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第24話「恋と食の楽しみ」
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心の距離を、ぐっと縮めたふたりは……
仲良く一緒に着替え、厨房へ入り朝食の支度をした。
ダンは自給自足を目指しているが、まだまだこれから。
ちなみに農業を本業とするつもりはダンにはなく、
自分達が食べる分だけ収穫出来ればOKと考えている。
というか、ダンもスオメタルも農業のスキルを全く持ってはいない。
すべて書物や口頭の受け売りで知った知識である。
だが、半士半農のスパルトイ軍団が加わってくれた。
彼等の知識と労働力は役に立ちそうだ。
先行きは明るい。
農業に限らず、ダンとスオメタルのモットーは、トライアル&エラー。
試行錯誤しながら、進んでいけば良い。
失敗したら、すぐやり直す、他の方法を試してみる。
という肩肘張らない生き方をしようと決めていた。
さてさて!
今朝の朝食は前日大量に買ってあったライ麦パンをふたつ、ダンの収納腕輪から出して温め、大好きなジャムを塗る。
そして、熱い紅茶を併せて飲むシンプルなモノ。
ダンとスオメタルが特に好きなのは、
果肉たっぷりなアプリコットジャム。
「うっまいなぁ!」
「最高でございまっす。激うまでございまっす!」
当然ながら……
大量に買って、ダンの収納腕輪に備蓄していた。
「一番大事な水の手配は俺に任せてくれ。準備は万全だ」
「マスターが全部、用意すると仰っておりましたでございますよね?」
「うん! 井戸は中古品だが、ジャンク屋の経験を活かして俺が完全にレストア済み。ふた付き、魔導ポンプ付きの強力なモノだ。後は設置するだけさ」
「お~、素敵でございます!」
「うん! バッチリさ!」
「うふふ、バックアップもバッチリでございますよ。万が一、井戸が使用不能な際は、私もマスターも水属性の魔法が使えるでございますもの」
「うん! よっし、完璧だ! 昨夜説明したろ過装置も予備があるから、井戸の脇に置こう」
「バッチリでございます。外でも美味しい紅茶が飲めるでございます」
「だな! 水がOKならば、スパルトイ達と協力し、畑を完成させよう。まずは土を起こして肥料を入れようか。いわゆる土作りだ。腐葉土と石灰が良いだろう」
「腐葉土? 石灰? 聞いた事はありますが……いまいち分からないので、詳しく教えてくださいませませっ!」
「了解!」
「でも畑って! わお! いよいよ開拓の第一歩でございますねっ!」
「だな! 畑に植える作物はいろいろと考えようか。保存食を備蓄する事を想定し、何を栽培して行くか考えるのが賢明だろう」
「保存食? でございますか?」
「おう! 長期保存が可能で、いつでも食べられるモノを作り備蓄しておく。冬季など食べ物が手に入り難い時期の対策だ」
「成る程!」
「スオメタル、良いかい? 常に最悪のケースを考えておくんだ。魔法が使えなくなる。活動不能になる。そして食べ物が採取出来なくなるとかな」
「そうなると、マスターも私も、とっても困るでございますね」
「うん! というわけで、保存食の備蓄は必須というロジックが成立するのさ。保存食は、俺達の命を支えてくれるからな」
「な、成る程! 御意でございます!」
「具体的に言えば、まず野菜は、いろいろな素材をはちみつ漬け、もしくは酢漬け――ピクルスにしたり、魔導暖炉で乾燥させたり、天日干しも良いな。今、食べてるジャムだって、そうだ! いずれは自作したい。不明な点はスパルトイ達へ聞こう」
「あはは、私もマスターもジャム大好きでっすもの! 美味しそ~、面白そ~でございまっす!」
「おう! 野菜だけじゃないぞ、塩漬け肉や燻製肉も俺は大好きだ。魚を釣って干物にしても美味い!」
食べ物の話が異様に盛り上がる。
時間があっという間に過ぎて行く。
「な、成る程! いろいろあるでございますね~。マスターが恋と食の楽しみを与えてくれたでございますから、大感謝でございます!!」
「おう、良かったなあ!」
「は~い! 復活してからのスオメタルは、悪魔に壊される以前よりも人生が何億倍も楽しいのでございます」
「お、おう! 恋と食の楽しみで、何億倍も楽しい人生か! うん! 成る程な!」
「いえ~す! ところで、マスター。具体的には畑に何を植えるでございますか?」
「ああ、カブ、ダイコン、ニンジン、キュウリ、キャベツ、あと豆類も良いかもしれないな! 種や苗も既に王都でめぼしいモノは購入済み、収納の腕輪へ入れてあるぞ」
「わお! やった~! そういう大事なものなら私も文句は言いませぬ」
「ええっと……畑を開いた後は、天気も良さそうだし、野外での採取も兼ねて、城の周囲を探索しようか? 天然の腐葉土も探してみよう。見つけたら、転移魔法で畑へ送ってしまえば良い! ちなみに投入は腐葉土、石灰の順番だな」
「了解でっす! でもでも! マスターと野外デートなんて、本当に素敵でございます。嬉しいです!」
「ははは、だな! さあ、ひと休みしたら、早速戦闘開始だ! レッツラゴー!」
「お~!」
ダンとスオメタルは決意を確認するが如く、軽く互いの拳を合わせた。
こうして……
ジャンク屋経験がある追放された元勇者と、
旧き時代の戦闘用自動人形の奇妙な……否、素敵な共同生活が……
人外が跋扈する魔境での、波乱万丈な辺境開拓が……
いよいよ本格的に始まったのである。
仲良く一緒に着替え、厨房へ入り朝食の支度をした。
ダンは自給自足を目指しているが、まだまだこれから。
ちなみに農業を本業とするつもりはダンにはなく、
自分達が食べる分だけ収穫出来ればOKと考えている。
というか、ダンもスオメタルも農業のスキルを全く持ってはいない。
すべて書物や口頭の受け売りで知った知識である。
だが、半士半農のスパルトイ軍団が加わってくれた。
彼等の知識と労働力は役に立ちそうだ。
先行きは明るい。
農業に限らず、ダンとスオメタルのモットーは、トライアル&エラー。
試行錯誤しながら、進んでいけば良い。
失敗したら、すぐやり直す、他の方法を試してみる。
という肩肘張らない生き方をしようと決めていた。
さてさて!
