ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

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2-㉕ 洞窟の中の秘密

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 案内された洞窟(家なのかな?)の中は驚きの構造になっていた。

 入口には扉が無かったんだけど、進んでいくと道が狭くなりその先に両開きの大きな扉があった。見たところ岩を削ってできているみたい。

 ここまではそんなに驚きもなかったんだけど扉を開けたその先が予想を超えていたんだ。

「え?これって…」

 目の前に現れたのは沢山の獣人達と石造りの住居だった。

「驚いた?ここは獣人達の住む村なのよ」

 ポルさんがいたずらっ子の様な笑みを見せる。僕を驚かそうと思っていたのかな。

「私達は訳があって外では村を作る事が難しいからね…」

 パルさんが少し寂しそうに言ってるけど、これって僕に教えても良かったのかな。

「そんな秘密を僕に教えても良いんですか?」

 ポルさん達は顔を見合わせて笑っている。

「そんな事を言うあなただから見せたのだ。本当の悪党はそんな事は絶対に言わないからね」

 いつの間にか僕は二人から信頼されていたみたいだ。なんだか照れくさいな。

「ほら、あそこが私達の家よ」

 歩いていた道の先に一際大きな石造りの家が見えた。どうやらあそこがポルさん達の家らしい。

 中は思っていたよりも広くて驚いた。大きな広間みたいな場所を抜けて行くと長い廊下がそこを通り抜けた先に沢山の部屋があった。

 扉の数が数えきれない…いくつ部屋があるんだ?

 その中の一つの部屋に通された。

 …これって一旦この部屋から出たら帰ってこれる自信がないんだけど。

 入った部屋も二人の服装からは想像つかないくらい豪華な造りをしている。

 普段の服装はカモフラージュってことなのかな。

 部屋の中には大きな3人くらい座れそうなソファーが2つと一人用のソファーが2つあり、その真ん中に大理石でできた大きなテーブルが置いてある。

「そこに座って」

 ポルさんから言われて3人がけのソファーに座る。うわぁ~、ふかふかだよ。体が少し沈み混んでいる。

 やっぱり見かけだけではなくて本当に良い品物みたいだ。

「それで、話って何かな?」

 僕と対面に座ったパルさんが笑顔で聞いてきた。

「あの…先日ポルさんと契約させてもらったのでブラディーボールが出来たのですが…」

 ここまで話すとパルさんの隣に座っていたポルさんが興奮したように立ち上がり僕の方に身を乗り出してきた。

「もうできたのね!それでどんなボールだったの!?ねぇ、見せてもらえない」

 キラキラとした眼差しを向けられて、どう対応して良いか困る。まだ話の途中なんだよね。

「ポル…座って落ち着きなさい。まだ話が途中だよ」

 パルさんがポルさんを諭してくれた。話の続きができそうだ。僕は軽くパルさんに頭を下げた。パルさんは苦笑いしながら首を横にふっている。ポルさんはいつもこんな感じなんだろうな。

 じゃなくて、話の続きだよね。

「実は…そのボールを鑑定したら予想していなかった文字が出てきたのでお聞きしたいと思ったのです」

 ピクッとパルさんの目元が動いたのがわかった。予想がついたのかな。

「ほお~、それはもしかして我々獣人に関するものでしたか?」

「はい。しかも王族と…」

 部屋の空気が変化した。さっきまでの歓迎ムードの空気ではなくなった。

 もしかして…ストレートに言いすぎた?

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