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2-36 ヴァン様仲間になる!?
しおりを挟む地面に倒れこんだラウリは急に大声で笑い始めた。
「ハハハ!魔王様のことまで知られているとは思わなかったが…。だが、よく考えてみればお前に何が出きるというのだ」
開き直ったと言うのが正しいようだな。
ラウリはゆっくりと立ち上がった。
「魔王様が復活すれば誰も止める事は出来ない。人間なんて…滅びれば良いのだ。この世界なんて無くなれば良い!」
私の目を睨むラウリのは憎しみを瞳に宿している様に見えた。世界が滅びれば良いなどと言うくらい心が荒んでいるのか。昔はこんな奴ではなかった。
「ラウリ…いったい何があったのだ」
思わず口から言葉がこぼれた。
「それを聞くのか?聞きたいのか?いいぞ話してやる。もうこの世界は終わりなのだから」
ラウリはこれまでの自分の身におきた事を話し始めた。
学生時代に駆け落ちした獣人の女性には逃げられて祖国にも帰ることができず、かといって獣人の国にとどまることもできず…そんな時に出会ったのがある国の教会の人物だったそうだ。
「あの方は私に魔王様の素晴らしさを教えてくれた。人の醜い感情…嫉妬や妬み、そして憎しみは強い力に変わり魔王様を復活させる力になることも教えて頂けたのだ」
どうやら、出会った人物が教会とは名ばかりの悪魔信仰のヤバイ人物だったようだな。そいつのおかげでラウリがこんな風に変貌したのか…。
しかし今の話で黒い水晶の正体がわかったな。あれは人の醜い感情を聖女を使って集めた物だったのか。そしてあれを大量に集めれば魔王が復活する…。この前壊したのは一つだけだ。まだ他にもあるのかあれが。
「そうだ!お前も一緒に魔王様の復活の為に仲間にならないか」
考え事をしていた私にラウリが急に近寄ってきた。
「お前は確か…魔術も体術も優れていたはずだ。その容姿だし女性達からもモテるであろう!そうすれば女達の醜い嫉妬心や妬みなどの感情が大量に手に入る。良いな!仲間にしてやる」
私の返答を待たずにラウリが勝手に盛り上がっている。
仲間になるなんて絶体にないのだが、残りの黒い水晶がどこにあるのかは気になるし、ここは仲間になりふりをしておいた方が良いのかもしれんな。
「長い人生だ。たまには変わった事をしても良いかもな」
曖昧な返答だがこれで良いだろう。
「そうか!よし、ではこれからちょうど教会に行くからついてこい」
「わかった」
ラウリは疑うことなく私の言葉を信じた。本当に信じているのかはわからないが…。ここは気を付けながら後について行く事にする。
まあ、どうにかなるだろう。
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