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2-㊲ 作戦実行中
しおりを挟む「ねぇ、貴方の声を聞かせて欲しいわ…。貴方は何の獣人なのかしら?」
ヴァン様があれから一言も話していない。相変わらず聖女はヴァン様にベッタリだし…。
僕が何か言った方が良いのかな?
「あ…」
僕が話そうとしたのと同時にヴァン様が話し始めた。作戦の開始だ!
「申し訳ありません。聖女様の美しさに言葉が出ませんでした。お許しください…」
ヴァン様の話を聞いていた聖女は嬉しそうに微笑んだ。
「フフッ…良いのよ。みんなそうなるの。仕方ないわ」
うわぁ、どこまでも自惚れが強い人だな。何でこんな人がモテるんだろう。僕は絶対に嫌だな。
「それで、貴方は何の獣人なの?」
ヴァン様はピクリとも動かず前をまっすぐに向いたまま固まっている。
「私はコウモリです」
一瞬の間が空いて聖女が口を開いた。
「初めて聞いたわ。貴方の能力は何?」
聖女の興味はやはり能力なのか…。ここまではヴァン様の予想通りに会話が進んでいる。
「コウモリですので飛ぶこと…後は一族の秘密です」
「そんなの…私には教えていただけるわよね?ねぇ…お願い…」
聖女はさらにヴァン様に密着し始めた。ヴァン様、よく我慢できているな。
「そうですね…。それには条件があります」
「何?」
「あなた様に触れるのをお許しくださいますか?それも私だけではなくあの者もです」
ヴァン様が指差したのはもちろん僕です。
「あらそんなことなの?良いわよ」
やった!あっさりオッケーがでたよ。
これがポイントだったんだよね。
ヴァン様がたてた作戦の一つ目。聖女の魅力の力を奪うには触れていないと出来ないんだけど、問題は力を奪うと本人がすぐに気がついてしまう可能性が高いことだったんだ。
そこで僕も同時に聖女に触れて魅力をかけることで気づかれずに作戦を進めるという作戦なんだよ。
だからどうしても二人で同時に聖女に触れる必要があったんだけど…上手くいって少しホッとしたよ。
だけど肝心なのは僕の魅力が聖女に効くのか…だよね。弱いとこの人には効きそうにないからかなり強力にかけないとダメだろうな。
僕は心のなかで気合いを入れた。
僕が近づくと聖女が僕とヴァン様に自分の手を差し出した。
これは貴族女性がする仕草で、手の甲に口づけをしてもらう時にするものだ。
僕とヴァン様は聖女の手を取り、アイコンタクトをとって頷いた。
僕の手の中にはブラディーボールがある。
頼むよブラディーボール!
そしてヴァン様がゆっくりと聖女の手の甲に口づけたのを確認して僕も同じよう動作をした。
上手くいきますように!!!
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