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第2話「超☆悪役王女」
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ここは……
リオン王国の支配者、コデルリエ王家が住まう王宮の一室である。
ひとりの少年が、無理やりという感じで跪かされていた。
少年は……スラムの市場から、無理やり連行されて来たジャンク屋のダンであった。
ダンは市場から連れ出されてすぐ、創世神教会へ連れて行かれ……
創世神の予言を託された巫女のベタな祝福を受け……
枢機卿からは、イヤイヤという雰囲気で、『救世の勇者』だと認定されたのである。
そして国王セザールに謁見した後、この部屋へ連れて来られたのだ。
ダンの前には……
ひとりの美しい金髪碧眼の少女が、
先ほどのテンプル騎士達同様、彼に対し汚らしいゴミを見るような目で立ちはだかっていた。
思い切り顔をしかめている少女の名はアンジェリーヌ・コデルリエ。
国王セザールのひとり娘で16歳、つまり王女である。
周囲に御付きの家臣や侍女、護衛の騎士が大勢居るのも構わずに、
アンジェリーヌは大声で叫ぶ。
「あ~、ヤダヤダ! こんな奴と婚約決定なんて! 鳥肌が立つ! むしずが走るっ!」
「……………」
「いくら創世神様のご神託だからといって、こんなガラクタ拾いの、薄汚いジャンク屋ふぜいと、高貴なコデルリエ王家に生まれた王女たるこの私が結婚するなんて!」
「……………」
「あんた、ダン・ブレ―ヴと言ったわね! いっそ、勇者を辞退しなさいよ!」
「……………」
「私が今、どんなに我慢しているか分かる? あんたみたいなゴミ野郎、触るのは勿論、見るのも、名前を呼ぶのさえ嫌だから!」
「……………」
「あ~あ!! 奇跡でも起こってよ! 創世神様のご神託がノーカウントになってくれないの!」
アンジェリーヌのとんでもない悪口雑言は止まらない
……対して、ダンは「じっ」と耐えていた。
ここまでの経緯も含め、ひどくむかつくが仕方がない。
しかし王女の周囲を王国選り抜きの騎士達が固めている。
もしも反抗すれば、「死あるのみ!」なのは確かだった。
なりたくて勇者になったわけじゃない。
無理やり祭り上げられたんだ!
本当はそう言いたかった。
いきなり「救世の勇者だ」と言われても彼自身は何も変わっていない。
たくましくないし、武術の心得もないのである。
アンジェリーヌは相変わらず不機嫌そうに鼻を鳴らす。
いくら王女でも創世神の神託には逆らえない。
ダンと結婚するしかない。
王族のプライドが高すぎるがゆえ、ダンとの結婚は虫唾が走る。
但し……『勇者の妻』という名誉は手に入る。
散々ダンを罵った後、アンジェリーヌは不快そうに鼻を鳴らした。
「ふんっ! もうっ! 我慢するしかないかっ!」
「……………」
「良いわっ! 腹いせにこれから、お前をガンガン鍛えてやるっ! 私は勿論、家臣へも命じて、眠る間もないくらいにねっ!」
「……………」
「返事はっ!」
「……はい、アンジェリーヌ様」
「ふん、さっさと訓練用の鎧に着替えて! そして騎士団長! こいつを死ぬ手前まで、ガンガン鍛えなさい!」
「は、アンジェリーヌ様!」
「それと王宮魔法使い!」
「は、アンジェリーヌ様!」
「こいつに魔法と学問を教えなさい! 身体の鍛錬と同じく! 死ぬ手前まで徹底的にね!」
「は! かしこまりました!」
「侍従長!」
「は、アンジェリーヌ様!」
「こいつに行儀作法、一般常識を教えなさい! 以下同文!」
「心得ましたっ!」
指示を出し終えたアンジェリーナは冷たく笑う。
「あ~あ、ホント婚約なんて破棄したいわっ! いっそコイツ、訓練の途中で死なないかしら……」
「……………」
「偶然と不慮の事故でね。そしたら運が悪いと思いっきり笑ってやるわぁ! あ~はははははははは!」
相変わらず跪いたままのダンの頭上に、
アンジェリーヌの高笑いがずっと響いていたのである。
リオン王国の支配者、コデルリエ王家が住まう王宮の一室である。
ひとりの少年が、無理やりという感じで跪かされていた。
少年は……スラムの市場から、無理やり連行されて来たジャンク屋のダンであった。
ダンは市場から連れ出されてすぐ、創世神教会へ連れて行かれ……
創世神の予言を託された巫女のベタな祝福を受け……
枢機卿からは、イヤイヤという雰囲気で、『救世の勇者』だと認定されたのである。
そして国王セザールに謁見した後、この部屋へ連れて来られたのだ。
ダンの前には……
ひとりの美しい金髪碧眼の少女が、
先ほどのテンプル騎士達同様、彼に対し汚らしいゴミを見るような目で立ちはだかっていた。
思い切り顔をしかめている少女の名はアンジェリーヌ・コデルリエ。
国王セザールのひとり娘で16歳、つまり王女である。
周囲に御付きの家臣や侍女、護衛の騎士が大勢居るのも構わずに、
アンジェリーヌは大声で叫ぶ。
「あ~、ヤダヤダ! こんな奴と婚約決定なんて! 鳥肌が立つ! むしずが走るっ!」
「……………」
「いくら創世神様のご神託だからといって、こんなガラクタ拾いの、薄汚いジャンク屋ふぜいと、高貴なコデルリエ王家に生まれた王女たるこの私が結婚するなんて!」
「……………」
「あんた、ダン・ブレ―ヴと言ったわね! いっそ、勇者を辞退しなさいよ!」
「……………」
「私が今、どんなに我慢しているか分かる? あんたみたいなゴミ野郎、触るのは勿論、見るのも、名前を呼ぶのさえ嫌だから!」
「……………」
「あ~あ!! 奇跡でも起こってよ! 創世神様のご神託がノーカウントになってくれないの!」
アンジェリーヌのとんでもない悪口雑言は止まらない
……対して、ダンは「じっ」と耐えていた。
ここまでの経緯も含め、ひどくむかつくが仕方がない。
しかし王女の周囲を王国選り抜きの騎士達が固めている。
もしも反抗すれば、「死あるのみ!」なのは確かだった。
なりたくて勇者になったわけじゃない。
無理やり祭り上げられたんだ!
本当はそう言いたかった。
いきなり「救世の勇者だ」と言われても彼自身は何も変わっていない。
たくましくないし、武術の心得もないのである。
アンジェリーヌは相変わらず不機嫌そうに鼻を鳴らす。
いくら王女でも創世神の神託には逆らえない。
ダンと結婚するしかない。
王族のプライドが高すぎるがゆえ、ダンとの結婚は虫唾が走る。
但し……『勇者の妻』という名誉は手に入る。
散々ダンを罵った後、アンジェリーヌは不快そうに鼻を鳴らした。
「ふんっ! もうっ! 我慢するしかないかっ!」
「……………」
「良いわっ! 腹いせにこれから、お前をガンガン鍛えてやるっ! 私は勿論、家臣へも命じて、眠る間もないくらいにねっ!」
「……………」
「返事はっ!」
「……はい、アンジェリーヌ様」
「ふん、さっさと訓練用の鎧に着替えて! そして騎士団長! こいつを死ぬ手前まで、ガンガン鍛えなさい!」
「は、アンジェリーヌ様!」
「それと王宮魔法使い!」
「は、アンジェリーヌ様!」
「こいつに魔法と学問を教えなさい! 身体の鍛錬と同じく! 死ぬ手前まで徹底的にね!」
「は! かしこまりました!」
「侍従長!」
「は、アンジェリーヌ様!」
「こいつに行儀作法、一般常識を教えなさい! 以下同文!」
「心得ましたっ!」
指示を出し終えたアンジェリーナは冷たく笑う。
「あ~あ、ホント婚約なんて破棄したいわっ! いっそコイツ、訓練の途中で死なないかしら……」
「……………」
「偶然と不慮の事故でね。そしたら運が悪いと思いっきり笑ってやるわぁ! あ~はははははははは!」
相変わらず跪いたままのダンの頭上に、
アンジェリーヌの高笑いがずっと響いていたのである。
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