ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

文字の大きさ
上 下
86 / 169

86. 準備

しおりを挟む

「ヴァン様これからどうするのですか?」

 ブラッディーボールは取り戻した。後はヴァン様が人間の姿を取り戻しマリーアさんに会いに行けば良いだけだと思うんだけどな。

『馬鹿者!お前…簡単に人間の姿に戻れるとかと思っているんだろう。そんなすぐには無理だ!!』

 腕組み…翼を交互に組んで怒っているヴァン様。普通、コウモリがそんな格好をすることがないからなのか可愛く見えて仕方がないんだよね。本人に言ったら更に怒りそうだけど…。

「え?無理なんですか」

 ブラディーボールを取り戻したらすぐに人間の姿になれるのかと思っていたけど違うみたいだ。

「どうすれば元に戻る事ができるのですか?」

『まずは次の満月を待たねばならない。そこからだ…』

「そうなんですね…」

 満月の日って1週間後くらいだったかな。それまでは無理なんだ。でも一体何をするのだろう?

「儀式みたいなのがあるんですか?」

『そうだ。詳しく説明するのは大変だから見て覚えろ』

 覚える?

「僕が覚えないといけないんですか?」

『ああ、そうだ。万が一の事を考えて知っていた方が良いだろう』


 まんがいち…。
 そんな日は来てほしくないよ。

『私は準備をしないといけないから暫く留守にする。じゃあな行ってくる』

「え?」

 僕が驚いている間にヴァン様はあっという間に飛び去り姿を消した。

 準備って何がいるんだろう?あんなに急いで行くなんてよほど手に入りにくい物なのかな。

 聞きたいけど本人はいないのであきらめた。

 まあ、すぐに帰ってくるだろうからその時に教えてもらおう。


 すぐに帰って来ると思っていたヴァン様が帰って来たのはなんと満月の日の前日の夜だった。



「ヴァン様、どこまで行ってたんですか。心配しましたよ」

 小屋のなかにいるヴァン様を見つけて駆け寄った。毎日ヴァン様が帰って来ていないか小屋をチェックするのが日課になっていたからね。

『どこでも良いだろう。それより明日は大事な日だからもう寝る。お前も寝ろ』

「え?」

 翼で追い払うような仕草をされて小屋の扉を閉められた。いつの間に扉をつけたんだ!?

 心配していたのにその態度はないんじゃないかと思いますよ。

 僕は怒りながらも自分の部屋に帰った。

 いよいよ明日…ヴァン様が人間の姿に戻れる。

 そう思うと気持ちがワクワクする。

 今日寝れるかな…。

 
『おい!起きろ!!』

 ヴァン様に次の日の朝叩き起こされた。どうやらぐっすりと寝ていたみたい。へへっ…。

「ヴァン様痛いです。起きますから…」

『準備を手伝え』

 ヴァン様が持っていた袋を僕の目の前に置いた。

 何が入っているんだろう?



しおりを挟む
感想 149

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

処理中です...