ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

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81. デッドさんとの話し合い

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 少し明るくなった場所でしばらくいると目がだんだんと慣れてきたみたいだ。回りの様子がわかってきた。

 まわりには今僕が入っている四角いボックスの様な建物がいくつかあるのが確認できた。

 これって僕みたいな外部の者と会うための部屋みたいなものなのかな…。中に人影が見える所もある。

「こんな狭い所で悪いけど、一族以外の人と話しをするのはこの場所と決められているんだ」

 デッドさんが申し訳なさそうに言った。僕の予想は当たっていたみたいだね。

「いえ…。会ってもらえるだけでも嬉しいですから…」

 探しだすのにも時間がもっとかかると思っていたくらいですから。

「そうなの?そんなに!?一体何で?」

 デッドさんは、訳が分からないというような顔をして驚いている。

 そりゃそうだよね。会ったこともないのに会ってもらえるだけで嬉しいなんて言われたら僕でも驚くかも…。

 でもこれくらいは言っておいて、印象づけないといけないと思ったんだから仕方ない。

「実は…長い話しになるのですが聞いていただけますか?」

 僕は伏し目がちにしながらデッドさんの顔をチラッと見た。

「うん。聞きたいから時間は気にしないで良いよ」

 デッドさんはやっぱり良い人だな。

「ありがとうございます。実は今日ここに来たのは僕のご先祖様の日記に書いてあった事を確かめる為に来たんです」

「…君のご先祖様?」

「はい。何百年も前のご先祖様の日記をたまたま僕が見つけたのですがそこに書いてあった事がどうしても気になってしまって…真実を確かめたいと思ったんです。それはミイラ一族の人と友人だったご先祖様様の事が書いてあったのですが…思い当たることはありませんか?」

 僕の話しを身体を前のめりにして聞いていたデッドさんだが途中から顔色が変わり始めたのが目に見えてわかった。

「君は…ヴァンパイア一族だよね」

 デッドさんは僕に確認するように聞いてきた。

「はい。ヴァンパイア一族から何か預かっていませんか?」

 僕は奪われたブラディーボールの事を直接的に聞かないことにした。だからわざと"預かっていませんか?"という言葉に変えた。

 この方がブラディーボールを返してもらいやすいのではないかと考えたからだ。

 デッドさんから穏やかな表情が消えた。沈黙の時間が過ぎる。

 これは何かを知っていると言ってくれているようなものだよね。

「いつかは来ると思っていたよ。まさか僕がこの役目をすることになるとは思っていなかったけどね…。やっぱり縁があったとしか思えないな」

 デッドさんが閉じていた口を開いたと思ったら気になる言葉を口にした。

 え?来ると思っていた?どういうこと…。


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