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2-⑩ そんなお願い!?
しおりを挟むジェシカさんを見つめながら願い事は何かと耳を傾ける。静かな部屋に緊張感が充満しているみたいだ。
「私のお願いは…両親の趣味というか好みというか…センスを変えて欲しいのです!」
ん?
ジェシカさんもルシカさんも真剣な顔で僕を見つめている。
「え?ご両親のセンスですか…」
ジェシカさん本人の悩みではなく、ご両親のことなの?
「何とかなりませんか?」
どうしよう。こんなに真剣に悩んでいるみたいなのに無理だとは言えない雰囲気だよね。
「できればすぐにお願いしたいのです!」
ルシカさんが席を立ち上がり僕に近寄って来た。
「あの…すいません。困っているのは凄い理解できたのですが…。えっと…その願いを叶えるのは無理かと…」
「「ええ!!」」
ジェシカさんとルシカさんは大きな声をあげて絶望的な顔をしている。
凄い悪い事をした気分だ。
そんなにご両親のセンスが嫌なんだ。そんなに悪いとは思わないけど…。って僕もしかしてセンス悪いのか!?
何だか嫌な事に気がついたけど、これは後だよね。
まずはブラディーボールの事を片付けないとね。
「ブラディーボールで叶えられる願いは契約者の願い事なんです。しかも身体に関する事とかなんですよね。ご希望に沿えなくてすいません」
いまだに微動だに動かない二人に向かって言ってみたけど…どうかな。
あ~、まだ動かないし返事もない。大丈夫!?
「あの~ジェシカさん、ルシカさん大丈夫ですか?」
やっと動いたのはジェシカさんだった。
「申し訳ありません、少し気を失っていましたわ。大丈夫です」
そんなにショックだったんだ!
「で…どうしますか?願い事はまた今度にしますか?」
どう考えても今日は無理そうに見えるからね。
「ええ…そうですね。今は考えられないのでまた今度でも宜しいですか?」
新しい契約者とはすんなり契約できそうにないみたいだな。
「そうですね。それに契約者がお二人のどちらか一人になるのでそれも話し合っていただきたいてす」
今まで姉妹がいることはなかったけど今回は姉妹。どちらがブラディーガールになっても良いんだよね。
あれ?もしかしてこの場合は二人とかでもいけるのかな。いや、でもボールは1つだからダメなのか。難しいな。
一気に増やせる方法とかないのかと思うよ。
「分かりました。またお手紙を書きます」
ジェシカさんがそう言ってルシカさんに寄り添った。
僕は二人に挨拶をして帰路についた。
うん、今日の収穫は僕のセンスが悪いかもしれない…これにつきるね。
帰ったらこれも誰かに聞いてみよう。
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