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28話 ノアの休日③
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「答える気はないのか」
ライアンは心配そうにそう問いかける。
「...」
乃亜も知られるわけにはと意地を張ってしまい、頑なに答えようとしなかった。
沈黙が続き...
「わかった。とりあえず今日は出ていってくれ」
衝撃の答えが返ってきた乃亜は表情が固まってしまう。弱々しくはいと答え部屋から出て行った。
遠出から帰宅した疲労でどうしても頭が回らなかったライアンはなぜ自分を信じられないのかと思いついカッとなってしまった。
「どうしよう。僕もつい意地張っちゃったけど」
部屋を出て行った乃亜は今回はライアン様が悪い!と心の中で叫んだ。ちょっとカッとなったからって出て行けなんて、僕はライアン様のためにやろうとしたことなのに、でも今言ったら台無しだしになるし..でもでも...
子供のような葛藤をして、本当にどうしようかと屋敷をトボトボと歩いているとこんな夜遅い時間なのに廊下を誰かが歩いていた。
「どうされましたか?ライアン様はお帰りになりましたが」
「メ、メルウィンさん~」
そこにいたのはメルウィンだった。今からライアン様のところにでも行くのだろう。乃亜は涙目になりながらメルウィンの元に走っていった。
「ええと、どうされましたか」
こんな時間に乃亜が部屋の外を出て歩いているのは珍しいというよりおかしかった。
「ライアン様と.......喧嘩しちゃいました」
「......??」
それを聞いたメルウィンの頭の上にははてなマークが浮かぶ。
「喧嘩しちゃってそれで出て行けって言われちゃって....」
「それは本当ですか?」
「えっとはい」
「本当の本当に?」
「はい」
メルウィンはまだ状況が読み込めずにいる。普段から何事も冷静で、喧嘩などとは無縁なライアン様が喧嘩などするはずが...
「えええ....ライアン様と喧嘩をしたと?」
「出て行けって言われて出てきたんです。これからどうしようかと思ってたところでメルウィンさんと会って」
乃亜はそんなに驚くことなのだろうかと思っていたがまだライアンの過去については誰からも聞いていなかったのだ。姉であるアリアとも兄弟喧嘩をしたことがない。喧嘩をしたのは初めてのことでメルウィンは成長したのだなと感心していた。それもこれもノアのおかげだ。ライアンの初恋相手との喧嘩には入らないでおこうと思うのだった。
ライアンは心配そうにそう問いかける。
「...」
乃亜も知られるわけにはと意地を張ってしまい、頑なに答えようとしなかった。
沈黙が続き...
「わかった。とりあえず今日は出ていってくれ」
衝撃の答えが返ってきた乃亜は表情が固まってしまう。弱々しくはいと答え部屋から出て行った。
遠出から帰宅した疲労でどうしても頭が回らなかったライアンはなぜ自分を信じられないのかと思いついカッとなってしまった。
「どうしよう。僕もつい意地張っちゃったけど」
部屋を出て行った乃亜は今回はライアン様が悪い!と心の中で叫んだ。ちょっとカッとなったからって出て行けなんて、僕はライアン様のためにやろうとしたことなのに、でも今言ったら台無しだしになるし..でもでも...
子供のような葛藤をして、本当にどうしようかと屋敷をトボトボと歩いているとこんな夜遅い時間なのに廊下を誰かが歩いていた。
「どうされましたか?ライアン様はお帰りになりましたが」
「メ、メルウィンさん~」
そこにいたのはメルウィンだった。今からライアン様のところにでも行くのだろう。乃亜は涙目になりながらメルウィンの元に走っていった。
「ええと、どうされましたか」
こんな時間に乃亜が部屋の外を出て歩いているのは珍しいというよりおかしかった。
「ライアン様と.......喧嘩しちゃいました」
「......??」
それを聞いたメルウィンの頭の上にははてなマークが浮かぶ。
「喧嘩しちゃってそれで出て行けって言われちゃって....」
「それは本当ですか?」
「えっとはい」
「本当の本当に?」
「はい」
メルウィンはまだ状況が読み込めずにいる。普段から何事も冷静で、喧嘩などとは無縁なライアン様が喧嘩などするはずが...
「えええ....ライアン様と喧嘩をしたと?」
「出て行けって言われて出てきたんです。これからどうしようかと思ってたところでメルウィンさんと会って」
乃亜はそんなに驚くことなのだろうかと思っていたがまだライアンの過去については誰からも聞いていなかったのだ。姉であるアリアとも兄弟喧嘩をしたことがない。喧嘩をしたのは初めてのことでメルウィンは成長したのだなと感心していた。それもこれもノアのおかげだ。ライアンの初恋相手との喧嘩には入らないでおこうと思うのだった。
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