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56. キャルルの計画 〈キャルル視点〉

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「もう!お母様は何をなさっていますの…遅いですわ」

マウル様とすぐに結婚できると思っていましたのに…なぜこんな事になったの…おかしいですわ。

最近はお母様も、何だかおかしいですし…。

部屋からなかなか出て来ないようになりましたの。

いつもより、念入りにお洒落をしているからです…とおっしゃっていたけど誰に見せるの?

お部屋で何かをしていらっしゃるのかしら?

今日も今後の事を話し合う約束をしたのに、時間になっても私の部屋に来ませんわ…。

覗きにいこうかしら…。
でも、見つかると恐ろしいですわね…止めておきますわ。

マウル様も会いには来て下さらないから、退屈ですわ。

もしかして、あの女と会っていらっしゃるのかしら…。

結局あの女は、何も質問には答えませんでしたわね。

マウル様の"運命の花"としか、わかりませんわ…。

悔しいですわ…。あの女の方が先に印が出来ていたなんて…。
まあ、私の印の方が大きくて綺麗でしたけどね…。

お母様に頂いた薬を使いたくても、マウル様と2人きりにならないといけませんし…。

…そうですわ。

…2人きりになれないのなら、なれるようにすれば宜しいのですわ…。

確か…前にアレをもらって、この中に入れたままだと思ったのですけど…。

ありましたわ。

お父様やお兄様にお説教される時、楽に逃げ出す用に持っていましたけど…まさか、こんな事に使うとは思いませんでしたわ…。

これは時間制限があるとか…言っていた様な気がしますが…忘れましたわ。

でも、すぐに済ませば良いだけですわよね。

まずは、マウル様が今どこにいらっしゃるのかを調べないといけませんわね。

それから、準備するものは…。

1人では大変そうですわね…。

そうだわ、サリアに手伝ってもらいましょう。

もうすぐ、家族になるのだし、マウル様も喜ぶ事だと言えば、サリアもきっと喜んで手伝ってくれますわ。

そうね、そうすれば早く出来ますわね。

準備ができたら、まずサリアに会いに行って…ではなくて、サリアに先に話しをして手伝ってもらった方が良いかもしれませんわ…うん、その方が宜しいわね。

早速、サリアの部屋に向かいますわ。



「サリア、私ですわ…キャルルですわ」

侍女が扉を少し開けて出てきた。

「申し訳ございません、キャルル様。サリア様は只今、来客中にございます」

来客中?私の要件は急いでおりますのよ。

「来客に帰って頂けないかしら。私は急ぎの要件がございますのよ」

「申し訳ございません。キャルル様はお会いする約束もされていらっしゃらないので、優先することは無理でございます」

なんですの、この侍女…失礼ですわ!
私は隣国の姫でマウル様の妻になる女なのよ!

「あなた…なんですの…ただの侍女のくせに…口を閉じなさい」

 パァン!

私はその侍女の頬を叩いた。

お母様がよく侍女に躾としてやっているのを見たことがある。
しっかりと身分を教えて込まないといけません、とお母様が私におっしゃっていましたわ。

「私は取りつぎなさいと言っているのですわ…」

すると、扉が開いて中からサリアが出てきた。

「何があったのですか?キャルル様…」

そう言いながら侍女の前にサリアは立った。

「その侍女がサリアに取りつがないので、躾をしたのですわ」

サリアは驚きの表情を見せたが、すぐに頭を下げた。

「申し訳ございません。侍女の教育が足らず不快な思いをさせてしまったのならお詫び致します…。それで、私にどのような御用があるのでしょうか?」

サリアはやっぱり、わかっているわね。

「話がはやいですわ。実はサリアに手伝って欲しい事がありますの…」


私はサリアに内容を話した。

「マウル様の為にやりたい事がありますの。それは……」














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