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第12話「新居探索②」
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ダンが放った強力な火の属性魔法『猛炎』
破邪の効果がある凄まじい炎が、ふたりへ襲いかかろうとした不死者、スケルトン達を、一瞬にして包み込む。
ダンとスオメタルが見守る中……
骸骨どもはあっという間に、燃え尽きて塵と化し、消え去った。
改めて確認した。
彼等が居た場所には……何も残っていない。
他の亡霊や不死者も恐れをなしたのか、現れない。
荒涼とした廃城は静寂に包まれていた。
苦笑したダンは軽く息を吐き、スオメタルは柔らかく微笑んだ。
『まあ、なんとか上手く行ったようだ』
『はい、ノープロブレムでございます。さすがはマスターの猛炎でございますね』
『まあ、そこそこのレベルの猛炎で大丈夫だったみたいだな』
『御意でございます。ご覧の通り、奴らは完全に燃え尽きたでございます。もうよみがえる事はございませぬ』
『まあ、そうだろう』
『はい! もしも本館にこいつらを操る親玉が巣食っていれば、不法占拠なので強制排除するでございます』
そう言うとスオメタルはビシッと最奥にある建物を指さした。
『だな! それと!』
『それと、とは……何でございますか?』
『うん! セザール王との約束で、残っているお宝は取り放題! だから、丁寧に探索しつつな!』
『成る程。結構荒らされているようですから、お宝は何もないと思うでございます……でもマスターの意向ならば、スオメタルは、とことん付き合うでございます。が、但し!』
『え? が、但しって?』
『何度も申し上げますが、ガラクタ、ゴミの類の回収は不可! 私のような超レベルのお宝以外、持ち帰りは絶対に禁止でございますよ』
『りょ、了解』
まるで、子供をしつける母のようなスオメタル。
苦笑し、頭を掻くダンは口ごもりつつ返事をした。
にっこり笑ったスオメタルは「すっ」と手を差し出した。
『マスター、魔力補給を兼ね、手をつなぐでございます』
『了解!』
今度は口ごもりなどしなかった。
さっと手を出したダンは、しっかりスオメタルの手を握ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
スオメタルの言った通りであり、ダンも承知はしていたが……
古城の本館内は想像以上に荒れ果て、所々壁が崩れ落ちていた。
通路や階段はふさがれ、先に進めなくなっている場所も数多あり、
ふたりは時には遮蔽物を破壊し、分断されいる場所では飛翔し、先へ進んだ。
様々な魔法を自在に駆使するダンとスオメタルならではの探索である。
これまで『わけあり案件』を難なくこなして来たのは、
ふたりに卓越した能力があったからだ。
巷に良く居る、根拠のない自信をふりかざす、
自称一流冒険者とは全く違っている。
さてさて!
この廃城の本館は、しっかりした石造りという事で、ダンの言う通り基礎はしっかりしていた。
しかしこのままでは、到底人が住める場所ではない。
お宝どころか……
誰も手をつけない、打ち捨てられた家具調度品も完全に朽ち果て、
ダンが欲する手直し可能な『ジャンク品』さえ皆無である。
放置された家具の残骸は、せいぜい燃料代わりの薪にしかならない。
無断で入り込んだ『先人達』が、
金になりそうなモノを一切合切持ち去ったに違いない。
周囲を隅々まで丹念に見て回るダンは、目に見えて分かるほど、落胆していた。
『やっぱり、何もないな~、残念だ~』
対して、スオメタルはきっぱり平然と。
『はい、人間あきらめが、肝心でございます。火にくべる薪など倒木が魔境にいくらでもありますゆえ』
『だな! 了解! 諦めよう、ホントにゴミばっかだ』
『それよりマスター、最奥にある大きな気配が親玉でございましょう。それに……そろそろ新手が出る気配でもございます』
『だな!』
スオメタルの指摘通り……
ふたりに対する重圧というか、不穏なプレッシャーが増していた。
敵意を持つ魂の残滓が侵入者たるふたりを認識し、
攻撃を加えようとしているのだ。
残滓の意思を統括し、無理やり操るのはスオメタルが指摘した、
最奥に居る『親玉』に間違いなかった。
『マスター』
『おう!』
『マスターに師事し、習得した葬送魔法、鎮魂歌を、私も試してみたいでございます』
『だな! ガンガン行ってみてくれ。魔力量を気にせずにな』
『嬉しいでございます。先ほど手をつなぎ魔力を充分に補填して頂いたから、ノープロブレムでございますゆえ』
スオメタルがそう言った瞬間。
出た!
