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27話 ノアの休日②

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「わかりました代償はノア様の存在です。」

「......存在?」

代償になるものが『存在』というよく分からないものなので頭にハテナマークが浮かぶ。
 
「はい、『存在』です。使い過ぎると神隠しのようにある日突然消えてしまうでしょう。厳密に言うと自分自身が精霊になってしまうんですけど他人から見ると突然消えてしまいますから。」

それを聞いた乃亜は深く考え込んでいた。
僕1人が頑張るだけでフルアズに住んでいる人もライアン様も...大勢が救われる。ライアン様は出張で帰るのが遅くなると言っていたからまだ時間はある。僕はこれしかできることないから今、やるしかないと決心した。

「使い過ぎなきゃいいんだよね」

「ええ、それにお身体にも負担が」

「やるよ。公爵邸の人達にお世話になってばっかりだし身体に負担が掛かっても、僕にはこれくらいしか出来ることがないからね。」

アテナにニコッと笑いかける。アテナは乃亜の心の美しさには勝てなかった。

「やはりノア様は心が綺麗ですね。主の命令とあらば.....」

「うん!お願い、します。」

目に見えない『存在』というものが代償、現実味がないからか逆に緊張してしまい心臓がバクバクと鳴る。
アテナは地面に座り込み、何か祈りを唱えるようにして手を組んでいる。しばらくアテナを集中して見ていると身体に異変が起こった。

「ガハッ.....」

頭がガンガンして少し気分が悪くなっただけなのでこれくらいなら大丈夫と思っていたが突然、口から血が出てきた。
血を吐くなんてことは今までの人生で初めてのことであるので手に付いた鮮血を見てびっくりしていると...

「ノ.....ア......」

いつの間にかドアが開いていてそこにはライアンが立っていた。ライアンは乃亜が血を吐いた姿を見て動揺を隠せて居らず、手が震えている。
乃亜は集中してアテナが一生懸命に力を使っているのを見ていた為ドアの開く音が聞こえていなかった。まだ帰って来ないと思っていたので油断していた。乃亜ら誤魔化すために口を開くが上手く言葉が出てこない。

「えっと.....ライアン様おかえりなさいませ」

「何をしている。」

精霊を使ったことは黙っておきたい乃亜は沈黙するしかない。ライアンはため息を吐き近づいて来た。アテナは術を終えたようで乃亜の元に戻って姿を消した。

「地の精霊がそこに居たということは...君は、精霊術でも使ったのか。」

「大丈夫ですよ。ほらっ、なんともありませんし」

質問攻めされたノアは焦ってしまう。ライアンを心配させてしまうのを恐れたノアは下手に笑いながら言ってしまった。

「精霊術を使って何をしたんだ。教えてくれノア」

「それは......」



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