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23. 王子は姫の様子に驚く
しおりを挟む物凄い濃い週末があけて月曜日になりましたが、いまだに私の気持ちの整理がつかずモヤモヤとしたままなんです。仕事をしていても集中できてないのがわかります。
「おい、王子。お前どうしたんだ?いつも書いている書類だろ?」
さっき、提出した書類を持って杉ノ原先輩が私の所にやってきた。
「すいません。やり直します…」
はぁ~、やっぱり集中できてないんだ。
「何かあったのか?月曜なのに疲れてる様に見えるぞ。俺で良かったら聞いてやるぞ」
杉ノ原先輩が私の肩を叩きながら笑顔を向けてくれているが、先輩に相談は無いかな。
おそらく私が異性から告白されて悩んでいると言ったら笑って「夢でも見たんだろう」と言われそうだ。気持ちだけ受けとります。
「ありがとうございます。大丈夫です」
「そうか?それならいいが…。じゃあ、今日中に提出してくれよ」
「はい」
大きく深呼吸して気合いを入れた。
今、悩んでも解決できないよね!切り替えよう!
そして、何とか書類を仕上げて提出した。
1日が長く感じたよ。
やっと、仕事を終えて帰ろうとしてら、姫野からメールが来た。
"昨日、きちんと話を聞けなかったから話をしたい。今からどこかで会えないか?"
何をそんなに気にしているんだろう?そう思いながらも"いつものところで会おう"とメールを送った。
いつものところっていっても婚約祝いをしてくれたイタリアンのお店だけどね。
店に着くと姫野がもう来ているみたいでマスターに「いつもの奥の席にいるよ」と言われた。
マスターに挨拶をして座席にいくと、姫野が私に気がついて片手を上げた。
「お疲れ…。月曜日なのに呼び出して悪いな」
「良いよ。ところで何が聞きたいの?」
月曜日だから大丈夫だとは思うけど前みたいに酔っ払って話しにならない状態になると困るから、早めに話をしないとね。
「相羽さんとの事についてなんだけど…」
「ああ…」
そんな事が気になっていたんだ。
「まさか…とは思うが…相羽さんと同じ部屋に泊まったりしてないよな?」
「え?もちろん同じ部屋だったよ。久しぶりだったから楽しかったけど、ほぼ寝てないから疲れちゃった」
「え!?二人で泊まったのか!」
姫野の目が物凄い見開かれて驚いた表情で固まっている。そんなに驚くの!?
「うん。でもなんで柚菜ちゃんと一緒だとそんな驚くの?」
「は?柚菜…。なんだそっちか…驚かすなよ」
そっちか?
誰と間違えてたんだろう…。
え?もしかして…悠人さんと同じ部屋に泊まったのかと聞いていたの!?
なんで悠人さんと同じ部屋に泊まらないといけないのか。なぜそんな事を考えていたのか理解ができない。
「良かった…」
私の話を聞いて安心したため息を吐き出しながら笑顔を見せる姫野。何かムカつく。
「どうしてそんな事を考えたの?」
「いや…だって相羽さんが王子の電話を切っただろ?二人が一緒だと思ったから…」
そういえば柚菜ちゃんが一緒にいるとは電話で言わなかったということを思い出した。
「それに…相羽さんって王子に好意がありそうだったし…」
え!?姫野でも気がつくくらいのレベルだったの?嘘でしょ!!
「…嘘…そんな感じなかったよね?いつからそんな事を思ってたの?」
姫野は少し考えた後、
「高校生の頃からかな…。離れた所から王子を見ていたら絶対に相羽さんが近くにいて…その…なんだ男の勘ってやつだ」
男の勘?女の勘なら聞いたことがあるけど…。
だけど、高校生の頃って…知り合った頃だよね。悠人さん、本当に冗談じゃなかったんだ。
「おい、王子どうした?」
私が考えを巡らせていると姫野が心配そうに私の目の前で手を上下に振っていた。
「実は…北海道で悠人さんに「姫野と婚約解消して僕と付き合ってほしい」って言われたんだよね」
「え!」
話し終わるなり姫野が驚きの声をあげた。
「…それで王子はなんて答えたんだ?」
姫野が上半身をテーブルの上に乗せるかのように私の方に身体を傾けてきた。凄い圧迫感があるんですけど…。
「もちろん断ったよ、けど…」
「けど…なんだ?」
姫野がドラマの刑事さんみたいに質問してくる。
「諦めないって悠人さんが言ってた」
「チッ…アイツ…」
あれ?今、姫野がなんか舌打ちしたような…。しかも悠人さんの事をアイツって言ってなかった?
私が驚いた表情で姫野を見ていたら姫野が気がついたみたいで表情を変えた。
「それで王子の様子がおかしかったんだな。心配してたんだ。とりあえずお腹すいてるだろ?なんか注文してから話をしようか」
「うん」
ごまかすように話を切り替えた姫野。でも、お腹がすいているのは確かだし、姫野の言う通りにした。
注文したご飯を食べながら姫野といろいろな話をした。
姫野がやたら聞いてきたのは悠人さんについてだったけど…。
男の人ってみんなこんな感じなのかな?
誰とも付き合った事がないので比べようがない。
でも、何だか私の中のモヤモヤしたものはスッキリしていた。
姫野と話をしたのが良かったのかな?
明日からまた頑張ろう!
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