38 / 169
38. 作戦成功?
しおりを挟む僕は学校を終えてすぐに家へ帰り、小屋を見に行った。
ヴァン様の様子を見に来たんだけど…。
頭を押さえて不機嫌そうだな~。寝てるのかな?
そう言えば学校に行く前に見た時は寝てたような…。父さんも小屋の前で倒れて…いや寝ていたから近づけなかったけどね。
もう夕方だし起きてるよね。
よし!気合いを入れるよ!!
僕はヴァン様と話をするために気合いを入れて話しかけた。
「あの…ヴァン様起きてますよね?」
『ああ…』
え?!チラリと僕を確認すると目を閉じちゃったんだけど。
「昨日…話したことについてなのですが…」
『昨日…どの話だ?』
あれ?覚えてるのかな。
「どのって…全部なんですけど…」
頭を押さえていた翼をもとに戻し、僕に顔を向けた。
『全部…。覚えているのはお前が謝った姿だけなのだが…。まだ他にもあるのか?』
やっぱり覚えてないんだ!
ここからは計画した通りに…慎重にしないと。
「え!?そうなんですか?昨日話した時は絶対に忘れない、忘れるわけがないだろう!ってすごい言ってたんですけど…。そうなんですね…」
僕は残念そうな顔をヴァン様に見せた。
『い、いや…覚えてる。もちろん覚えているんだが…今は頭が痛くて、ハッキリと思い出せないだけだ』
ふふっ、絶対に嘘だ。ヴァン様の目が泳いでるもん。
「良かった~。さすがヴァン様です!」
大袈裟に手を叩いて喜びんでいる様な演技をする。
「じゃあ、このヴァンボールをヴァン様にお返ししますね」
僕はアリナさんから返してもらったヴァンボールをヴァン様に渡した。小さい手だから両手で掴んでいる。
『…ヴァンボール?えっ?!このボールは…あれ?!』
ヴァン様がアタフタとしているのが可愛らしく見えるけど、言ったら絶対に怒られるよね。だから言わない。
「はい。昨日話しましたよね?アリナさんから預かって来たので明日、渡しますって…」
言ってないけどね。ニコニコ笑っていかにも言った感じを出してみた。
『は…いつの間に?えっ…しかも何故ヴァンボール?ブラッディーボールではないのか…』
ヴァン様が混乱してます。
「それも昨日言いましたよね?僕とアリナさんのブラッディーボールができたんですが、それが鑑定の能力だったのでそれで鑑定したんですって…僕、言いましたよね?」
有無を言わせない強行突破作戦!
酔っているヴァン様に話したことにして混乱させて、ヴァン様の怒りや説教を減らしてみよう!って考えてみたんだけど、今のところ上手くいってるよね。
『…えっ、いや…そうだったかな。鑑定か…どうなっているんだ?』
怒られないし、お説教もされない。ヴァン様は自分の記憶がないのに思い出そうとしている感じがする。覚えていないから『聞いていない!』『きちんと説明しろ!』とかが言えないんだよね。
どうやら僕の作戦は成功かな。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説



【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる