4 / 9
第一章
転機の瞬間
しおりを挟む
航汰の幻と現実が混ざった視界を遮り、安心させたのは芽衣奈の右腕だった。光が収まると、いつの間にか彼女の右腕は女性らしいシルエットを保ちながらも明らかに機械の腕となっていた。その事実に今度こそ航汰は自分の目を疑うも、それを振るう彼女の存在までも幻と化してしまうような気がして、それは嫌だと、はっきりと自分の目で捉えようとした。
芽衣奈は右腕を振るい、来間の顔をした異形へただ拳を突き出す。異形のアンバランスな手が彼女の拳に触れた途端、バチンッ、という音と共に爆風が起こり、航汰は咄嗟にドア枠を掴んで飛ばされないようにした。そうやって何度か打ち合っていた芽衣奈と異形だったが、航汰から距離を取れたと分かった彼女は、今度は生身の左手で機械の右手を撫でる。彼女の動きに合わせて右手首の先から光がせり出す。それは刃の形を取り、異形とすれ違い様、一閃した。
勝負は決した。全ての足を斬られた異形はおぞましい悲鳴を上げてその場に倒れた。これだけいくつも有り得ない光景を見せられて、混乱しない者はいないだろう。航汰もその例に漏れず、右腕を元の手に戻した芽衣奈へ、恐る恐る近付いた。
「芽衣奈、怪我、とかは……?」
航汰が近寄ってくると、芽衣奈はバツが悪そうに困ったように笑って頬を掻く。何か言おうとして、何も言葉が浮かばないのか「えへへ」と誤魔化すように笑った。
「今の、というか、この化け物……いや、来間、先生は……」
「……ごめん。助けられなかった」
何に対しての「ごめん」なのか、航汰にはよく分からなかった。今まで戦う力を隠していたことに対してなのか、来間を助けられなかったことに対してなのか。ともかく、今彼に分かることは、芽衣奈は何かとんでもないことに巻き込まれていることだけだ。そんな彼の気持ちを知ってか知らずか、芽衣奈は気を取り直したように忠告してくる。
「ね、航汰。危ないから今日はもう帰った方が良いよ」
「――芽衣奈は? 芽衣奈も一緒に……」
まるで小さな子に言い聞かせるように芽衣奈は静かに首を振る。その仕草で航汰は愕然とした。自分はもうどうあっても、彼女の役には立てないと分かってしまったからだ。そんな事実を受け止めたくない航汰は「でも」とか「だって」とどうしても言い訳じみた言葉が出てきてしまう。ああ、こんなかっこ悪いところを見せたい訳ではないのに、と歯痒い思いを抱く。
「事情は後で話すから、ね? 航汰。今は私に守らせて。守りたいの」
自分とは違う何かとても大切な決意をしたような表情をする彼女の言葉に、航汰が頷きかけた時だった。
ドスッ、と彼女の腹から人間の足が生えた。否、突き破ってきたのだ。航汰が認識するのを待っていたように遅れて大量に吹き出る血。ずるり、と物か何かのように引き抜かれ様に打ち付けられる芽衣奈の華奢な体。見ると、来間の顔をした異形が足を一本だけ再生しているのが見えた。しかし、そんなことより航汰にとって何より優先すべきは、やはり芽衣奈だった。
飛ばされた彼女の許へ駆け寄り、その上体を支え起こす。彼女の目はもう殆ど生命の光が失われかけていたが、それでも航汰のことは分かったようだ。「こう、た……」と力なく呟かれる名前に、彼自身を引き裂かれるかと思うほどに胸を締め付けられる。
「大丈夫だ。大丈夫だよ、芽衣奈。僕はここにいるから、すぐに救急車を――」
そっと目に涙を溜める航汰の頬に芽衣奈の手が添えられる。その手の微かな温かさが、もう彼女の命が尽きてしまうのだと如実に表していた。その細い手を掴み、彼女の口の動きを目で追う。もう殆ど声も出ていない状態だったが、確かに航汰は彼女の最期の言葉を受け取った。
「さいご、まで……まもれ、なくて、ごめん、ね……。わたしのちから……こうたに、あげ、る」
ぎゅっと右手で航汰の右手を掴み、それを支えに少し身を乗り出した芽衣奈は、彼の冷たい頬にキスをする。その唇は彼の頬よりずっとずっと冷たかった。
「だいすき、だよ……こうた」
それきりもう目を覚まさない彼女の体をそっと抱いて、航汰は涙を流しながら喪失と絶望、大切だったものへの悲哀をただ絶叫した。それからの航汰には一切記憶が無い。ただ、気が付いたら目の前は血の海になっており、自分の口からは訳の分からない絶叫がひたすら吐き出されていた。芽衣奈と同じようになった右腕は二の腕まで外装があった彼女と比べると、航汰は肩まで機械の外装が覆っていた。
異形だった肉塊へ何度も何度も刃を振り下ろし、骨まで砕かんばかりの勢いを持っている航汰が漸く止まったのは、唐突に誰かに左手を掴まれたからだった。反射的にそちらへ振り向き、刃を振るうとその人物は後退り、大きく跳躍すると航汰から距離を取った。
彼にはその二人の人物に見覚えが無かった。一人は両足の膝まで外装に覆われたボサボサの銀髪をツインテールのように二つに縛っている目つきの悪い少女、もう一人は柔和な笑みを浮かべた顎まで伸ばした桃色の髪を持つ優男風の青年だ。「おお、こわ」と口に飴を咥えたままの少女が引いた調子で呟く。少女の言葉に男が答えた。
「ミチルちゃん、今は危ないかもお」
「分かってるよ。取り敢えず、鎮静剤ぶち込んでいい?」
「それ、取り敢えずでやることじゃないよお」
青年の返答を聞こえない振りをして、持ってきていた様子の自動小銃に少女が小さな注射器のような物を挿入する。狙うは我を失っている航汰。航汰の右手にある刃はいつの間にか斧のような形状になっており、その見た目に少女が口端を引きつらせながら自分の方へ来るように挑発した。
「おら、そこの暴走個体! 大人しくしろ。じゃないと、その顔面にこれぶち込むぞ」
「ミチルちゃん。これとかあれとかは通じないっていつも言ってるじゃない。ダメだよ。ちゃんと言わないと」
「うっざ。ゴウは黙っててよ」
そんな軽口を叩いているうちに航汰は向かってくる。気が付いた時にはもうあまり距離が無いと気付いた少女が慌てて「ほらっ、ゴウが余計なこと言ってるから!」と言いがかりを付ける。それに青年が「ええっ!? オレのせいなのお!?」と驚いたところで、少女の指は無意識に引き金を引いた。全く予想もしていなかったうちに麻酔銃を撃ってしまい、小さな注射器は航汰の肩口に当たり、銃の反動で少女は後ろに少し吹き飛ばされた。そのままゆっくりと意識を失う航汰は最後に「め……いな……」と呟いて眠った。
航汰は夢を見ていた。いつか、いつか芽衣奈と一緒に悲しみも苦しみも無い、どこか遠くへ二人で逃げる夢。そこでは今までの不運だった分、何もかも上手く行って、芽衣奈と二人で静かに暮らす、ささやかな幸せを――。
目を覚ました航汰の目には真っ白な天井があった。擦り傷や転んだ時にできた傷は手当てをされていたが、右腕は未だ機械のままだった。少し上体を起こして部屋の中を見回す。どこかの病室のような部屋だったが、やはり見回しても全く見覚えは無い。窓も無く、ただ出入り口のドアが一つあるだけだ。寝かされているベッドは病室でよく見る物だったが、自身の胸に貼り付けられている心電図によく似た装置以外は物らしい物は無い、非常に殺風景なものだった。自分の置かれている状況を整理しようとしたところで、唯一の出入り口であるドアが開かれ、何となく見覚えがあるような無いような二人が入って来た。
