ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

文字の大きさ
上 下
98 / 169

2-⑦ ブラディーボールの新しい能力

しおりを挟む

「どうしたのですか?」

 僕が御者の男性に怪しい目で見られていると馬車の中から女性の声がして扉から顔を出してきた。

 夜なのに月明かりに髪が照らされてキラキラと星のように輝いていて僕の目がその女性に釘付けになった。

「こちらはどなた?…というか、その光はもしかして…」

 彼女の目線の先にあるのは僕のブラディーボールだ。

 ブラディーボールの光は一直線に彼女に向かっている。

「あ、怪しい者ではありません。ヴラド伯爵家のフルドと申します。家の窓から困っている様子が伺えたので何かお手伝いできないかと思い来たのです」

 女性は少し驚いた様な表情を見せた。

「…そうですか。それはありがとうございます。私、ハズル伯爵家のジェシカと申します。馬が急に動かなくなってしまったので困っていたのです…」

「それなのですが…。僕は馬の扱いに慣れているので僕に任せてもらえませんか?」

 馬と話が出来る!なんて言ったら怪しまれるだろうからこれくらいで言っている方が良いよね。

「…宜しいのですか?私どもは助かりますが、見ず知らずの人にそこまでしてもらうのは…」

 やんわり断られているのかな?

「いえ、実は僕はお嬢様にお話をしたいことがあるのです。その見返りだと思ってください」

「私とお話?」

 ジェシカさんは少し戸惑い、考えていたが暫くすると真っ直ぐに僕を見てきた。

「わかりました。馬の事をお願いします」

 ニッコリと笑うジェシカさんは女神様の様に美しい。…って、見とれている場合じゃなかった。

「では、すいませんが一旦この馬を預からせてくださいね」

 この場で馬と話をしている所を見られる訳にはいかないからね。

「お嬢様…本当に宜しいのですか?」

 御者はまだ戸惑っている。もしかして、馬を盗まれるとでもおもっているのか?

「大丈夫ですよ。セバス早く馬をヴラド様にお渡しして」

 御者はジェシカさんに言われた後すぐに馬を僕に引き渡した。

 馬車から少し離れた森に入り馬と話をした。

 結果…原因はどうやら僕だったみたいだ。

 ブラディーボールの作用なのか、光が馬車の中から出た時から体が動かなくなってしまったらしい。

 これってブラディーボールが僕とジェシカさんを引き合わせる為に足止めをしてたということなのか?

 え…ブラディーボール凄い。こんな事もできるの?

 でも、僕が来てから体が徐々に動くようになってきたのでもう大丈夫だと馬が言っている。

 問題は解決。

 後はジェシカさんとの話をするだけだ。

 僕は馬を連れてジェシカさん達が待っ馬車に帰り「もう大丈夫です」た告げた。

「ありがとうございました。今日はもう遅いのでお話はまた今度でも宜しいですか?お手紙を送らせていただきます」

 そう言ってジェシカさんは帰途についた。

 



 


 

 
しおりを挟む
感想 149

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

処理中です...