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2-⑦ ブラディーボールの新しい能力
しおりを挟む「どうしたのですか?」
僕が御者の男性に怪しい目で見られていると馬車の中から女性の声がして扉から顔を出してきた。
夜なのに月明かりに髪が照らされてキラキラと星のように輝いていて僕の目がその女性に釘付けになった。
「こちらはどなた?…というか、その光はもしかして…」
彼女の目線の先にあるのは僕のブラディーボールだ。
ブラディーボールの光は一直線に彼女に向かっている。
「あ、怪しい者ではありません。ヴラド伯爵家のフルドと申します。家の窓から困っている様子が伺えたので何かお手伝いできないかと思い来たのです」
女性は少し驚いた様な表情を見せた。
「…そうですか。それはありがとうございます。私、ハズル伯爵家のジェシカと申します。馬が急に動かなくなってしまったので困っていたのです…」
「それなのですが…。僕は馬の扱いに慣れているので僕に任せてもらえませんか?」
馬と話が出来る!なんて言ったら怪しまれるだろうからこれくらいで言っている方が良いよね。
「…宜しいのですか?私どもは助かりますが、見ず知らずの人にそこまでしてもらうのは…」
やんわり断られているのかな?
「いえ、実は僕はお嬢様にお話をしたいことがあるのです。その見返りだと思ってください」
「私とお話?」
ジェシカさんは少し戸惑い、考えていたが暫くすると真っ直ぐに僕を見てきた。
「わかりました。馬の事をお願いします」
ニッコリと笑うジェシカさんは女神様の様に美しい。…って、見とれている場合じゃなかった。
「では、すいませんが一旦この馬を預からせてくださいね」
この場で馬と話をしている所を見られる訳にはいかないからね。
「お嬢様…本当に宜しいのですか?」
御者はまだ戸惑っている。もしかして、馬を盗まれるとでもおもっているのか?
「大丈夫ですよ。セバス早く馬をヴラド様にお渡しして」
御者はジェシカさんに言われた後すぐに馬を僕に引き渡した。
馬車から少し離れた森に入り馬と話をした。
結果…原因はどうやら僕だったみたいだ。
ブラディーボールの作用なのか、光が馬車の中から出た時から体が動かなくなってしまったらしい。
これってブラディーボールが僕とジェシカさんを引き合わせる為に足止めをしてたということなのか?
え…ブラディーボール凄い。こんな事もできるの?
でも、僕が来てから体が徐々に動くようになってきたのでもう大丈夫だと馬が言っている。
問題は解決。
後はジェシカさんとの話をするだけだ。
僕は馬を連れてジェシカさん達が待っ馬車に帰り「もう大丈夫です」た告げた。
「ありがとうございました。今日はもう遅いのでお話はまた今度でも宜しいですか?お手紙を送らせていただきます」
そう言ってジェシカさんは帰途についた。
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