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86. 準備
しおりを挟む「ヴァン様これからどうするのですか?」
ブラッディーボールは取り戻した。後はヴァン様が人間の姿を取り戻しマリーアさんに会いに行けば良いだけだと思うんだけどな。
『馬鹿者!お前…簡単に人間の姿に戻れるとかと思っているんだろう。そんなすぐには無理だ!!』
腕組み…翼を交互に組んで怒っているヴァン様。普通、コウモリがそんな格好をすることがないからなのか可愛く見えて仕方がないんだよね。本人に言ったら更に怒りそうだけど…。
「え?無理なんですか」
ブラディーボールを取り戻したらすぐに人間の姿になれるのかと思っていたけど違うみたいだ。
「どうすれば元に戻る事ができるのですか?」
『まずは次の満月を待たねばならない。そこからだ…』
「そうなんですね…」
満月の日って1週間後くらいだったかな。それまでは無理なんだ。でも一体何をするのだろう?
「儀式みたいなのがあるんですか?」
『そうだ。詳しく説明するのは大変だから見て覚えろ』
覚える?
「僕が覚えないといけないんですか?」
『ああ、そうだ。万が一の事を考えて知っていた方が良いだろう』
まんがいち…。
そんな日は来てほしくないよ。
『私は準備をしないといけないから暫く留守にする。じゃあな行ってくる』
「え?」
僕が驚いている間にヴァン様はあっという間に飛び去り姿を消した。
準備って何がいるんだろう?あんなに急いで行くなんてよほど手に入りにくい物なのかな。
聞きたいけど本人はいないのであきらめた。
まあ、すぐに帰ってくるだろうからその時に教えてもらおう。
すぐに帰って来ると思っていたヴァン様が帰って来たのはなんと満月の日の前日の夜だった。
「ヴァン様、どこまで行ってたんですか。心配しましたよ」
小屋のなかにいるヴァン様を見つけて駆け寄った。毎日ヴァン様が帰って来ていないか小屋をチェックするのが日課になっていたからね。
『どこでも良いだろう。それより明日は大事な日だからもう寝る。お前も寝ろ』
「え?」
翼で追い払うような仕草をされて小屋の扉を閉められた。いつの間に扉をつけたんだ!?
心配していたのにその態度はないんじゃないかと思いますよ。
僕は怒りながらも自分の部屋に帰った。
いよいよ明日…ヴァン様が人間の姿に戻れる。
そう思うと気持ちがワクワクする。
今日寝れるかな…。
『おい!起きろ!!』
ヴァン様に次の日の朝叩き起こされた。どうやらぐっすりと寝ていたみたい。へへっ…。
「ヴァン様痛いです。起きますから…」
『準備を手伝え』
ヴァン様が持っていた袋を僕の目の前に置いた。
何が入っているんだろう?
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