます! どちらにしても美味しいのは間違いなしでございますゆえ!」
「あはは、そうだな!」
「スオメタル、またスクランブルエッグ食べたいでございます! その次はオムレツも! 卵料理大好きでございます! いっぱい教えてくださいませませ~!」
更に会話は盛り上がり、夢はふくらんで行く。
ふたりの人生はこれまで暗く重かった。
いろいろな経緯の末、天涯孤独でもあった。
だから今や、信じ合い、愛し愛される相手が居るのはとても素晴らしい。
いろいろな未来を想像するのも楽しい。
語り合いながら、ふたりはそう実感していたのである。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
パーティーから追放され婚約者を寝取られ家から勘当、の三拍子揃った元貴族は、いずれ竜をも倒す大英雄へ ~もはやマイナスからの成り上がり英雄譚~
一条おかゆ
ファンタジー
貴族の青年、イオは冒険者パーティーの中衛。
彼はレベルの低さゆえにパーティーを追放され、さらに婚約者を寝取られ、家からも追放されてしまう。
全てを失って悲しみに打ちひしがれるイオだったが、騎士学校時代の同級生、ベガに拾われる。
「──イオを勧誘しにきたんだ」
ベガと二人で新たなパーティーを組んだイオ。
ダンジョンへと向かい、そこで自身の本当の才能──『対人能力』に気が付いた。
そして心機一転。
「前よりも強いパーティーを作って、前よりも良い婚約者を貰って、前よりも格の高い家の者となる」
今までの全てを見返すことを目標に、彼は成り上がることを決意する。
これは、そんな英雄譚。
拾った子犬がケルベロスでした~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~
荒井竜馬
ファンタジー
旧題: ケルベロスを拾った少年、パーティ追放されたけど実は絶滅した古代魔法の使い手だったので、愛犬と共に成り上がります。
=========================
<<<<第4回次世代ファンタジーカップ参加中>>>>
参加時325位 → 現在5位!
応援よろしくお願いします!(´▽`)
=========================
S級パーティに所属していたソータは、ある日依頼最中に仲間に崖から突き落とされる。
ソータは基礎的な魔法しか使えないことを理由に、仲間に裏切られたのだった。
崖から落とされたソータが死を覚悟したとき、ソータは地獄を追放されたというケルベロスに偶然命を助けられる。
そして、どう見ても可愛らしい子犬しか見えない自称ケルベロスは、ソータの従魔になりたいと言い出すだけでなく、ソータが使っている魔法が古代魔であることに気づく。
今まで自分が規格外の古代魔法でパーティを守っていたことを知ったソータは、古代魔法を扱って冒険者として成長していく。
そして、ソータを崖から突き落とした本当の理由も徐々に判明していくのだった。
それと同時に、ソータを追放したパーティは、本当の力が明るみになっていってしまう。
ソータの支援魔法に頼り切っていたパーティは、C級ダンジョンにも苦戦するのだった……。
他サイトでも掲載しています。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!
桜井正宗
ファンタジー
辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。
そんな努力もついに報われる日が。
ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。
日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。
仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。
※HOTランキング1位ありがとうございます!
※ファンタジー7位ありがとうございます!
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
『殺す』スキルを授かったけど使えなかったので追放されました。お願いなので静かに暮らさせてください。
晴行
ファンタジー
ぼっち高校生、冷泉刹華(れいぜい=せつか)は突然クラスごと異世界への召喚に巻き込まれる。スキル付与の儀式で物騒な名前のスキルを授かるも、試したところ大した能力ではないと判明。いじめをするようなクラスメイトに「ビビらせんな」と邪険にされ、そして聖女に「スキル使えないならいらないからどっか行け」と拷問されわずかな金やアイテムすら与えられずに放り出され、着の身着のままで異世界をさまよう羽目になる。しかし路頭に迷う彼はまだ気がついていなかった。自らのスキルのあまりのチートさゆえ、世界のすべてを『殺す』権利を手に入れてしまったことを。不思議なことに自然と集まってくる可愛い女の子たちを襲う、残酷な運命を『殺し』、理不尽に偉ぶった奴らや強大な敵、クラスメイト達を蚊を払うようにあしらう。おかしいな、俺は独りで静かに暮らしたいだけなんだがと思いながら――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる