26 / 50
第26話「土いじり②」
しおりを挟む
ダンは魔王を倒した元勇者……
スオメタルは単身、悪魔の大群と渡り合った最強の自動人形。
そして農業のプロといえる50体余のスパルトイ軍団……
いくら3倍に目標を課しても、畑仕事は……楽勝だった。
全員で普通の農機具を使って作業したが、ものの30分もかからなかったのだ。
ちなみに、スパルトイ達のアドバイスも受けながら、用意した腐葉土をたっぷり、更に石灰も入れてある。
スオメタルは何度も頷きながら、作業を続けている。
成る程! とか、勉強になる!
と、繰り返し口にしていた。
気合が相当入っているらしく、目が輝いている。
『成る程……腐葉土とは、植物や作物を育てる土を改善する為の堆肥なのですね』
『ああ、そうだ。今回使用したのは地の魔法で精製したものだが、天然の腐葉土も欲しいな。石灰は王都で購入したものだし』
『ふむふむ、腐葉土とは、枯れて落ちた樹木の葉や枝が長い年月をかけて、土状になったものと……』
『その通り!』
『そして石灰とは消石灰なのですね。石灰岩などの主成分を1,100℃ほどに加熱する、と……OKです。昨夜ご説明頂いた、ろ過装置地やシャツの網同様、私の魔導回路に記憶させました!』
ここでダン、スオメタルとスパルトイリーダー始め、スパルトイ軍団との間で、熱く話が交わされた。
次は種まきなのだが……
結局、数日後までに、何を植えるのか検討する事となった。
ダンとスオメタルの希望を聞いたスパルトイ達が、いろいろとアドバイスする形になる。
春に植える野菜という事で考えて欲しいという話が告げられた。
『よし! という事で畑仕事は本日のノルマ完了! っておい、大丈夫か、スオメタル』
と、良く見れば……
疲れていないはずのスオメタルの表情が少しだけ暗い。
『はい、マスター。私の苦手なミミズが……たくさん出現しましたので、気分がちょっと……でも! マスターに排除して頂いたから、大丈夫! 無事任務完了……でございますね』
ここで、「なあんだ。ミミズ?」などと言えば、スオメタルの乙女心を傷つける。
当然ダンはそのように愚かな行為はしない。
こういった恋愛知識も、ダンはアンジェリーヌの命令で散々読み聞かせさせられた、恋愛ロマンス小説から得ていた。
当然、スオメタルには内緒の黒歴史である。
余計な事は一切言わず、優しくフォローだけするのが吉だ。
『まあ、ミミズは土を良くしてくれるから、殺せない。スオメタルの見えない場所に移すだけ、まあ俺に任せろ』
『助かります!』
『それに俺もゴキブリが苦手だからなぁ。気持ちは分かる』
『うふふ、私もゴキブリは苦手でございます。私とマスターは似た者夫婦でございますゆえ』
と、ここでまたまた、スパルトイリーダーが進み出た。
まだまだ働き足りないという波動を放っていた。
『ダン様、まだまだ時間がありますので、我々だけでもう少し畑を広げたいのですが』
『良いのか?』
『はい! その後に種まきの打合せも行っておきます。ベストな提案をさせて頂きます』
『悪いな、何から何まで』
『いいえ、戦うのも好きですが、我々スパルトイはやはり根っからの農民。先ほども申しましたように農作業は大好きですから』
『じゃあ、任せる。ありがとう! 終わったら、武道訓練でもしておいてくれ』
『スオメタルからも、お礼を言わせて頂くでございます。ありがとうでございます』
ダンがOKすると、スパルトイリーダーは早速、仲間の下へ行き、何やら相談を始めた。
『うふふ、マスター。彼等に大が付く感謝を致します! では! いよいよでございますね!』
『ははは、だな! と、なれば』
『いよいよデートタイムに、とつ、にゅうでございます』
『よっし、早速出かけよう!』
『ラジャーでございます』
ダンは、二振りの鞘入りスクラマサクスを腕輪から出し、
ひとつをスオメタルへ渡し、もうひとつを自分の腰から提げた。
『頑丈で、切れ味抜群。魔力伝導率の高いミスリル合金製のスクラマサクスだ。俺が作った』
『ありがとうございます。お揃いの探索用の剣でございますね、さすがです、マスター。素晴らしい出来栄えでございます』
『サンキュ! このスクラマサクスも、通常使ってるオリハルコンの魔法剣同様、属性魔法が付呪出来る。じゃあ行こう』
『はいっ!』
ダンの差し出した手を、スオメタルはしっかり握った。
手をつなぐのは、ダンからスオメタルへの単なる魔力の補給ではない。
確かな魂の絆が、ふたりにはしっかりと結ばれつつあったのである。
スオメタルは単身、悪魔の大群と渡り合った最強の自動人形。
そして農業のプロといえる50体余のスパルトイ軍団……
いくら3倍に目標を課しても、畑仕事は……楽勝だった。
全員で普通の農機具を使って作業したが、ものの30分もかからなかったのだ。
ちなみに、スパルトイ達のアドバイスも受けながら、用意した腐葉土をたっぷり、更に石灰も入れてある。
スオメタルは何度も頷きながら、作業を続けている。
成る程! とか、勉強になる!
と、繰り返し口にしていた。
気合が相当入っているらしく、目が輝いている。
『成る程……腐葉土とは、植物や作物を育てる土を改善する為の堆肥なのですね』
『ああ、そうだ。今回使用したのは地の魔法で精製したものだが、天然の腐葉土も欲しいな。石灰は王都で購入したものだし』
『ふむふむ、腐葉土とは、枯れて落ちた樹木の葉や枝が長い年月をかけて、土状になったものと……』
『その通り!』
『そして石灰とは消石灰なのですね。石灰岩などの主成分を1,100℃ほどに加熱する、と……OKです。昨夜ご説明頂いた、ろ過装置地やシャツの網同様、私の魔導回路に記憶させました!』
ここでダン、スオメタルとスパルトイリーダー始め、スパルトイ軍団との間で、熱く話が交わされた。
次は種まきなのだが……
結局、数日後までに、何を植えるのか検討する事となった。
ダンとスオメタルの希望を聞いたスパルトイ達が、いろいろとアドバイスする形になる。
春に植える野菜という事で考えて欲しいという話が告げられた。
『よし! という事で畑仕事は本日のノルマ完了! っておい、大丈夫か、スオメタル』
と、良く見れば……
疲れていないはずのスオメタルの表情が少しだけ暗い。
『はい、マスター。私の苦手なミミズが……たくさん出現しましたので、気分がちょっと……でも! マスターに排除して頂いたから、大丈夫! 無事任務完了……でございますね』
ここで、「なあんだ。ミミズ?」などと言えば、スオメタルの乙女心を傷つける。
当然ダンはそのように愚かな行為はしない。
こういった恋愛知識も、ダンはアンジェリーヌの命令で散々読み聞かせさせられた、恋愛ロマンス小説から得ていた。
当然、スオメタルには内緒の黒歴史である。
余計な事は一切言わず、優しくフォローだけするのが吉だ。
『まあ、ミミズは土を良くしてくれるから、殺せない。スオメタルの見えない場所に移すだけ、まあ俺に任せろ』
『助かります!』
『それに俺もゴキブリが苦手だからなぁ。気持ちは分かる』
『うふふ、私もゴキブリは苦手でございます。私とマスターは似た者夫婦でございますゆえ』
と、ここでまたまた、スパルトイリーダーが進み出た。
まだまだ働き足りないという波動を放っていた。
『ダン様、まだまだ時間がありますので、我々だけでもう少し畑を広げたいのですが』
『良いのか?』
『はい! その後に種まきの打合せも行っておきます。ベストな提案をさせて頂きます』
『悪いな、何から何まで』
『いいえ、戦うのも好きですが、我々スパルトイはやはり根っからの農民。先ほども申しましたように農作業は大好きですから』
『じゃあ、任せる。ありがとう! 終わったら、武道訓練でもしておいてくれ』
『スオメタルからも、お礼を言わせて頂くでございます。ありがとうでございます』
ダンがOKすると、スパルトイリーダーは早速、仲間の下へ行き、何やら相談を始めた。
『うふふ、マスター。彼等に大が付く感謝を致します! では! いよいよでございますね!』
『ははは、だな! と、なれば』
『いよいよデートタイムに、とつ、にゅうでございます』
『よっし、早速出かけよう!』
『ラジャーでございます』
ダンは、二振りの鞘入りスクラマサクスを腕輪から出し、
ひとつをスオメタルへ渡し、もうひとつを自分の腰から提げた。
『頑丈で、切れ味抜群。魔力伝導率の高いミスリル合金製のスクラマサクスだ。俺が作った』
『ありがとうございます。お揃いの探索用の剣でございますね、さすがです、マスター。素晴らしい出来栄えでございます』
『サンキュ! このスクラマサクスも、通常使ってるオリハルコンの魔法剣同様、属性魔法が付呪出来る。じゃあ行こう』
『はいっ!』
ダンの差し出した手を、スオメタルはしっかり握った。
手をつなぐのは、ダンからスオメタルへの単なる魔力の補給ではない。
確かな魂の絆が、ふたりにはしっかりと結ばれつつあったのである。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
パーティーから追放され婚約者を寝取られ家から勘当、の三拍子揃った元貴族は、いずれ竜をも倒す大英雄へ ~もはやマイナスからの成り上がり英雄譚~
一条おかゆ
ファンタジー
貴族の青年、イオは冒険者パーティーの中衛。
彼はレベルの低さゆえにパーティーを追放され、さらに婚約者を寝取られ、家からも追放されてしまう。
全てを失って悲しみに打ちひしがれるイオだったが、騎士学校時代の同級生、ベガに拾われる。
「──イオを勧誘しにきたんだ」
ベガと二人で新たなパーティーを組んだイオ。
ダンジョンへと向かい、そこで自身の本当の才能──『対人能力』に気が付いた。
そして心機一転。
「前よりも強いパーティーを作って、前よりも良い婚約者を貰って、前よりも格の高い家の者となる」
今までの全てを見返すことを目標に、彼は成り上がることを決意する。
これは、そんな英雄譚。
拾った子犬がケルベロスでした~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~
荒井竜馬
ファンタジー
旧題: ケルベロスを拾った少年、パーティ追放されたけど実は絶滅した古代魔法の使い手だったので、愛犬と共に成り上がります。
=========================
<<<<第4回次世代ファンタジーカップ参加中>>>>
参加時325位 → 現在5位!
応援よろしくお願いします!(´▽`)
=========================
S級パーティに所属していたソータは、ある日依頼最中に仲間に崖から突き落とされる。
ソータは基礎的な魔法しか使えないことを理由に、仲間に裏切られたのだった。
崖から落とされたソータが死を覚悟したとき、ソータは地獄を追放されたというケルベロスに偶然命を助けられる。
そして、どう見ても可愛らしい子犬しか見えない自称ケルベロスは、ソータの従魔になりたいと言い出すだけでなく、ソータが使っている魔法が古代魔であることに気づく。
今まで自分が規格外の古代魔法でパーティを守っていたことを知ったソータは、古代魔法を扱って冒険者として成長していく。
そして、ソータを崖から突き落とした本当の理由も徐々に判明していくのだった。
それと同時に、ソータを追放したパーティは、本当の力が明るみになっていってしまう。
ソータの支援魔法に頼り切っていたパーティは、C級ダンジョンにも苦戦するのだった……。
他サイトでも掲載しています。
ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!
桜井正宗
ファンタジー
辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。
そんな努力もついに報われる日が。
ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。
日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。
仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。
※HOTランキング1位ありがとうございます!
※ファンタジー7位ありがとうございます!
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
『殺す』スキルを授かったけど使えなかったので追放されました。お願いなので静かに暮らさせてください。
晴行
ファンタジー
ぼっち高校生、冷泉刹華(れいぜい=せつか)は突然クラスごと異世界への召喚に巻き込まれる。スキル付与の儀式で物騒な名前のスキルを授かるも、試したところ大した能力ではないと判明。いじめをするようなクラスメイトに「ビビらせんな」と邪険にされ、そして聖女に「スキル使えないならいらないからどっか行け」と拷問されわずかな金やアイテムすら与えられずに放り出され、着の身着のままで異世界をさまよう羽目になる。しかし路頭に迷う彼はまだ気がついていなかった。自らのスキルのあまりのチートさゆえ、世界のすべてを『殺す』権利を手に入れてしまったことを。不思議なことに自然と集まってくる可愛い女の子たちを襲う、残酷な運命を『殺し』、理不尽に偉ぶった奴らや強大な敵、クラスメイト達を蚊を払うようにあしらう。おかしいな、俺は独りで静かに暮らしたいだけなんだがと思いながら――。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる