76 / 80
76. シャルルの未来
しおりを挟むエルル様…私の異母兄から母さんに手紙がきた。
内容は母さんが教えてくれた。
私の実父がアルダール国にやって来るので、その時に私に会えないかというものだった。
「シャルルはどうしたい?」
私、私は…。
「…会ってみたいかな」
「そう…じゃあ、その準備をするわね」
母さんは何とも言えない表情をしている。
「姉さん…」
アロムが私の服の端をひっぱってこそっと、話しかけてきた。
「何…どうしたの?」
アロムが手招きしてこっちにこいと外に呼ばれた。
2人とも外に出た所でアロムが真剣な顔で話し出した。
「母さん達が話していたのを偶然…偶然だよ、聞いたんだけど…姉さんの事を話してたんだよ」
「私の事って何?」
「姉さんが向こうの国に行くんじゃないかって話しだよ…」
「私が!何で?」
「だって…姉さんはお姫様だったんだよね…わかってしまえば国で御披露目しないといけないだろうからって…」
「…そんな事、考えてなかった」
「姉さんらしいな…でも、考えとかないといけないと思うよ。マウル様と結婚するにはお姫様の方がすんなりいくだろうし…」
「そうか…ありがとうアロム、教えてくれて…考えてみるよ」
それで母さんのさっきの表情だったのかな…。
でも、本当に考えないといけないよね。
でも、私はお姫様になりたいわけでもないんだよね。
まあ、異世界転生したことに気がついた始めの頃は…何で普通の村人なんだ?って言ってたけど…。
ある意味…女神様が私の願いを叶えてくれていたわけだよね。
実はお姫様だったり、イケメンと恋愛できたり…。
今でも、幸せすぎて怖いのに…。
これ以上は、贅沢というか…。
お父さんには会ってみたい…だけど…。
でも、この考え方が贅沢なのかな?
私はお姫様として産まれて、知らなかったとはいえ、周りに守られて生きてきた…。
その恩返しをしないまま、自分だけが幸せになって良いものだろうか…。
私は自分のやるべき事をやっていないよね。
私は王様と会って先の事をきっちりと話さなければいけないのかもしれない。
ただ会うだけでは駄目なんだ…。
私がこの異世界に転生してやるべき事…。
それを今からやっていけば良いのかな…。
よし…まずはマウルにお手紙をだそう。
マウルにも理解してもらっておかないとね。
愛するマウル様
拝啓、如何お過ごしでしょうか。
私は今度、ロンダールの王様とお会いすることにしました。
そこで考えたのですが、結婚は少し待っていただけませんか。
私はロンダール国で自分のやるべき事をやって私を今まで助けてきてくれた人々に恩返しがしたいのです。
それが終わったらロンダール国の姫としてマウル様の元に嫁ぎたいと思っているのです。
何年後になるかはわかりませんが、待っててくださいますか?
良いお返事をお待ちしております。
シャルル
これも、速達伝書鳩で送ろう。
女神様、これで良いんですよね…。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
白い結婚はそちらが言い出したことですわ
来住野つかさ
恋愛
サリーは怒っていた。今日は幼馴染で喧嘩ばかりのスコットとの結婚式だったが、あろうことかバーティでスコットの友人たちが「白い結婚にするって言ってたよな?」「奥さんのこと色気ないとかさ」と騒ぎながら話している。スコットがその気なら喧嘩買うわよ! 白い結婚上等よ! 許せん! これから舌戦だ!!
美醜逆転異世界に転移したおっさんは気付かない
仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。
トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した異世界だったが、柴田はそれに気付かない。
美人の奴隷が安かったから買ったが、いつか刺されるのではないかという妄想に取りつかれてしまう。
そんな哀れなおっさんの勘違いの話。
魔がさした? 私も魔をさしますのでよろしく。
ユユ
恋愛
幼い頃から築いてきた彼との関係は
愛だと思っていた。
何度も“好き”と言われ
次第に心を寄せるようになった。
だけど 彼の浮気を知ってしまった。
私の頭の中にあった愛の城は
完全に崩壊した。
彼の口にする“愛”は偽物だった。
* 作り話です
* 短編で終わらせたいです
* 暇つぶしにどうぞ
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
皇帝癒し人~殺される覚悟で来たのに溺愛されています~
碧野葉菜
キャラ文芸
人を癒す力で国を存続させてきた小さな民族、ユニ。成長しても力が発動しないピケは、ある日、冷徹と名高い壮国の皇帝、蒼豪龍(ツアンハウロン)の元に派遣されることになる。
本当のことがバレたら、絶対に殺される――。
そう思い、力がないことを隠して生活を始めるピケだが、なぜか豪龍に気に入られしまい――?
噂と違う優しさを見せる豪龍に、次第に惹かれていくピケは、やがて病か傷かもわからない、不可解な痣の謎に迫っていく。
ちょっぴり謎や策謀を織り込んだ、中華風恋愛ファンタジー。
貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
譚音アルン
ファンタジー
ブラック企業に勤めてたのがいつの間にか死んでたっぽい。気がつくと異世界の伯爵令嬢(第五子で三女)に転生していた。前世働き過ぎだったから今世はニートになろう、そう決めた私ことマリアージュ・キャンディの奮闘記。
※この小説はフィクションです。実在の国や人物、団体などとは関係ありません。
※2020-01-16より執筆開始。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる