ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

文字の大きさ
上 下
159 / 169

2-38 実は見ていたフルド

しおりを挟む

 た、大変なことになっちゃったよ!!!

 実はヴァン様が心配でマントで姿を隠してこっそりついてきていたんだけど、まさかこんな展開になるなんて思っていなかったよ。

 いつものようにヴァン様があっさり解決して終了~!みたいになるものだとばかり思ってた!

 いや、でもヴァン様の事だからこの拘束されているのにも考えがあるとか…?

 ここは様子をみるべきなのかな。

 僕は迷いながらもヴァン様の周りをグルグルと歩いていた。

「はぁ~」

 大きな溜め息をついたヴァン様の目線が僕と合ったような気がする。…気のせいかな?

「ハハハッ!とうとう諦めがついたのか。あの方のお役にたてるのだから喜べ」

 教皇が高笑いしながらヴァン様に話しかけているけど、ヴァン様は目線すら合わせていない。

 コミュニケーションとるつもりが無いんだね。

「本当はこんな事をしたくは無かったのだが仕方あるまい…」

 ヴァン様はそう言うと自分の唇を噛んで出た血を舐めた。

 するとヴァン様の身体が仄かに発光し始めた。

 えっ!?何がおきているんだ!?

 光がおさまりヴァン様の居たところを見るとそこには…。

「はぁ?な、何がおきたんだ!」

 大きな声を出して驚く教皇。

 そりゃそうだよね…。

「何でそんな姿になったんだ!?」

 うん、わかりますよ。その驚き。

 だってヴァン様が子供の姿になっているんだからね。

「だから本意ではないと言っていただろう。私だってこの姿にはなりたくなかったが、この拘束から逃れる為には小さくなるしかなかったからな…」

 ん?

 いや、ヴァン様は蝙蝠に変身できるよね。蝙蝠の方がもっと簡単に抜けられてない?

 もしかして…あの姿は人には見られたくないのかな。知らなかったよ。

 まあ、簡単に子供に変身できるのも知らなかったけどね。

 だけどやっぱりヴァン様だな。僕の助けはいらなかったね。

 子供になったヴァン様は拘束されていた椅子から抜け出して飛びおりた。

 教皇は魔力を吸いとられる?みたいな事を言っていたけど支障はなさそうだな。普通に動けている。

「何でそんなに動けるんだ?椅子が壊れていたのか?」

 教皇はちょっとパニックになってるのかな?独りでブツブツと呟きながらヴァン様が座っていた椅子を調べている。

 その時ヴァン様が教皇に近づいて椅子の肘おきに教皇の腕を力強く置いた。置いた瞬間に見覚えのあるベルトが出てきて教皇の腕に巻き付いた。

「なっ!」

 驚きの表情でヴァン様を見る教皇。

「椅子の故障を疑っているんだろう?自分で試した方が良いかと思ってな」

 相変わらず表情を変えずに淡々と話すヴァン様。流石です。

「フルド…そこにいるのだろう。帰るぞ」

「え!?知ってたんですか」

 僕は身体を覆っていたマントをとり姿を見せた。

「当たり前だ。何かアクションを起こすかと思って待っていたが何もしないから力を使う事になったではないか。今まで何をしてきたんだ?」

 …ここでお説教ですか。

 僕はこの後1時間お説教されていました。


 

しおりを挟む
感想 149

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

処理中です...