ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

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2-㉝ 契約はできたけど…

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 誰から聞いていたのか知らないけど聖女らしき女性の怒りはなかなか収まらず、僕は存在感を消して怒りが収まるのを黙って待っていた。

 10分くらいすると怒りが先程よりは収まってきた様子に見えたので話しかけてみた。

「それでどうされますか?契約をしていただいたら貴方の望みの全てではありませんが肌や髪が少しですが綺麗になりますよ」

 全く願いが叶わないと思われたら契約はできそうに無いから少しだけ本当の事を教える事にした。

「え!そうなのね。それならするわよ。今すぐにしましょう!」

 本当…自分の事に貪欲なんですね。

 まあ、契約を拒否されなかったから良いとするか。

「わかりました。利き手ではない手を出して下さいますか?少し痛みがあるかもしれませんが、すぐに済みますので…」

 僕は聖女らしき女性の左手をとり契約を実行した。


「本当にこれで美しさが増すのよね」

 終わってすぐにこの言葉…。自分の美しさに自信があるんですね。

「そうですね。ではこれで僕は失礼します」

 思っていたより呆気なく契約を済ますことが出来たので帰ろうと扉に向かって歩いていたら、後ろから聖女らしき女性が僕を羽交い締めにしてきた。

「え!?な、何をするんですか!」

 僕は身体に巻き付かれている女性の腕を離そうとした。

「だって、私の役に立つ人になると約束してないわよね?」

 まだその話しは続いていたのか?終わったと思っていたんだけど。

「それはお断りして、わかっていただけたと思っていたんですが…」

 女性の手の力は緩む気配がない。

「だって…惜しくなってきたんだもの。ねえ、私の彼氏の一人にしてあげるからここに居なさいよ」

 はあ!?何を言い出したんだ!

「家に帰らないと家族が心配しますので、今日は帰してもらえませんか?」

「あら?私の彼氏になれるのよ。嬉しくないの?」

 はい!全然嬉しくありません!!

 それに彼氏の一人っていったい何人いるんですか?そんな人と付き合いません。僕は純愛派です。

 …ブラディーガールは彼女じゃないからセーフだよね。

 だけどこの人にストレートに言っても通じないだろうな…。

「僕には貴女はもったいないですよ。地位も能力もありませんからね」

 こんな人はおだてた方が良いんだよね。

「フフフッ…。あら、わかってるのね。そうね、今すぐに返事はしなくても良いわよ」

 やはりあの言い方で正解だったみたいだ。

「ありがとうございます。では今日は帰らせていてだきますね」

「また会えるのを楽しみにしてるわ」

 やっと僕を解放してくれた。

 さあ、後はどんなボールが出来るのか…。
 



 
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