この城の住人らしき同じ服装をした少女達の集団、
つまりメイド達の亡霊が大量に出現したのである。
城の住人は全員無事に逃げたと聞いていた。
だが、逃げ遅れたか、置き去りにされ、この城で果てたに違いない。
仕事熱心な者達だったのであろう。
哀れにもメイド特有のセリフを発して来る。
『ご主人様ぁ、御用は、ありませんか~』
『何でも~、お申し付けくださいませませ~』
『料理、洗濯に、掃除、何でもお任せくださいませませ~』
執拗に仕事を欲するメイド達が、気の毒だと感じたに違いない。
スオメタルの端麗な顔に悲しみがさす。
『ホント、可哀そうではございます。が……滅して、天へ逝かせ、リスタートさせるのが彼女達の幸福ゆえ、容赦なく魔法を行使させて頂くでございます』
スオメタルはダンほど、葬送魔法には長けていない。
無詠唱で行使は出来ない。
ダンに護られながら、彼女は詠唱を開始する。
『命の理《ことわり》を司る大いなる存在よ! 彼女達の魂は天空の貴方のもとに旅立った。残された魂の残滓を汝に返す御業《みわざ》を我に与えたまえ! 天よ! 道標を我に示せ!』
一瞬の間の後、
決めの言霊がスオメタルから発せられる。
『鎮魂歌!』
先ほどのダンと同じである。
スオメタルの拳から、眩い光が放たれた。
残滓となっていた少女達は、瞬く間に消滅したのであった。
破邪の効果がある凄まじい炎が、ふたりへ襲いかかろうとした不死者、スケルトン達を、一瞬にして包み込む。
ダンとスオメタルが見守る中……
骸骨どもはあっという間に、燃え尽きて塵と化し、消え去った。
改めて確認した。
彼等が居た場所には……何も残っていない。
他の亡霊や不死者も恐れをなしたのか、現れない。
荒涼とした廃城は静寂に包まれていた。
苦笑したダンは軽く息を吐き、スオメタルは柔らかく微笑んだ。
『まあ、なんとか上手く行ったようだ』
『はい、ノープロブレムでございます。さすがはマスターの猛炎でございますね』
『まあ、そこそこのレベルの猛炎で大丈夫だったみたいだな』
『御意でございます。ご覧の通り、奴らは完全に燃え尽きたでございます。もうよみがえる事はございませぬ』
『まあ、そうだろう』
『はい! もしも本館にこいつらを操る親玉が巣食っていれば、不法占拠なので強制排除するでございます』
そう言うとスオメタルはビシッと最奥にある建物を指さした。
『だな! それと!』
『それと、とは……何でございますか?』
『うん! セザール王との約束で、残っているお宝は取り放題! だから、丁寧に探索しつつな!』
『成る程。結構荒らされているようですから、お宝は何もないと思うでございます……でもマスターの意向ならば、スオメタルは、とことん付き合うでございます。が、但し!』
『え? が、但しって?』
『何度も申し上げますが、ガラクタ、ゴミの類の回収は不可! 私のような超レベルのお宝以外、持ち帰りは絶対に禁止でございますよ』
『りょ、了解』
まるで、子供をしつける母のようなスオメタル。
苦笑し、頭を掻くダンは口ごもりつつ返事をした。
にっこり笑ったスオメタルは「すっ」と手を差し出した。
『マスター、魔力補給を兼ね、手をつなぐでございます』
『了解!』
今度は口ごもりなどしなかった。
さっと手を出したダンは、しっかりスオメタルの手を握ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
スオメタルの言った通りであり、ダンも承知はしていたが……
古城の本館内は想像以上に荒れ果て、所々壁が崩れ落ちていた。
通路や階段はふさがれ、先に進めなくなっている場所も数多あり、
ふたりは時には遮蔽物を破壊し、分断されいる場所では飛翔し、先へ進んだ。
様々な魔法を自在に駆使するダンとスオメタルならではの探索である。
これまで『わけあり案件』を難なくこなして来たのは、
ふたりに卓越した能力があったからだ。
巷に良く居る、根拠のない自信をふりかざす、
自称一流冒険者とは全く違っている。
さてさて!
