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73. ヴァンパイア一族の昔話
しおりを挟むこれは何百年も前の話し。
この世界には色んな種族の者達が溢れていて、毎日どこかで争いがあった。
領地をめぐる争い、食料をめぐる争い、どちらが強いかと競う争い…。
そんな中で異色だったのはヴァンパイア一族だ。
争いを好まず深夜に姿を表し、他の種族とは関わらないようにしていた。
その当時は昼間に活動する種族が多く、夜に活動する種族は限られていたから深夜には他の種族と会うことが無かったのだ。
しかし、あることが他の種族に知られたことでヴァンパイア一族は他の種族から狙われることになってしまった。
それは…。
ヴァンパイア一族のある少女が違う種族の男に恋をした。少女はどうしても恋しい男を自分の恋人にしたかったので、その男にこう言った。
「私には貴方の願いを叶えることができるボールがあるのよ。それはヴァンパイア一族にしか扱う事ができないボールだから私の恋人になれば叶えてあげることもできるわ。ただ…これは秘密にしてほしいの」と…。
それを聞いた男は半信半疑で少女の恋人になることにした。
ボールのことは別にしても少女がとても美しかったからだ。
そして…信じていなかったが男の願いは叶えられてしまった。
男は信じていなかっただけに願いが叶った嬉しさから、この話しを酒場で大勢の人達にしてしまった。
その日から数日後に少女は大勢の人達に囲まれ、ブラディーボールを奪われた。
「どこに隠しているんだ!」
「願いを叶えることができるボールはどこだ!」
「これが願いを叶えてくれるボールだな!」
人々は少女を襲いながらボールの事を口にしていたので、少女はすぐに理解した。
あの人が秘密を話したのね…。
少女は自分のブラディーボールを奪われてしまい人間の姿ではいられなくなってしまった。
当然、恋人の前からも姿を消した。
恋人は後悔した。
…が、もうどうしようもなかった。
残ったのはヴァンパイア一族のボールの話だけ。少女が消えた後に他のヴァンパイア達も襲われる事件が発生した。
"ヴァンパイア狩り"と人々は言っていた。
願いを叶えたいならヴァンパイア狩りが一番だという歌までできたくらいに…。
私のブラディーボールもその話しを信じていた私の友人に奪われたのだ。
彼は夜にしか出歩けない一族で、それをひどく嫌っていた。夜にしか出歩けないから異性との出会いもないし、見た目も悪いから選んでくれる人もいないだろう…と気にしていたのは知っていたがまさか私のボールを奪って願いを叶えようとしているなんて考えてもいなかったんだ。
友人は悩んでいたが一族の人達に命令されて…実行にした。
私を眠らせてその間に奪った。
気がついた私は、私のボールを返してほしいと言いに行ったが友人には会えず、彼の一族には知らぬ存ぜぬと言われてうやむやにされたのだ。
それに友人の一族は元々地上で暮らしていないから捜索が困難で気がついたら姿を消していたのでボールの行方はわからなくなってしまった。
今はどこにいるのかもハッキリしない。
「え…それを探すのですか?」
ヴァン様の話しに突っ込まずにはいられなかったよ。
…ホントに探すの?
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