今朝の朝食は前日大量に買ってあったライ麦パンをふたつ、ダンの収納腕輪から出して温め、大好きなジャムを塗る。
そして、熱い紅茶を併せて飲むシンプルなモノ。
ダンとスオメタルが特に好きなのは、
果肉たっぷりなアプリコットジャム。
「うっまいなぁ!」
「最高でございまっす。激うまでございまっす!」
当然ながら……
大量に買って、ダンの収納腕輪に備蓄していた。
「一番大事な水の手配は俺に任せてくれ。準備は万全だ」
「マスターが全部、用意すると仰っておりましたでございますよね?」
「うん! 井戸は中古品だが、ジャンク屋の経験を活かして俺が完全にレストア済み。ふた付き、魔導ポンプ付きの強力なモノだ。後は設置するだけさ」
「お~、素敵でございます!」
「うん! バッチリさ!」
「うふふ、バックアップもバッチリでございますよ。万が一、井戸が使用不能な際は、私もマスターも水属性の魔法が使えるでございますもの」
「うん! よっし、完璧だ! 昨夜説明したろ過装置も予備があるから、井戸の脇に置こう」
「バッチリでございます。外でも美味しい紅茶が飲めるでございます」
「だな! 水がOKならば、スパルトイ達と協力し、畑を完成させよう。まずは土を起こして肥料を入れようか。いわゆる土作りだ。腐葉土と石灰が良いだろう」
「腐葉土? 石灰? 聞いた事はありますが……いまいち分からないので、詳しく教えてくださいませませっ!」
「了解!」
「でも畑って! わお! いよいよ開拓の第一歩でございますねっ!」
「だな! 畑に植える作物はいろいろと考えようか。保存食を備蓄する事を想定し、何を栽培して行くか考えるのが賢明だろう」
「保存食? でございますか?」
「おう! 長期保存が可能で、いつでも食べられるモノを作り備蓄しておく。冬季など食べ物が手に入り難い時期の対策だ」
「成る程!」
「スオメタル、良いかい? 常に最悪のケースを考えておくんだ。魔法が使えなくなる。活動不能になる。そして食べ物が採取出来なくなるとかな」
「そうなると、マスターも私も、とっても困るでございますね」
「うん! というわけで、保存食の備蓄は必須というロジックが成立するのさ。保存食は、俺達の命を支えてくれるからな」
「な、成る程! 御意でございます!」
「具体的に言えば、まず野菜は、いろいろな素材をはちみつ漬け、もしくは酢漬け――ピクルスにしたり、魔導暖炉で乾燥させたり、天日干しも良いな。今、食べてるジャムだって、そうだ! いずれは自作したい。不明な点はスパルトイ達へ聞こう」
「あはは、私もマスターもジャム大好きでっすもの! 美味しそ~、面白そ~でございまっす!」
「おう! 野菜だけじゃないぞ、塩漬け肉や燻製肉も俺は大好きだ。魚を釣って干物にしても美味い!」
食べ物の話が異様に盛り上がる。
時間があっという間に過ぎて行く。
「な、成る程! いろいろあるでございますね~。マスターが恋と食の楽しみを与えてくれたでございますから、大感謝でございます!!」
「おう、良かったなあ!」
「は~い! 復活してからのスオメタルは、悪魔に壊される以前よりも人生が何億倍も楽しいのでございます」
「お、おう! 恋と食の楽しみで、何億倍も楽しい人生か! うん! 成る程な!」
「いえ~す! ところで、マスター。具体的には畑に何を植えるでございますか?」
「ああ、カブ、ダイコン、ニンジン、キュウリ、キャベツ、あと豆類も良いかもしれないな! 種や苗も既に王都でめぼしいモノは購入済み、収納の腕輪へ入れてあるぞ」
「わお! やった~! そういう大事なものなら私も文句は言いませぬ」
「ええっと……畑を開いた後は、天気も良さそうだし、野外での採取も兼ねて、城の周囲を探索しようか? 天然の腐葉土も探してみよう。見つけたら、転移魔法で畑へ送ってしまえば良い! ちなみに投入は腐葉土、石灰の順番だな」
「了解でっす! でもでも! マスターと野外デートなんて、本当に素敵でございます。嬉しいです!」
「ははは、だな! さあ、ひと休みしたら、早速戦闘開始だ! レッツラゴー!」
「お~!」
ダンとスオメタルは決意を確認するが如く、軽く互いの拳を合わせた。
こうして……
ジャンク屋経験がある追放された元勇者と、
旧き時代の戦闘用自動人形の奇妙な……否、素敵な共同生活が……
人外が跋扈する魔境での、波乱万丈な辺境開拓が……
いよいよ本格的に始まったのである。
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