一人は銀髪を二つに結った目つきの悪い少女、もう一人は桃色の髪をした青年だ。ぼうっと見つめてくる航汰の様子に二人は少し瞠目し、次いで何事も無かったかのように口を開いた。
「お、起きてる」
「わあ、気が付いたんだねえ。ここに来る前のこと、覚えてる?」
ベッド脇まで来て親しげに話しかけてきた青年の態度に戸惑いながらも、航汰は「え? ああ、はい」と訳が分からないなりに返事をした。そんな彼に気を遣ってか、青年はもう少し詳しい事情を話す。
「ここはねえ、オレ達が所属してるとこの医療室なんだあ。だから、安心して良いよお」
「いや、どこが安心できんの。今の説明で分かる奴なんていないから」
少女の容赦ない指摘に朗らかな雰囲気を纏っていた青年は気落ちする。「相変わらず、ミチルちゃんはぐっさりくるなあ」と零す青年に構わず、航汰は最大の疑問を口にした。
「あの、芽衣奈はどうなったのか、知りませんか?」
その一言に二人はぴたりと身動きを止めた。
芽衣奈は右腕を振るい、来間の顔をした異形へただ拳を突き出す。異形のアンバランスな手が彼女の拳に触れた途端、バチンッ、という音と共に爆風が起こり、航汰は咄嗟にドア枠を掴んで飛ばされないようにした。そうやって何度か打ち合っていた芽衣奈と異形だったが、航汰から距離を取れたと分かった彼女は、今度は生身の左手で機械の右手を撫でる。彼女の動きに合わせて右手首の先から光がせり出す。それは刃の形を取り、異形とすれ違い様、一閃した。
勝負は決した。全ての足を斬られた異形はおぞましい悲鳴を上げてその場に倒れた。これだけいくつも有り得ない光景を見せられて、混乱しない者はいないだろう。航汰もその例に漏れず、右腕を元の手に戻した芽衣奈へ、恐る恐る近付いた。
「芽衣奈、怪我、とかは……?」
航汰が近寄ってくると、芽衣奈はバツが悪そうに困ったように笑って頬を掻く。何か言おうとして、何も言葉が浮かばないのか「えへへ」と誤魔化すように笑った。
「今の、というか、この化け物……いや、来間、先生は……」
「……ごめん。助けられなかった」
何に対しての「ごめん」なのか、航汰にはよく分からなかった。今まで戦う力を隠していたことに対してなのか、来間を助けられなかったことに対してなのか。ともかく、今彼に分かることは、芽衣奈は何かとんでもないことに巻き込まれていることだけだ。そんな彼の気持ちを知ってか知らずか、芽衣奈は気を取り直したように忠告してくる。
「ね、航汰。危ないから今日はもう帰った方が良いよ」
「――芽衣奈は? 芽衣奈も一緒に……」
まるで小さな子に言い聞かせるように芽衣奈は静かに首を振る。その仕草で航汰は愕然とした。自分はもうどうあっても、彼女の役には立てないと分かってしまったからだ。そんな事実を受け止めたくない航汰は「でも」とか「だって」とどうしても言い訳じみた言葉が出てきてしまう。ああ、こんなかっこ悪いところを見せたい訳ではないのに、と歯痒い思いを抱く。
「事情は後で話すから、ね? 航汰。今は私に守らせて。守りたいの」
自分とは違う何かとても大切な決意をしたような表情をする彼女の言葉に、航汰が頷きかけた時だった。
ドスッ、と彼女の腹から人間の足が生えた。否、突き破ってきたのだ。航汰が認識するのを待っていたように遅れて大量に吹き出る血。ずるり、と物か何かのように引き抜かれ様に打ち付けられる芽衣奈の華奢な体。見ると、来間の顔をした異形が足を一本だけ再生しているのが見えた。しかし、そんなことより航汰にとって何より優先すべきは、やはり芽衣奈だった。
