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6. 生け贄としての決意
しおりを挟むどうしたら良いのでしょうか…。
あれから毎日神様が私の元を訪れてはくださるのですが、いっこうに私を食べてくださる気配がないのです。
私はいつその時が来ても良いように、お会いする前には入浴して身体を清め(美味しく食べていただくため)柑橘系のオイルを身体に塗り(爽やかなお味の方が良いかと思い)少しでも美味しく食べていただくための準備をしているのです。
それなのに、私に会いに来た神様はいつも美味しいお菓子をお土産に持って来てくださり、楽しい会話をして帰られてしまうのです。
…私はまだ食べていただくにはお肉が足りないのでしょうか。
ここに来てから少しはふっくらとしましたし、庭園をお散歩しているので健康的になったと思うのですが…。
はっ!
もしかして…運動してしまったことで筋肉が付き、筋ばった肉=固い肉になってしまったのかしら…。
私としたことが…配慮が足りていませんでしたわ。
神様は柔らかいお肉がお好きなのでしょうか?
今日来られたら聞いてみないといけませんわね。
ココン。
噂をすれば神様がいらっしゃったみたいです。
「どうぞ、開いております」
扉を開けたのは、やはり神様でした。
「アクア、変わりはないかい?」
神様はいつも私に優しい笑顔を見せて下さいます。話し方も最初の頃より優しい感じになりました。
「はい。いつも気にかけていただきありがとうございます」
「これおやつに食べると良いよ」
神様が私に差し出したのは綺麗な花の形をしたケーキです。
「綺麗…食べるのがもったいないです」
でも食べないと太る事ができません…あっ、そうでしたわ。
「神様…少しお聞きしたいことがあるのですがよろしいですか?」
「なんだい?」
「神様は固いお肉と柔らかいお肉のどちらがお好きなのでしょうか?」
神様は少し驚いた顔をして私をみています。
「…急にどうしたの?この前食べたお肉が気に入らなかった?」
確かに2日前の夕食にお肉が出ていましたがそのことではありません。あのお肉はとても美味しかったです。
「そうではありません。神様の好みを知りたいと思ったのです」
「私の好み…そうだね…しいて言えば柔らかいお肉の方が好きかな」
やっぱり!
あ~、散歩の距離を短くして運動を減らさなくてはなりませんわ。
「変なアクアだね。1人で百面相してるよ」
神様が優しく私の頭を撫でて下さいます。
神様の手…私は大好きです。
今まで誰にも身体に触れられることが無かったからなのか、ここに来て神様に触れられると心がポカポカとあたたかくなる気がするのです。
気持ちいいと言うのか…。
心が安らぐと言った方が良いのか…。
生け贄なのに私ばかりが良い思いをしてはいけませんよね!
だから、私に優しくしてくださる神様に喜んで頂ける様に好みの柔らかいお肉に私はならなければいけません!
頑張りますわ!!!
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