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47. 無事に契約終了?
しおりを挟む僕は呆気にとられていたけど、気を取り直して…。
「月を無くすのは無理ですね。変身を止めるのは…止めても良いんですか?ウルフ族の特徴ですよね。できるかどうかはやってみないとわからないんですけど…。あっ、毛は対処できると思います」
変身をできなくするのは身体の血を作り変えることで何とか出来そうな気もするんだよね。
たぶん…。
やったことがないからわからないけど。
「そうですか…。やっぱり月を無くすのは無理ですよね。この一族に産まれたことを恨むしかないのね…」
…やっぱりムキムキの肉体から出される可愛らしい声に少し違和感があるよね。
だけど落ち込んでいるのが見てわかるのでどうにかしてあげたいな。
「絶対にできますとは約束できませんが僕と契約してみませんか?そうすれば何かが変わるかもしれないですよ?」
ルフさんに近づいて行って窓から外を見上げた。
「あの綺麗な月を無くすのはもったいないし、ウルフ族の力の全てを無くすのも勿体ないと思います。僕もルフさんの願いが叶うように祈りますよ」
顔を上げたルフさんの目には涙が光っていた。
「ヴァンデ様…」
涙をぬぐいながら顔を赤くして僕を見つめているルフさんは月の光を受けていてとても綺麗に見えた。
「私…決めました。今すぐ契約をお願いします。それで、痛いのは嫌なので噛むのではなくてもうひとつの方法でお願いできますか?」
…って、やっぱりそうなるの~!?
何で残念な末っ子と言われる僕とキスをすることに皆そんなに前向きなの?
普段、学校では僕って居ないような扱いを女性から受けてるんですけど…夜はなぜ扱いが違うの?
それとも僕が知らないだけで"幸せのコウモリとキスをすると幸せに慣れる"みたいなジンクスとかがあったりするのかな。
あるとしたらそれはヴァン様のせいだと思うけど…。
はぁ~、また説得するのか。今回はスムーズにいくと思っていたのにな。
「え…と、ルフさん」
「はい」
何だかいろいろと吹っ切れた様な顔をしてるな。
「耳朶は痛くないみたいなので耳たぶにしませんか?そもそも僕が噛むと痛み止の効果があるみたいなので痛くても一瞬だと思いますし…。キスは未来の旦那さんに取っておいてあげてください」
もしも…もしもだよ、僕が今ルフさんとキスをしたとして、それがウルにバレたら…。
想像しただけで恐ろしいよ!今回の事でわかったのはウルがシスコンでルフさんの事を大事にしているってことだからね。そのルフさんに手を出したらそのまま結婚式が待ってそう…。
ルフさんが嫌と言うわけではないけど、これからもブラッディーボールを探すためにブラッディーガール達と会う事になるからね。絶対に浮気を疑われる可能性が高いよね。そんなのがウルに知れたら…。いくら友人でも容赦ないだろうな…。
あっ、遠い目になってたよ。
今は取り敢えず目の前のルフさんに集中しないとね!
「そうですか…では耳朶でお願いします」
何で少し残念そうなの?いや、僕の勘違いかな。そっか、一瞬でも痛いのが嫌なのかな。じゃあ、痛くないように慎重にやらないとね!
ルフさんは髪を耳にかけて耳朶が見える様にしてくれた。
僕はルフさんの耳に顔を近づけて…。
「痛くないようにしますから安心してください」
と言ってから耳朶に噛みついた。
今回は血を作り変える事を意識して少し長めにしてみた。
ルフさんは声をあげることもなく、ただ僕にされる事を受け入れてくれていた。
こうして何とかルフさんとの契約は無事終了したはずだった…。
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