飛ばされた彼女の許へ駆け寄り、その上体を支え起こす。彼女の目はもう殆ど生命の光が失われかけていたが、それでも航汰のことは分かったようだ。「こう、た……」と力なく呟かれる名前に、彼自身を引き裂かれるかと思うほどに胸を締め付けられる。
「大丈夫だ。大丈夫だよ、芽衣奈。僕はここにいるから、すぐに救急車を――」
そっと目に涙を溜める航汰の頬に芽衣奈の手が添えられる。その手の微かな温かさが、もう彼女の命が尽きてしまうのだと如実に表していた。その細い手を掴み、彼女の口の動きを目で追う。もう殆ど声も出ていない状態だったが、確かに航汰は彼女の最期の言葉を受け取った。
「さいご、まで……まもれ、なくて、ごめん、ね……。わたしのちから……こうたに、あげ、る」
ぎゅっと右手で航汰の右手を掴み、それを支えに少し身を乗り出した芽衣奈は、彼の冷たい頬にキスをする。その唇は彼の頬よりずっとずっと冷たかった。
「だいすき、だよ……こうた」
それきりもう目を覚まさない彼女の体をそっと抱いて、航汰は涙を流しながら喪失と絶望、大切だったものへの悲哀をただ絶叫した。それからの航汰には一切記憶が無い。ただ、気が付いたら目の前は血の海になっており、自分の口からは訳の分からない絶叫がひたすら吐き出されていた。芽衣奈と同じようになった右腕は二の腕まで外装があった彼女と比べると、航汰は肩まで機械の外装が覆っていた。
異形だった肉塊へ何度も何度も刃を振り下ろし、骨まで砕かんばかりの勢いを持っている航汰が漸く止まったのは、唐突に誰かに左手を掴まれたからだった。反射的にそちらへ振り向き、刃を振るうとその人物は後退り、大きく跳躍すると航汰から距離を取った。
彼にはその二人の人物に見覚えが無かった。一人は両足の膝まで外装に覆われたボサボサの銀髪をツインテールのように二つに縛っている目つきの悪い少女、もう一人は柔和な笑みを浮かべた顎まで伸ばした桃色の髪を持つ優男風の青年だ。「おお、こわ」と口に飴を咥えたままの少女が引いた調子で呟く。少女の言葉に男が答えた。
「ミチルちゃん、今は危ないかもお」
「分かってるよ。取り敢えず、鎮静剤ぶち込んでいい?」
「それ、取り敢えずでやることじゃないよお」
青年の返答を聞こえない振りをして、持ってきていた様子の自動小銃に少女が小さな注射器のような物を挿入する。狙うは我を失っている航汰。航汰の右手にある刃はいつの間にか斧のような形状になっており、その見た目に少女が口端を引きつらせながら自分の方へ来るように挑発した。
「おら、そこの暴走個体! 大人しくしろ。じゃないと、その顔面にこれぶち込むぞ」
「ミチルちゃん。これとかあれとかは通じないっていつも言ってるじゃない。ダメだよ。ちゃんと言わないと」
「うっざ。ゴウは黙っててよ」
そんな軽口を叩いているうちに航汰は向かってくる。気が付いた時にはもうあまり距離が無いと気付いた少女が慌てて「ほらっ、ゴウが余計なこと言ってるから!」と言いがかりを付ける。それに青年が「ええっ!? オレのせいなのお!?」と驚いたところで、少女の指は無意識に引き金を引いた。全く予想もしていなかったうちに麻酔銃を撃ってしまい、小さな注射器は航汰の肩口に当たり、銃の反動で少女は後ろに少し吹き飛ばされた。そのままゆっくりと意識を失う航汰は最後に「め……いな……」と呟いて眠った。
航汰は夢を見ていた。いつか、いつか芽衣奈と一緒に悲しみも苦しみも無い、どこか遠くへ二人で逃げる夢。そこでは今までの不運だった分、何もかも上手く行って、芽衣奈と二人で静かに暮らす、ささやかな幸せを――。
目を覚ました航汰の目には真っ白な天井があった。擦り傷や転んだ時にできた傷は手当てをされていたが、右腕は未だ機械のままだった。少し上体を起こして部屋の中を見回す。どこかの病室のような部屋だったが、やはり見回しても全く見覚えは無い。窓も無く、ただ出入り口のドアが一つあるだけだ。寝かされているベッドは病室でよく見る物だったが、自身の胸に貼り付けられている心電図によく似た装置以外は物らしい物は無い、非常に殺風景なものだった。自分の置かれている状況を整理しようとしたところで、唯一の出入り口であるドアが開かれ、何となく見覚えがあるような無いような二人が入って来た。
一人は銀髪を二つに結った目つきの悪い少女、もう一人は桃色の髪をした青年だ。ぼうっと見つめてくる航汰の様子に二人は少し瞠目し、次いで何事も無かったかのように口を開いた。
「お、起きてる」
「わあ、気が付いたんだねえ。ここに来る前のこと、覚えてる?」
ベッド脇まで来て親しげに話しかけてきた青年の態度に戸惑いながらも、航汰は「え? ああ、はい」と訳が分からないなりに返事をした。そんな彼に気を遣ってか、青年はもう少し詳しい事情を話す。
「ここはねえ、オレ達が所属してるとこの医療室なんだあ。だから、安心して良いよお」
「いや、どこが安心できんの。今の説明で分かる奴なんていないから」
少女の容赦ない指摘に朗らかな雰囲気を纏っていた青年は気落ちする。「相変わらず、ミチルちゃんはぐっさりくるなあ」と零す青年に構わず、航汰は最大の疑問を口にした。
「あの、芽衣奈はどうなったのか、知りませんか?」
その一言に二人はぴたりと身動きを止めた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
Condense Nation
鳳
SF
西暦XXXX年、突如としてこの国は天から舞い降りた勢力によって制圧され、
正体不明の蓋世に自衛隊の抵抗も及ばずに封鎖されてしまう。
海外逃亡すら叶わぬ中で資源、優秀な人材を巡り、内戦へ勃発。
軍事行動を中心とした攻防戦が繰り広げられていった。
生存のためならルールも手段も決していとわず。
凌ぎを削って各地方の者達は独自の術をもって命を繋いでゆくが、
決して平坦な道もなくそれぞれの明日を願いゆく。
五感の界隈すら全て内側の央へ。
サイバーとスチームの間を目指して
登場する人物・団体・名称等は架空であり、
実在のものとは関係ありません。
宇宙エレベーター
morituna
SF
25年間の建設工期で作られた、この宇宙エレベーターの全長は96,000kmです。
この場所が、地球上の、宇宙への発着点でアース・ポートです。
このアース・ポートは、ここ、グベ島の赤道上に、陸上部分と海上部分に分けて建設されています。
陸上部分は、順次、空港やホテル、宇宙開発に関係する企業の研究所が誘致され、大きな街になります。
海中トンネルで結んだ海上部分には、宇宙エレベーターのクライマー発着場、出発・到着ロビー、管理施設のほか、格納庫、修理工場、倉庫、研究開発センターなど、アース・ポートの要(かなめ)となる施設があります。
海上施設は、直径約400mで、最下部に造られた中空のコンクリートの浮力で、海に浮かんでいます。宇宙へと延びるケーブルを固定している部分では、海水を利用したバラスト調整システムによって、ケーブルにかかるテンションを制御しています。
静止軌道上には、最大規模の駅、静止軌道ステーションがあります。
静止軌道ステーションでは、大規模な宇宙太陽光発電や宇宙環境を活かした研究開発などが行なえるほか、地上からの観光地としても利用できます。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる