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2-57 パルさんに報告してみた
しおりを挟む「結論から言うと…皆さんの国を返還してくださるそうです」
僕はまず結論から話すことにした。たぶん、一番知りたいのはこれだろうと思ったからだ。
僕の話を聞いていたパルさんの表情が一気に変わる。
「ありがとうございます!良かった!!良かったよ!!!皆に良い報告が出来る!!ありがとう!本当にありがとう!!!」
嬉しさが爆発しているという表現がピッタリかもしれない。席から立ち上がり僕の手を強く握りしめて上下に素早く振りながら何度もお礼を言っている。
そりゃ嬉しいよね。奪われた祖国に帰れるんだから…気持ちは理解できるよ。ただ…。
「ですが…今すぐとはいかないみたいなんです。いくつか問題があってそちらを先に解決してから返還することになっています」
「え…!?」
パルさんの動きが止まり嬉しそうな笑顔を見せていた表情も固まってしまった。
そうだよね…そうなりますよね。ぬか喜びさせてごめんなさい。
「喜んで頂いたのに…すいません」
「いえ、返還はしてもらえるんですよね?それは後から無しになりませんよね?問題とは何ですか?いつ頃解決できそうなのですか?」
質問責めだね。不安なのがわかります。
「返還は決定です。無しにはならないと思います。問題とは皆さんが国を追われる原因となった聖女関係です。いつ頃解決できるかは…未定です。ですが出来るだけ早く解決できるように努力します」
僕は質問されたことを全て正直に答えた。
「そうですか…」
これって、ご褒美をお預けされている状態だよね。申し訳ないとは思うけど今はこんな言い方しか出来ないんだよね。聖女や教会の問題がすぐに解決できるかは本当にわからないから…。
ヴァン様からも連絡が来ていないし、どうなっているかは僕にはまだわからない。曖昧な事を言って期待だけさせるのは悪いと思って考えた結果の説明のつもりなんだけど、これで納得してもらえるかな…。
「…あの聖女達が相手なら時間がかかるのも納得できますし、時期がわからないのは仕方の無いことですね…。そうですよね…」
自分を納得させているような言い方だね。でも理解しようとはしてくれているということかな。
「本当にすぐに返還出来なくて申し訳ないとは思っていますが、問題を解決しないとまた同じことの繰り返しになるんではないかと考えての事なんです」
これはヴァン様と王様が話し合って決めたことだ。この考えは僕も理解できるから賛成した。あの教会なら考えられない様なことも仕掛けてきそうだなと予想できるからね。
「フルドさんを信じます」
パルさんが真っ直ぐに僕を見て返事をしてくれた。
話し合いはこれで終了し、カフェで解散となった。獣人さん達にはパルさんから説明してくれるそうだ。
一日でも早く解決して獣人さん達に良い報告が出来るようにしたなと思いながら帰路に着いた。
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