上 下
29 / 80

29. 可愛い私の娘

しおりを挟む

「お母様ただいま戻りましたわ」

久しぶりに私の可愛い娘に会った。

「お帰りなさい。私の可愛いキャルル」

私の娘のキャルルは、私の若い頃にそっくりで、とても可愛いの。

性格も素直で明るくて純真で…文句の付け所がまったくないんですのよ。

その娘が最近、恋をしたみたいなのです。

相手は隣国の王子様。

息子の学友でもありますのよ。

私の息子は、それはもうすごい美男子ですが、マウル王子もまぁまぁの美男子ですものね。

私の息子が美しいすぎますから比べるのは可哀想ですわね。

でも、身分や容姿など総合的に見て、キャルルにピッタリのお相手だと思いますわ。

2人が並んでいる姿を想像すると絵画のようですわね。

美男美女、私と旦那様みたいですわね。

きっと、向こうも私に似て美人で性格も良いキャルルに好意を持たれていると知ったら喜びますわね。

でも、キャルルの話だとお相手のマウル様は極度の恥ずかしがりやさんで、ご自分からは動かない人だからキャルルが大変なのだと聞いていますわ。

そこは、どうなのかしらね。

男なら女に苦労をさせるべきではないですわ。


でも、流石、私の娘ですわね。

一途に尽くす所は私に似たのですわね。

私も旦那様に出会った頃は随分と尽くしましたわ。

だって、私と旦那様が出会った時にはすでに、旦那様は悪女と結婚させられていましたの。
ですから、私と堂々と愛し合うことができませんでしたもの。

もう少し、早く出会えていれば夫に苦労させなかったのにと思いましたわ。

悪い女に捕まって、結婚までさせられていた可哀想な旦那様を助けるために、色々と手を尽くしましたのよ。


1日でも早く悪女と別れて、私と結婚できるように。


でも、あの悪女はしぶとかった…。


旦那様に迷惑がかからないように人を雇い、薬を使い、あの手この手で、あの悪女を追い詰めましたの。

最初は側室として様子を伺いながら…。

そうした、努力があるから今の幸せがあるんですわ。

あら、そう考えれば私も旦那様に苦労させられていますわね。


そうですわ、キャルルにも幸せになってほしいから色々と教えてあげましょう。

どうすれば、好きな人とスムーズに結ばれるか…。

私の時と同じで"運命の花"を使うのが一番良いわね。

あの時の魔術師はまだ生きているのかしら?

探させないといけませんわね。

あの印さえ上手く使えば早く結ばれるますものね。

本当にあの物語を広めてくれた人に感謝しますわ。

好きな人と同じ印を肌につけるだけで結ばれるんですもの…。

まぁ、お金は多少かかりますが、将来を左右することですから仕方ありませんわね。

あと準備するものは…。

そうですわ…あの薬も必要かもしれませんわね。

手にいれておかないと…。



私によく似た可愛い娘の為に、母が協力してさしあげますわ。

必ず、マウル王子と結婚できるように…。

母にとっては簡単なことですわ。

待っていなさいね、キャルル。









しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化になったら 〜厄介事(第二王子と侯爵子息)が舞い込んできたので、適当にあしらいました〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「『面倒』ですが、仕方が無いのでせめて効率的に片づける事にしましょう」  望まなかった第二王子と侯爵子息からの接触に、伯爵令嬢・セシリアは思慮深い光を瞳に宿して静かにそう呟いた。 ***  社交界デビューの当日、伯爵令嬢・セシリアは立て続けのトラブルに遭遇する。 とある侯爵家子息からのちょっかい。 第二王子からの王権行使。 これは、勝手にやってくるそれらの『面倒』に、10歳の少女が類稀なる頭脳と度胸で対処していくお話。  ◇ ◆ ◇ 最低限の『貴族の義務』は果たしたい。 でもそれ以外は「自分がやりたい事をする」生活を送りたい。 これはそんな願望を抱く令嬢が、何故か自分の周りで次々に巻き起こる『面倒』を次々へと蹴散らせていく物語・『効率主義な令嬢』シリーズの第2部作品の【簡略編集版】です。 ※完全版を読みたいという方は目次下に設置したリンクへお進みください。 ※一応続きものですが、こちらの作品(第2部)からでもお読みいただけます。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。 「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。 現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。 ゆっくり更新です。はじめての投稿です。 誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ
ファンタジー
女子校に通う高校2年生の橘優奈は学校からの帰り道、突然『【職業】錬金術師になりました』と声が聞こえた。 空耳かと思い家に入り試しにステータスオープンと唱えるとステータスが表示された。 しばらく高校生活を楽しみつつ家で錬金術を試してみることに 。 すると今度はダンジョンが出現して知らない外国の人の名前が称号欄に現れた。 緩やかに日常に溶け込んでいく黎明期メインのダンジョン物です。 小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。

女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。 麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。 使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。 厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒! 忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪ 13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください! 最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^ ※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!  (なかなかお返事書けなくてごめんなさい) ※小説家になろう様にも投稿しています

転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。 生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。 絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。 しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

処理中です...