15 / 43
15. 姫サイド その3
しおりを挟むヤバイ、ヤバイ、ヤバイだろ!なんだあの綺麗さ!!!姉さん、完全にやりすぎだ!こういうのは俺達の結婚式に…いや…なんだ…その…。
これが婚約発表会見前に王子の姿を見た俺の感想だった。
あまりの綺麗さに王子に見とれていたら、ふらついてこけそうになっている王子に気がついた。猛ダッシュで王子に駆け寄り体を支えた。
細い腰だな…。
姉さんから事前に王子のエスコートについてレクチャーを受けらされたのでどうするかは理解はしていたが、こんな至近距離で体を密着させながら、この細い腰に触れたままで歩くなんて…俺の理性が持つのか?
王子の足も心配だが俺の理性も心配だ。
それなのに王子は俺の気持ちも知らないで、また可愛いことを言ってくる。
俺の笑顔が優しい笑顔だと?
お前の笑顔の方が優しいぞ!
しかも、そんな事を言うのは王子くらいだ。俺はお前にしかこんな顔にならないと、いっそ王子に言ってやりたい。どんな顔を見せるのだろうか。
はあ~、どうしよう。
王子を見れば見るほど婚約発表会見を止めたくなってきた。
こんなに綺麗な王子をあんな大勢の人の前に出す?無いだろ!!王子のこんな綺麗な姿は俺の前だけで見せてくれれば良いんだ。他の奴になんて見せたくないし、教えたくない。
王子は昔からなぜか自分に自信がなかったから、今もきっと過小評価をしているんだろうけどな…。
幼い頃からプロの写真家にとってもらえる機会も多くて二人で撮影に行くことも度々あったが、王子はどんなに大人達に「可愛い」と褒められてもお世辞を言われていると思っているようだった。
まあ、俺から見れば王子は可愛いではなく綺麗だと思っていたけどな。
そう言えば…王子には直接言ったことなかったな…。
今思えばあの頃の王子は子供から大人へと変化する時期の独特な雰囲気と、少年と少女の中間的な雰囲気を醸し出して大人達は魅力的に感じていたのかもしれない。
あの頃の俺は王子に寄ってくる、変な大人を蹴散らすのに苦労してたからな。頑張ってたよな俺。
当の本人は凄い鈍感力で天然スルーしてたけど…。
それは今も変わってなさそうだな。
ふ~、本当は今すぐに抱きしめたいし、もっと触れあいたいけど、今の王子だとすぐに逃げられるだろうというのが俺にもわかるからできない。
ジレンマ…か。まさか俺がこんな風になるなんてな。
王子を甘やかしてもっとあの可愛い笑顔を俺にだけ向けて欲しい。
独占欲の強い男は嫌われる!と姉さんから言われたが仕方ないだろ!俺だってこんな自分に戸惑っているんだ。
親からも無表情だとか何事も淡白すぎだと言われてきた俺が、王子に対してだけは執着が凄くて家族から引かれたくらいだ。
犯罪者にはなるなよ…と親父に肩を叩かれた時にはさすがに驚いた。
だが、家族から見た俺はそれぐらいおかしいらしい。
でも王子の事だけは諦められない。
それは絶対だ。
今回の海外の名門バレーチームからのスカウトの話は二人の関係を王子に考えてもらう良いきっかけになると思った。
海外に俺が行く事になると必然的に会うことが難しくなる。王子はきっと寂しいと言ってくれるんじゃないかと期待した。…が、反応は違っていた。
単純に俺の活躍を喜んでくれている王子を見て複雑な気持ちになった。
王子は俺が離れる事を寂しいと思わないのか…。
落ち込みそうになっていたら、王子が俺の為に頑張ると口にしたんだ。
え…可愛すぎるだろ?
王子は新手の小悪魔なのか?
俺と離れるのは寂しくないくせに、俺の為には頑張れるんだ。
俺は考えるよりも先に体が動いて、気がついたら王子を抱きしめていた。
柔らかな感触と体温、それと女性の香り…。
静かな時間が流れる中で、俺の腕の中にいる王子がもぞもぞと動いているのがわかった。
あっ…しまった!
これ、きっとどうして良いかわからずに困ってる。正直に可愛いから抱きしめた…なんて言ったら明日からまともに話をできない可能性がある。
どうする俺…。考えろ!
案の定、王子が俺になぜ抱きしめたのかと聞いてきたぞ!
王子に拒否されず、疑われない言い訳…。
そうだ!よく外国人選手が言っているあれを使おう!
感謝の気持ちだ。
俺は咄嗟にチームに在籍する外国人選手がよく「ありがとう」とカタコトで話ながらハグをしてくる時に話していた事を思い出した。彼らいわく感謝の気持ちを表している、ボディーランゲージだよ…と言っていたんだ。
ドキドキしたが、王子は納得してくれたみたいでほっとした。
そういえば、今日は頼んでいたものが出来上がると連絡がきていたのを思い出した。
他の男を牽制するために、少しでも早く王子にアレを渡したい。
そうだ、この流れで食事に誘えば不自然じゃないよな。
その時にサプライズプレゼント!
いける!これは良いよな。
食事に誘うと王子も喜んでくれたみたいだし、プレゼントを見た時の王子の反応が楽しみだな…。
喜んでくれるよな…。
たぶん…。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
けいこ
恋愛
カフェも併設されたオシャレなパン屋で働く私は、大好きなパンに囲まれて幸せな日々を送っていた。
ただ…
トラウマを抱え、恋愛が上手く出来ない私。
誰かを好きになりたいのに傷つくのが怖いって言う恋愛こじらせ女子。
いや…もう女子と言える年齢ではない。
キラキラドキドキした恋愛はしたい…
結婚もしなきゃいけないと…思ってはいる25歳。
最近、パン屋に来てくれるようになったスーツ姿のイケメン過ぎる男性。
彼が百貨店などを幅広く経営する榊グループの社長で御曹司とわかり、店のみんなが騒ぎ出して…
そんな人が、
『「杏」のパンを、時々会社に配達してもらいたい』
だなんて、私を指名してくれて…
そして…
スーパーで買ったイチゴを落としてしまったバカな私を、必死に走って追いかけ、届けてくれた20歳の可愛い系イケメン君には、
『今度、一緒にテーマパーク行って下さい。この…メロンパンと塩パンとカフェオレのお礼したいから』
って、誘われた…
いったい私に何が起こっているの?
パン屋に出入りする同年齢の爽やかイケメン、パン屋の明るい美人店長、バイトの可愛い女の子…
たくさんの個性溢れる人々に関わる中で、私の平凡過ぎる毎日が変わっていくのがわかる。
誰かを思いっきり好きになって…
甘えてみても…いいですか?
※after story別作品で公開中(同じタイトル)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる