召喚された少年は公爵様に愛される

7話 公爵邸の探検②

「あの、大丈夫ですか？ノア」　


広すぎる、余りにも広すぎる庭から見たときの何倍も広く感じる。遊園地を歩き回ったみたいでもうヘトヘトになっていた。
ギルバート卿は平気な顔をしている...


「ゔっ、だ大丈夫です....｣


「あそこで少し休憩しましょうか」

「はい！」

ギルバート卿は窓の外に指をさして言った。庭に行き薔薇を眺めうっとりしていた。
落ち着いたところで乃亜はライアンが大切だと言ったことが気になっていたのでギルバートに聞いてみた。

「ギル、ライアン様はなぜ僕を大切だと言ったのですかね..」

どちらもギルバートのことをギル、乃亜のことをノアと呼ぶほど気を許していた。

「ノアのことを気に入っているんですよ。ライアン様は朝食に家族以外を呼んだことなどないのですよ。あんな穏やかな雰囲気なのは久しぶりに見ましたよ。｣


ギルバートは騎士の家系で代々マーフィー家に仕えている。小さい頃は年が近いということでライアンと一緒に遊んだりしていたが先代公爵が亡くなってからは公爵邸で会っても挨拶をするくらいで話すことも無くなり、ライアンをギルバートはずっと心配していたがノアが来てから少しだが昔に戻ったようでホッとしていた。


「そうだったんですか.....｣


僕は大切なんか言われることしてないのになぁと思いながらやっとのことで公爵邸の見学はおわった。次はライアンの執務室行こうとしていると少し離れたところから話しかけられた。


「あ、貴方！ちょっと待ちなさい。確かノアと言っていたわね｣


「はい、乃亜です......」


美しいドレスに身を包み、ライアンと同じ美しい髪と目の色をした女性が呼び止めてきた。後ろには侍女をつれていて身なりから気品が伝わってくる。

「アリア様、どうなさいましたか｣

ギルバートが礼をして話しかける。

「ライアンが誰か連れてきたとか言うから気になっちゃって！｣

アリア様？誰だろう....
髪と目の色がライアンと同じで、ギルバートが「様」と呼んでいることからライアンの妹か姉と推測した。

「ノアちゃんをちょっと貸して貰えるかしら？すぐに返すから！ライアンったら見る目があるわねこんな可愛い子を連れてくるなんて｣

「ライアン様には....」

「ノアちゃんを借りますと言っておいて～」

「えっ、えっ？」

アリアはギルバートに伝言を頼み乃亜の手を繋いで連れていったのだった。