ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

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70. 波乱の予感

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 こんなに興奮している人を見るのは初めてだ。因みに僕はまだ揺さぶられています。

「ねえ、いつからなの?ねえってば!」

 そろそろ気持ちが悪くなってきたので揺さぶるのを止めてほしいんだけど…。

「うっ…」

「え?」

 僕がえづいたことで女性は驚いて揺さぶるのを止めた。

「あっ、ごめんなさい。つい、興奮して…」

 どうやら正気に戻ってくれたらしい。顔を赤らめてもぞもぞしている。

「今更だけど、私はマリーア。この森で魔法の薬を作っているの。貴方の名前を聞いても良いかしら?」

 僕は大きく息を吸って呼吸を整えた。

「…僕はヴァンデと言います。夜分に訪れてすいません」

 挨拶はキチンとしないとね。

「ヴァン…デさんか。夢の中の人と一文字違い…」

 マリーアさんが僕の名前を聞いた後に何かを呟いた。

「え?」

 僕は気になったので聞き返した。すると、マリーアさんは慌てて口をふさいだ。

「ああ、何でもないの!それよりブラディーボールの話を聞かせてほしいわ」

 そうだ!何故マリーアさんがブラディーボールをこんなに気にしているんだろう。

「あの…マリーアさんはブラディーボールを何故知っているのですか?」

 やっぱり一族の誰かから聞いているのかな?

「私…このボールを持って生まれてきたらしいの」

 …と言いながらマリーアさんは袋の中からレインボーに光るボールを取り出した。

「何故なのかずっと不思議だったのだけど、ある時鑑定ができるお客様が見てくださってこれがブラディーボールと呼ばれる物だと知ったのよ」

 ブラディーボールって僕達ヴァンパイア一族でなくても持って産まれてくるなんてあるのかな?チラリと窓際にいるヴァン様を見た。

 ヴァン様は何か驚いた表情をして固まっていた。やはりいつもと様子が違う。いつもならやかましいぐらい話してくるはずなのに…。

 これは頼りにならなそうだから、自分で調べるしかないのか。

「え…と、マリーアさんはヴァンパイアと血族関係があったりしますか?」

 マリーアさんは不思議そうな顔をした。

「ヴァンパイア?いえ、私は魔女の一族よ。それが何か関係があるの?」

 魔女…やっぱり魔女なんだ。え?でもじゃあなぜブラディーボールを持って産まれてきたんだ!?

「僕はヴァンパイア一族なのですが、一族の者はブラディーボールを持って産まれて来ることが多いのです」

「え!そうなのね」

 目が見開いている。かなり驚いているみたい。

「あっ、でも…」

 マリーアさんは何かを言いかけて途中で止めてしまった。

「でも…何ですか?教えてください」

 言いにくそうに下を向いたり僕の方を見たりしてしばらく考えていた。

「決めた!話しますけど…笑わないで下さいね。実は私…幼い頃からずっと同じ夢を見るんです。その夢にヴァンパイアぽい人が出てくるんです。私はその人に「ヴァン様!」と呼びかけて幸せそうしているんです…。夢にヴァンパイアって変ですよね…」

 …ヴァン様!?

 えっ!?何か波乱の予感しかしませんけど~!



 

 

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