14 / 43
14. 姫からの贈り物
しおりを挟むなぜ今私は姫野に抱きしめられているのでしょうか…。
会社の打ち合わせ室で身動きがとれないくらいに強く抱きしめられている理由がまったく思い当たらなくて戸惑ってしまう。
だけど…姫野って良い香りがするな。柑橘系?シャンプーの香りなのかな…。さすが爽やかイケメンだな~。ん?そう言えばさっき私…汗かいたかもヤバい。私って姫野と違って汗の臭いがしてるかも!
これは早く離してもらわないと!
「あの…姫野…このハグは何のハグ?今は誰もいないし、婚約者らしくしなくて大丈夫だと思うんだけど…。それに私…汗臭いかもしれないから…」
わからないことは聞いてみるのが早いので姫野に問いかけてみた。するとすぐに姫野が私から離れてくれた。
あまりの速さにやっぱり私…汗臭かったのかなと思ってしまう。
少しショックだよ。
「あっ、いや…感謝のハグだよ。忙しいのに俺の為に頑張ってくれると言ってくれたからね。うん、感謝のハグ。それに全然汗臭くなんかないし、むしろ良い香りが…」
慌てた様子で顔を赤くしながら話している姫野が可愛く見える。感謝のハグか…。
「そっかそっかそれならわかるよ」
それに汗臭く無かったらしいからひと安心だよ。
「あのさ、もうひとつ良いかな。今日って退社後予定ある?なければ感謝の気持ちを込めてご飯を奢りたいんだけど…どうかな?」
そんなに感謝してくれるの?私の仕事なんだから別にそこまでしてくれなくても良いのに。
「予定は無いけど…。奢ってもらうのは悪いからワリカンでご飯に行かない?」
「王子がそれで良いならオッケーだよ。じゃあ、仕事が終わったら連絡くれるか?」
「わかった。終わったら連絡するね」
姫野は嬉しそうに会社を出ていった。
今日から残業して姫野の靴を仕上げようと思っていたけど、今日は無理そうだな。明日からとりかかろうと決意する。
仕事を片付けようと机に戻ると柚菜ちゃんのお兄さんの悠人さんからのメモが貼り付けられていた。
"今度、柚菜も一緒に食事に行こう。僕の帰国を一緒にお祝いしてくれるかな?"と書いてある。
これは断れないやつだよね。悠人さんの電話番号知らないから柚菜ちゃんに連絡すれば良いかな。それにしても今日はご飯に誘われる日なんだね。後で姫野にも話してみよう。
集中して仕事をしていたせいかあっという間に仕事の終了時間になった。
急いで姫野に連絡して会社の近くの行きつけのお店で待ち合わせをすることになった。
店には私の方が先に到着した。ここは学生の頃から利用しているイタリアンのお店で今でもお世話になっているんです。何でも美味しいし、量があるから満足感がハンパないんです。
「いらっしゃい。今日は一人?」
顔見知りのマスターが気軽に声をかけてきてくれた。
イタリアンで修行してきたマスターは話しやすくて、マスターに会いに来ている人も多いんですよ。
「今日は姫野と待ち合わせなんですけど、奥の個室空いてますか?」
このお店には奥に2つ個室があって、手前はカウンターと4人席が2つあるという比較的にこじんまりとした店作りなんです。私は大丈夫だけど、たぶん姫野がゆっくりと食事をするのなら個室の方が良いよね。
「おっ、そうだ。婚約発表したんだったよね。おめでとう。今日はワインを1本お祝いにプレゼントするよ。個室は一番奥が空いてるから使って良いよ」
情報に疎いマスターまで知っているなんて、どれだけ婚約発表会見は放送されたんだろう。考えるのが怖いな…。
奥の個室に行こうとしていた時、私の後ろにあったお店の扉が開いた。
「噂をすればだな。いらっしゃい姫様。お祝いに好きな赤ワインをプレゼントするから2人で飲んでくれ」
「ありがとうございます。マスターワイン一本と言わず何本でももらうよ」
姫野がマスターの近くに行って手を出している。こんなお茶目な姫野を見たこと無かったから驚いてしまった。
「何言ってるんだ。この店の売り上げにもっと貢献してから言ってくれ」
ハハハッと二人で笑いあっている。
姫野って男同士だとこんなやり取りしてるんだ…。知らなかった。無口な姫野ではないんだ。
知らない一面を見ることができて少し口角が上がってしまう。
「早く奥の個室に行けよ。好きな料理を用意して、ワインと一緒に持っていくよ」
マスターが忙しそうに料理をしながら目線で私に奥に行けと合図をしてくる。
確かにカウンターのお客様がチラチラと姫野と私を見て話しているのがわかる。確かに早く奥に行った方が良いみたい。
「姫野、奥に行こう」
姫野の服の袖を引っ張り声をかけた。
「わかった」
姫野はマスターに手を上げて私を追い越して先に奥の個室に行ってしまった。
個室に入ると小さな箱がテーブルの上においてあった。今までこんなのお店で見たことがない。
「これ、何だろうね」
姫野は見たことがあるかもしれないと思って聞いてみたら、黙って箱を私の方に押し出してきた。
「これは俺から…」
「え…?」
姫野から私にプレゼント?
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
推活♡指南〜秘密持ちVtuberはスパダリ社長の溺愛にほだされる〜
湊未来
恋愛
「同じファンとして、推し活に協力してくれ!」
「はっ?」
突然呼び出された社長室。総務課の地味メガネこと『清瀬穂花(きよせほのか)』は、困惑していた。今朝落とした自分のマスコットを握りしめ、頭を下げる美丈夫『一色颯真(いっしきそうま)』からの突然の申し出に。
しかも、彼は穂花の分身『Vチューバー花音』のコアなファンだった。
モデル顔負けのイケメン社長がヲタクで、自分のファン!?
素性がバレる訳にはいかない。絶対に……
自分の分身であるVチューバーを推すファンに、推し活指南しなければならなくなった地味メガネOLと、並々ならぬ愛を『推し』に注ぐイケメンヲタク社長とのハートフルラブコメディ。
果たして、イケメンヲタク社長は無事に『推し』を手に入れる事が出来るのか。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?
石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。
ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。
ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。
「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。
扉絵は汐の音さまに描いていただきました。
月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜
白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳
yayoi
×
月城尊 29歳
takeru
母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司
彼は、母が持っていた指輪を探しているという。
指輪を巡る秘密を探し、
私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる