ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

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52. 授業中です

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 いつものことだけどさ…ヴァン様って説明不足なんだよね。

 聞きたいことは沢山あったけどヴァン様が疲れたと言ってすぐに小屋に入って相手にしてくれなかったし…。

 自由人?いや自由コウモリが羨ましいよ。

「フルド、次は移動だぞ」

 ウルが考え事をしてボーとしてた僕の肩を揺さぶった。

「あ、ごめん。次は自然教育だったね」

 学校の授業の科目に自然教育というのがあるんだけど…大変なんだよね。

 何をするのかというと、森などの自然の中にある植物などを観察し勉強するというものなんだ。これがけっこう歩くんだよね。寝不足の身体には辛いよ…。

「今日はどこにいくんだったかな?この前の森はかなり大変だったよな…」

「そうだね。今日はこの前行った森の反対側だったと思うよ」

 この授業は二人一組になって歩く。僕はもちろんウルとペアだ。前回の森では足場が悪くて歩くのも大変だったんだよね。一応は安全が確認されている森なんだけど、歩きやすいとは別なんだよね。

「そうか…。今日は歩きやすいと良いな…」

 ウルも前回はかなり辛かったみたいだね。

 森の入り口まで来ると先生が生徒の名前を読み上げていく。返事をした生徒は森に入って行くんだけど…僕達のペアは最後だった。

「行くか…」

「うん」

 最後尾なんで先生も後ろからついてくる。

 う~ん、僕達…何かしたのかな?

 先生に見られていると思うと緊張するよ。

 森の中に入ると沢山の植物の匂いがしてくる。今の季節は花が沢山咲いているので甘い薫りもしてくる。

「あ!あの花変わってる。見たことないよね」

 僕が見つけたのは森の道から少し離れた木の上に咲いている青い花だ。

「ん~、どうだろうな。俺は花は詳しくないからな。そうだ!先生に聞いてみたらどうだ?」

 そっか、こんな時の先生だよね。

 僕は後ろを振り返って先生を呼んで見つけた花を見てもらった。僕達の後ろにいた先生は植物に詳しいので知っているだろう。

「ん?あれは…」

 先生が慌てて鞄の中から双眼鏡を出してじっくり見始めた。

 やっぱり珍しいのかな?

「す、凄い!これは発見だ!」

 いつもは冷静な先生がものすごく興奮している。その様子に僕とウルは驚いて顔を見合わせた。

「先生…?」

 僕が先生に声をかけると…。

「あんな暗い所に咲いている花をよく見つけたね!凄い!凄いよ!!あれは絶滅指定されているブルーブラッドという花だ!」

 ブルーブラッド?

 何だか聞き覚えのあるような名前だね。

「「ブルーブラッド??」」

 僕達が不思議そうにしていると先生が花について説明を始めた。

「ブルーブラッドは花の茎を切ると青い汁が出るんだけど、その汁は薬になるんだよ。薬の効果がすごすぎて人が沢山取ってしまって今は滅多に見つけられないんだ」

 そんなに凄いの?

「薬の効果って何ですか?」

「それは…」

「「え!!」」

 先生の話を聞いて僕とウルは驚きの声を出してしまった。

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