124 / 169
2-㉝ 契約はできたけど…
しおりを挟む誰から聞いていたのか知らないけど聖女らしき女性の怒りはなかなか収まらず、僕は存在感を消して怒りが収まるのを黙って待っていた。
10分くらいすると怒りが先程よりは収まってきた様子に見えたので話しかけてみた。
「それでどうされますか?契約をしていただいたら貴方の望みの全てではありませんが肌や髪が少しですが綺麗になりますよ」
全く願いが叶わないと思われたら契約はできそうに無いから少しだけ本当の事を教える事にした。
「え!そうなのね。それならするわよ。今すぐにしましょう!」
本当…自分の事に貪欲なんですね。
まあ、契約を拒否されなかったから良いとするか。
「わかりました。利き手ではない手を出して下さいますか?少し痛みがあるかもしれませんが、すぐに済みますので…」
僕は聖女らしき女性の左手をとり契約を実行した。
「本当にこれで美しさが増すのよね」
終わってすぐにこの言葉…。自分の美しさに自信があるんですね。
「そうですね。ではこれで僕は失礼します」
思っていたより呆気なく契約を済ますことが出来たので帰ろうと扉に向かって歩いていたら、後ろから聖女らしき女性が僕を羽交い締めにしてきた。
「え!?な、何をするんですか!」
僕は身体に巻き付かれている女性の腕を離そうとした。
「だって、私の役に立つ人になると約束してないわよね?」
まだその話しは続いていたのか?終わったと思っていたんだけど。
「それはお断りして、わかっていただけたと思っていたんですが…」
女性の手の力は緩む気配がない。
「だって…惜しくなってきたんだもの。ねえ、私の彼氏の一人にしてあげるからここに居なさいよ」
はあ!?何を言い出したんだ!
「家に帰らないと家族が心配しますので、今日は帰してもらえませんか?」
「あら?私の彼氏になれるのよ。嬉しくないの?」
はい!全然嬉しくありません!!
それに彼氏の一人っていったい何人いるんですか?そんな人と付き合いません。僕は純愛派です。
…ブラディーガールは彼女じゃないからセーフだよね。
だけどこの人にストレートに言っても通じないだろうな…。
「僕には貴女はもったいないですよ。地位も能力もありませんからね」
こんな人はおだてた方が良いんだよね。
「フフフッ…。あら、わかってるのね。そうね、今すぐに返事はしなくても良いわよ」
やはりあの言い方で正解だったみたいだ。
「ありがとうございます。では今日は帰らせていてだきますね」
「また会えるのを楽しみにしてるわ」
やっと僕を解放してくれた。
さあ、後はどんなボールが出来るのか…。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説


セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる