ある日、王子様の天使になりました。

さみ

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1話

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テオはイデルナ村という人口200人程度の小さな村に住んでいた。
家族構成は父と母そして兄とテオの四人家族だ。小さい頃からひどく病弱で外で遊ぶだけで次の日には高熱が出る。村人たちで手分けをしてやっている仕事も出来るはずがなく、家でやる事といえばお留守番だ。
野菜の皮むきなど簡単な事なら出来るのだがそれは父がどうしてもゆるさなかった。いつのことだっただろうか。母上のお仕事を手伝いたいです。と提案した時、

「黙れっ、男なら力仕事だ。それが代々イデルナで受け継がれてきたものだ。女のやる仕事をしたいだと?それじゃあご先祖さまに面目が立たん。そんな弱音は許されん鍛えればいいだけだ。」

と怒鳴られてしまった。次の日少しでも強くなりたいと筋トレと近所を走ったら案の定熱が出てまた怒られた。もう絶対にしない。
何度言っても恐らく男は仕事、女は家庭という考え方を絶対に曲げないだろう。小さい頃はまだよかった。年が上がっていくにつれ家族や村の人からの風当たりも悪くなり、母には小言を言われ、兄には暴言を吐かれ、父には暴力を振るわれるようになった。でも、家族を嫌いになんかなれない。全部僕の身体が弱い所為なんだから.....

✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

ある日の夜、母上の帰りが遅かった。心配になり外へ行こうとしたその時、勢いよくガラガラと引戸が開いた。そこにはゼェゼェと息を切らしている母がいた。

「大変よ!疫病だわ!ラミナさん家の長男と弟さんがどちらも髪が白くなって亡くなったそうよ。リリアさんも寝込んでいて髪が白くなってきているらしいわ。これはきっと100年まえの疫病と同じよ。」

「その話は本当か。」

その話を聞き父上が居間から玄関まで走ってきた。

「ええ、本当ですよあなた!どうしましょう....あなた、緊急会議を今から開くそうなので行ってきてくださいな。」

疫病か....病弱な僕は真っ先にかかって死ぬんだろうな。なんで100年前の疫病が再発したんだろう。父上が帰ってくるまで本でも読んでおこうとおもって本を開いたが眠くなってしまいそのまま寝てしまった。



朝、テオは小鳥たちの囀りにより起こされた。

「ん~~~」

昨日本を読んで....1ページも読まない内に寝ちゃったのか。父上の報告を聞かないと!龍神様に祈ればどうにかしてくれる。神様....家族を守ってください。
イデルナ村では龍神が崇拝されている。龍神のお陰でここ50年は災害や疫病などは起こっていない。
居間まで行くと家族が揃って神妙な顔つきで座っていた。なんともいえない空気の中、父上が口を開いた。

「テオ、大事な話がある。」


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