ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

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2-⑯ ざっくりすぎない?

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 夜道で出会った2人と話をしていると見慣れた光が女性の鞄から出ている。

 これって多分…間違いないよね。

「え?何これ…」

 女性が鞄の中から光っている小さい袋を取り出してきた。

「それっておばあちゃんからもらったペンダントだろ?夜になると光るのか?今までそんな事なかったよな?」

 もう一人の男性が不思議そうに袋を見ている。

「おばあちゃんから大事なペンダントだから必ず持ち歩きなさいって言われてたんだけど…光ったのは初めてよ…」

 女性は袋からペンダントを取り出して眺めながら話している。

 どう説明したら良いのかな?

 おばあちゃんから貰ったのなら、その時に何か説明を受けていないのかな。2人の様子を見る限り何も聞かされていない様な気がするな。

 ただでさえ怪しまれていたのに「僕と契約すれば貴女の望みを叶える事ができますよ」なんて言ったら引かれる可能性が高い、高すぎる。

「あの~…」

 僕がどう説明しようかと声をかけると思い出しかのように男性が僕の方を見た。

「あっ、すいません。ご親切に声をかけて頂いたのに…。えっと、道を教えて頂けるなら助かります。僕はパルと言います。こっちは妹のポルです」

 どうやらパルさんという男性の方はブラディーボールの事は一旦考えないようにしたみたいだ。

「僕はフルドと言います。どちらに行かれる予定だったのかを聞いてもよいですか?」

「ナンスの町に配達に行かないといけないのですが…。予定ではとっくに到着しているはずなんですよね…」

 パルさんが恥ずかしそうに頭をかきながら言った。

 ナンスの町…って通り越してる?

 どんな回り道をしたんだ。

「それなら…」

 僕はパルさんに道を説明したが何だが不安そうだったので一緒に町まで行くことにした。それならとパルは馬車に乗せてくれた。

 その間中、ポルさんという女性は黙って光るブラディーボールを握りしめて見つめていた。

 話しかけて様子を見ることにする。

「あの…そのペンダントの事について何も聞いていないのですか?」

 僕が突然話しかけたのでポルさんが驚いて肩がビクッと動いた。

「えっ、いや…不思議な言い伝えは聞いているの。おばあちゃんが言うにはおばあちゃんのお母さんがこのボールに願いを叶えて貰ったらしいけどおばあちゃんの願いは叶わなかったと言っていたわ。何か願いを叶える条件みたいなのがあるらしいんだけど…この光が関係してるのかしら」

 うわぁ~、ざっくりとしか聞いていなんだな。これって説明大変だよね。

 パルさんも居るしな…。ここで契約って訳にもいかないよな。

 どうしよう…。

 
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