この廃城の本館は、しっかりした石造りという事で、ダンの言う通り基礎はしっかりしていた。
しかしこのままでは、到底人が住める場所ではない。
お宝どころか……
誰も手をつけない、打ち捨てられた家具調度品も完全に朽ち果て、
ダンが欲する手直し可能な『ジャンク品』さえ皆無である。
放置された家具の残骸は、せいぜい燃料代わりの薪にしかならない。
無断で入り込んだ『先人達』が、
金になりそうなモノを一切合切持ち去ったに違いない。
周囲を隅々まで丹念に見て回るダンは、目に見えて分かるほど、落胆していた。
『やっぱり、何もないな~、残念だ~』
対して、スオメタルはきっぱり平然と。
『はい、人間あきらめが、肝心でございます。火にくべる薪など倒木が魔境にいくらでもありますゆえ』
『だな! 了解! 諦めよう、ホントにゴミばっかだ』
『それよりマスター、最奥にある大きな気配が親玉でございましょう。それに……そろそろ新手が出る気配でもございます』
『だな!』
スオメタルの指摘通り……
ふたりに対する重圧というか、不穏なプレッシャーが増していた。
敵意を持つ魂の残滓が侵入者たるふたりを認識し、
攻撃を加えようとしているのだ。
残滓の意思を統括し、無理やり操るのはスオメタルが指摘した、
最奥に居る『親玉』に間違いなかった。
『マスター』
『おう!』
『マスターに師事し、習得した葬送魔法、鎮魂歌を、私も試してみたいでございます』
『だな! ガンガン行ってみてくれ。魔力量を気にせずにな』
『嬉しいでございます。先ほど手をつなぎ魔力を充分に補填して頂いたから、ノープロブレムでございますゆえ』
スオメタルがそう言った瞬間。
出た!
この城の住人らしき同じ服装をした少女達の集団、
つまりメイド達の亡霊が大量に出現したのである。
城の住人は全員無事に逃げたと聞いていた。
だが、逃げ遅れたか、置き去りにされ、この城で果てたに違いない。
仕事熱心な者達だったのであろう。
哀れにもメイド特有のセリフを発して来る。
『ご主人様ぁ、御用は、ありませんか~』
『何でも~、お申し付けくださいませませ~』
『料理、洗濯に、掃除、何でもお任せくださいませませ~』
執拗に仕事を欲するメイド達が、気の毒だと感じたに違いない。
スオメタルの端麗な顔に悲しみがさす。
『ホント、可哀そうではございます。が……滅して、天へ逝かせ、リスタートさせるのが彼女達の幸福ゆえ、容赦なく魔法を行使させて頂くでございます』
スオメタルはダンほど、葬送魔法には長けていない。
無詠唱で行使は出来ない。
ダンに護られながら、彼女は詠唱を開始する。
『命の理《ことわり》を司る大いなる存在よ! 彼女達の魂は天空の貴方のもとに旅立った。残された魂の残滓を汝に返す御業《みわざ》を我に与えたまえ! 天よ! 道標を我に示せ!』
一瞬の間の後、
決めの言霊がスオメタルから発せられる。
『鎮魂歌!』
先ほどのダンと同じである。
スオメタルの拳から、眩い光が放たれた。
残滓となっていた少女達は、瞬く間に消滅したのであった。
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