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2-㊾ ヴァン様カムバック~!!!
しおりを挟む薄暗い森の中にポツンと古い教会が見えた。
あれが教会本部なのか…。普通は大都市の中に本部とかあるよね?やっぱり後ろめたい事があるからこんな森の中に作ったのかな。
だけどこの森自体も不思議だ。
森を抜ければすぐに大きな町がある。森の周りを大きな壁を作って簡単には出入り出来ないようにしてあるんです。
教会なら人が訪れやすいようにしていると思うんだけど…。信徒の人は不思議に思わなかったんだろうか。それとも変な術みたいなのにかけられていたのかな…などと考えちゃうよね。
「おい、そろそろ地面に降りるぞ。私はコウモリの姿になって様子を見てくるからフルドは近くで隠れていろ」
「え…」
返事をしようと思ったらもうヴァン様の姿はコウモリになって遠くなっていた。
せっかちすぎるよね。
隠れていろと言われても…どこにいれば良いのだろうか。ヴァン様が見える所にいないとダメだよね。本当はずっと隠れていたいけど…。
僕は辺りを見回して教会の入り口が見える木の陰に身を隠した。
辺りは電気がついているが薄暗く遠くまでは見えない。警護をしている人間の姿が入り口に二人と反対側に一人いるみたいだ。
そういえば大きな壁の入り口にも二人いたな。あそこを抜けないとここには来れないから人数が少ないのかな?
たしかに大きな壁だから乗り越えるのはできそうに無いけど…僕達みたいに空を飛べる者がいたらって考えてないみたいだ。
ヴァン様一人でも大丈夫なんじゃない?
それを本人に言うと怒られるとわかっているから口には出さないけど、何で僕も一緒じゃないとダメなんだろうか?
後進育成みたいな感じ?
僕はできれば危ないことには関わりたくはないんですけど~!
悶々と今回の事を考えながらヴァン様が出てくるのを待っていたら、何だか教会の中が騒がしくなっていた。
「捕まえろ~!!」
「そっちに行ったぞ!」
「いや、あっちだ!」
「何してんだ~!!!」
どうやら何人もの人で何かを捕まえようとしているみたいだ。
もしかして…。
バン!!!大きな音を出して見ていた扉が開いた。
中からは予想していた通りのヴァン様の姿が…。
「え?」
いや、てっきりコウモリの姿だと思っていたんだけど人間の姿のヴァン様が走って出てきた。
後ろからは物凄い怖い形相の人達が追いかけてきている。
「フルド~!行くぞ~!!」
なぜ隠れている僕の位置がわかったのか謎だけど、僕に向かってヴァン様が何かを物凄いスピードで飛ばしてきた。
慌ててそれをキャッチしたけど…。
「…黒い水晶。嘘でしょ」
ヴァン様はすぐにコウモリの姿に変身をして森の中に消えてしまった。
ヴァン様を追いかけていた怖い人達が今度は僕をロックオンしたのがわかって背中に冷たいものが流れる。
「酷いよ~!!!ヴァン様!カムバック~!!!」
森に僕の叫び声が響いた。
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