163 / 169
2-42 明日にしませんか?
しおりを挟む「おい、いつまでそうしているつもりだ?」
ヴァン様がいじけて座っている僕のまえで仁王立ちして睨んでいる。
だってさ、結局は僕の意志なんて無視して勝手に魔王様との契約をすませたんだよ!それはないよね…。おかげで…。
『もう契約は取り消せないのだから諦めろ』
僕の中にいる魔王様が直接頭の中に話しかけてくるんだよ~!
僕だってわかってはいるけどさ…。
「まだ片付けないといけないことが沢山あるんだから置いていくぞ」
ヴァン様は相変わらず冷たいし…。
「わかりましたよ!動けば良いんでしょ、動けば!」
僕は立ち上がりヴァン様を睨んだ。こんなの抵抗にもならないだろうけどね。
「魔王、あの黒い水晶がどこにあるのかは知っているのか?」
ヴァン様が僕に話しかけてるんだけど、これって知らない人が見たら僕が魔王って呼ばれているみたいに見られると思うんだけど…大丈夫かな?
『ああ、あれなら我が全部持っているぞ』
「え?」
驚いて思わず声が出ちゃったよ。
「魔王は何て言っているのだ?」
ヴァン様には魔王様の声は聞こえないから僕が通訳のように魔王様の言葉を伝えた。するとヴァン様は「そうか…」と言って黙ってしまった。
何か考えてるみたいだ。
それにしても魔王様ってこんなに素直に何でも教えてくれているけど…良い人?いや、良い魔族?
『ハハハハハッ!お前の考えは我に筒抜けだぞ』
頭の中で魔王様の笑い声が響く。
いや、考えが筒抜けなんて笑っていられないんですけど~!
『心配するな。ただ退屈なだけだ。たまには違う景色が見てみたいと思う時があるんだ。争いは好きだが、ずっとしていると飽きるのだ』
争いに飽きた…なんていかにも魔王様らしい言葉なのかもね。だけど僕と契約した理由が退屈だから…ってどうなのこれ。
「魔王、黒い水晶が無いとこの先どうなるのだ?」
ずっと何かを考えこんでいたヴァン様がやっと話し始めた。
『そうだな…我の魔力が弱まるくらいで消滅はしないな』
「そうなの?」
じゃあ、なんであの黒い水晶が必要だったの?力を増幅させる為だけの物だったってこと?
不思議に思いながらも、そのままヴァン様にまた通訳する。
「そうなのか…。壊す必要も無いみたいだな」
ヴァン様の中で何か解決したみたいな顔をしてる。
「じゃあ、城に行くぞ」
ヴァン様が急に僕を引っ張って空を飛び始めた。
「え!?今からお城に行くんですか?明日でも良くないですか?…と言うか明日にしませんか?」
だってかなり疲れてるんだよ。別に魔王様も僕と契約したんだし、危なくないんでしょ?
「却下!」
いつものように鼻で笑われて一言で終了~!
あ~!!!僕の平穏な生活はいつになったら戻ってくるんだよ~!!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる