ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

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2-42 明日にしませんか?

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「おい、いつまでそうしているつもりだ?」

 ヴァン様がいじけて座っている僕のまえで仁王立ちして睨んでいる。

 だってさ、結局は僕の意志なんて無視して勝手に魔王様との契約をすませたんだよ!それはないよね…。おかげで…。

『もう契約は取り消せないのだから諦めろ』

 僕の中にいる魔王様が直接頭の中に話しかけてくるんだよ~!

 僕だってわかってはいるけどさ…。

「まだ片付けないといけないことが沢山あるんだから置いていくぞ」

 ヴァン様は相変わらず冷たいし…。

「わかりましたよ!動けば良いんでしょ、動けば!」

 僕は立ち上がりヴァン様を睨んだ。こんなの抵抗にもならないだろうけどね。

「魔王、あの黒い水晶がどこにあるのかは知っているのか?」

 ヴァン様が僕に話しかけてるんだけど、これって知らない人が見たら僕が魔王って呼ばれているみたいに見られると思うんだけど…大丈夫かな?

『ああ、あれなら我が全部持っているぞ』

「え?」

 驚いて思わず声が出ちゃったよ。

「魔王は何て言っているのだ?」

 ヴァン様には魔王様の声は聞こえないから僕が通訳のように魔王様の言葉を伝えた。するとヴァン様は「そうか…」と言って黙ってしまった。

 何か考えてるみたいだ。

 それにしても魔王様ってこんなに素直に何でも教えてくれているけど…良い人?いや、良い魔族?

『ハハハハハッ!お前の考えは我に筒抜けだぞ』

 頭の中で魔王様の笑い声が響く。

 いや、考えが筒抜けなんて笑っていられないんですけど~!

『心配するな。ただ退屈なだけだ。たまには違う景色が見てみたいと思う時があるんだ。争いは好きだが、ずっとしていると飽きるのだ』

 争いに飽きた…なんていかにも魔王様らしい言葉なのかもね。だけど僕と契約した理由が退屈だから…ってどうなのこれ。

「魔王、黒い水晶が無いとこの先どうなるのだ?」
 
 ずっと何かを考えこんでいたヴァン様がやっと話し始めた。

『そうだな…我の魔力が弱まるくらいで消滅はしないな』

「そうなの?」

 じゃあ、なんであの黒い水晶が必要だったの?力を増幅させる為だけの物だったってこと?

 不思議に思いながらも、そのままヴァン様にまた通訳する。

「そうなのか…。壊す必要も無いみたいだな」

 ヴァン様の中で何か解決したみたいな顔をしてる。

「じゃあ、城に行くぞ」

 ヴァン様が急に僕を引っ張って空を飛び始めた。

「え!?今からお城に行くんですか?明日でも良くないですか?…と言うか明日にしませんか?」

 だってかなり疲れてるんだよ。別に魔王様も僕と契約したんだし、危なくないんでしょ?

「却下!」

 いつものように鼻で笑われて一言で終了~!

 あ~!!!僕の平穏な生活はいつになったら戻ってくるんだよ~!!!

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