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12. 調査
しおりを挟む昨日、以前に女神の祠で出会ったアルダール国の調査団の1人がうちの店にやって来た。
一瞬、私に処罰を言い渡しに来たのかと思ったがすぐに違うとわかった。
"なんでも屋"に仕事の依頼をしにきたのだ。
名前はファドさん。
依頼内容は『光石の調査をしたいが、この辺の山に詳しくないので誰か山に詳しい人に案内をしてほしい』というものだった。
一番山に詳しいのは父なのだが、王都での仕事依頼があるとかで、ここ最近は家に帰って来ていない。
次に、母に頼もうとしたが、母も別件の依頼があり無理だと断られた。
弟のアロムは自分が案内すると言ったのだがそれはすぐに却下した。理由は、毎日女性からのアロムご指名の依頼が大量にきているからだ。
お店としては稼ぎ頭のアロムに頑張ってもらわなくてはいけないのです。
アロムは私が男性と2人きりになることが気になるみたい。
可愛いな弟よ。
なので、結局は私がファドさんを案内することになりました。
調査の1日目は村の人に色々とファドさんだけで聞いていたみたい。
2日目から私と一緒に山に調査にいきました。
今は、女神様の祠と反対の山の裏側に来ています。
「気になっていたのですが、祠にあった光石はどこから持って来ていたんですか?」
「両親に聞いた話だと女神様の祠を作る時に、この付近で大量に見つかったと言っていました」
「そうなんですね。では、この付近をよく探して見ましょう」
落ちている石などを拾いながらファドさんは光石を見つけようとしているみたいだ。
「ところで、シャルルさんはこちらの村でお生まれになったのですか?」
「生まれたのはこの村ではないと思います。母が前に赤ちゃんの私を連れてこの村にやって来たと話をしていたので」
「そうなのですね。では、ご両親はどちらからいらっしゃったのでしょうか?」
「両親ですか?…恥ずかしい話ですが、私もはっきり知らないんです。聞いてみても曖昧にされてしまうんですよね」
「何かあるですかね?」
「わかりません。私が両親のことで知っているのは、父は元騎士で母は元侍女だったということくらいです」
ファドさん、どうしたんだろう?
やたら私の家族の話を聞いてくるな。
静かだとやりにくいから?
だとすると、お客様に気を使わせてはダメだよね。
「あの~、私もファドさんに質問させてもらっても良いですか?」
「どうぞ」
「女神様の祠で一緒にいた方とファドさんは貴族様ですか?」
「そうです。私は公爵家の次男なんです」
やっぱりそうなのか。
「では、やはりファドさんではなく、ファド様とお呼びしたほうが良いと思うのですが…」
「僕は堅苦しいのが苦手で本当に今のままで良いです。あっ、でも前に僕と一緒にいた方には"様"でお願いします」
「はい」
ビスクドール男さんはファドさんの上司なのかな?
それとも身分が上?
でも、公爵家より身分が高いとなると…。
「あれは!!」
ファドさんが急に大声をあげて走り出した。
何かを見つけたようだ。
「素晴らしい…」
ファドさんの目の前には先日、小さな山崩れがあった時に現れた小さな岩山がある。
「先日、山崩れがあり、この岩山にのっていた土等が落ちて岩肌が現れたみたいです」
とファドさんに説明した。
「隠れていたんですね。こんな素晴らしい資源が…」
ファドさんが興奮しているみたいだ。
「岩山が素晴らしいんですか?」
「あれは、ただの岩山ではありません。光石などが含まれているのです」
「え!?」
「採掘しないと確かなことはわかりませんが間違いないと思います」
何だか、とんでもないものを発見してしまったみたいです。
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