上 下
8 / 16
第1章

8話

しおりを挟む
こんな辛い食べ物を食べたのは初めてだ。ビーフシチューだよね?実はここのお店のビーフシチューは辛いことで有名だとか。いや、そんなはずはない。店は初めてかと聞かれたのに教えてくれないはずがない。

「はぁ.....」

「本当に大丈夫か?」

クロードは心配そうに顔を覗いてくる。

「大丈夫じゃないです。辛いビーフシチューなんて初めて食べました。」

すると、皆はハテナを頭に浮かべていた。
なんでみんな不思議そうに僕をみてるの??

「テオさん、ビーフシチューは辛い食べ物ですよ?」

ナタリーがそう言った。
なにそれ...常識なのかな、
予想は外れていた。どうやら食文化が元の世界と違うようだ。でも名前と使っている野菜とかは同じなのに、もしかして砂糖がしょっぱくて塩が甘いとか!料理する時大変だ。僕は料理できないというか台所に立たせてもらえなかったけど。

「そうなんですか?」

「全く、それぐらい私でも知ってるわ!テオはバカなのね!」

「世界は広いんだからそんなこと言わないの。テオさんが住んでた所は違うかもしれないじゃない。」

アンはナタリーに頭を思い切り叩かれていた。ナタリーさん魔導士だよね...すごい音したけど大丈夫かな。

「ところでテオはどこから来たんだ?」

クロードから答えにくい質問をされた。
別世界から来たんです。とか言ったら大騒動になりそう。元の世界でもイデルナ村から来ましたと言っても誰もわからないくらい田舎でしたけどね。

「イデルナ村ってところから来ました。」

「そこはラミナ王国の近く?」

「いや、すごく遠いです。」

「そんな所からどうやってきたんだ?」

「色々事情がありまして.....」

クロードに質問攻めにされる。まず、この世界の地図がわからない。ここがラミナ王国北部の城郭都市プレイツァということしか知らないテオは下手なこと言うと詐欺師とでも言われかねない。

「まぁ、冒険者には色々な事情がある奴が多いから言いたくねーことは言わなくていいんだよ。いちいち細かいこと聞くんじゃねーよクロード。」

テオが答えにくそうにしているとダリオスが助け舟を出してくれた。案外優しいんだな....

「まぁ、そうだな。事情はあるしな...すまなかった。」

クロードは僕に頭を下げてきた。そんな深刻な話じゃないからそこまで謝らなくても。いや、一回死んだし...神様にもあったし....深刻な話なのでは。

「クロードさん顔を上げてください」

「まぁまぁ、その話はそこまでにしてください。さて、早くご飯を食べましょう!テオさんはクロードと一緒にもう一回買いに行ってくださいね。」

ナタリーが手をパンっと叩き話題を変えた。ビーフシチューは流石に食べられない。次からは一度聞いてから買うことにしよう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

転生当て馬召喚士が攻め度MAXの白銀騎士に抗えません

雪平@冷淡騎士2nd連載中
BL
不幸体質大学生の青年が転生したのは魔術師ファンタジーBLゲームの世界だった。 当て馬として生まれたからには攻略キャラの恋の後押しをする事にした。 しかし、この世界…何処か可笑しい。 受け主人公が攻めに、攻め攻略キャラが受けになっていた世界だった。 童顔だった主人公は立派な攻めに育っていた。 受け達に愛されている主人公は何故か当て馬に執着している。 傍観者で良かったのに、攻めポジも危ぶまれていく。 究極の鉄壁一途な白銀騎士×転生当て馬召喚士 ゲームを忠実にするためには、絶対に受けとしてときめいてはいけない。 「君といられるなら、俺は邪魔する奴を排除する」 「俺はただの当て馬でいい!」 ※脇CP、リバキャラはいません、メインCPのみです。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

処理中です...