ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

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38. 作戦成功?

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 僕は学校を終えてすぐに家へ帰り、小屋を見に行った。

 ヴァン様の様子を見に来たんだけど…。

 頭を押さえて不機嫌そうだな~。寝てるのかな?

 そう言えば学校に行く前に見た時は寝てたような…。父さんも小屋の前で倒れて…いや寝ていたから近づけなかったけどね。

 もう夕方だし起きてるよね。

 よし!気合いを入れるよ!!

 僕はヴァン様と話をするために気合いを入れて話しかけた。

「あの…ヴァン様起きてますよね?」

『ああ…』

 え?!チラリと僕を確認すると目を閉じちゃったんだけど。

「昨日…話したことについてなのですが…」

『昨日…どの話だ?』

 あれ?覚えてるのかな。

「どのって…全部なんですけど…」

 頭を押さえていた翼をもとに戻し、僕に顔を向けた。

『全部…。覚えているのはお前が謝った姿だけなのだが…。まだ他にもあるのか?』

 やっぱり覚えてないんだ!

 ここからは計画した通りに…慎重にしないと。

「え!?そうなんですか?昨日話した時は絶対に忘れない、忘れるわけがないだろう!ってすごい言ってたんですけど…。そうなんですね…」

 僕は残念そうな顔をヴァン様に見せた。

『い、いや…覚えてる。もちろん覚えているんだが…今は頭が痛くて、ハッキリと思い出せないだけだ』

 ふふっ、絶対に嘘だ。ヴァン様の目が泳いでるもん。

「良かった~。さすがヴァン様です!」

 大袈裟に手を叩いて喜びんでいる様な演技をする。

「じゃあ、このヴァンボールをヴァン様にお返ししますね」

 僕はアリナさんから返してもらったヴァンボールをヴァン様に渡した。小さい手だから両手で掴んでいる。

『…ヴァンボール?えっ?!このボールは…あれ?!』

 ヴァン様がアタフタとしているのが可愛らしく見えるけど、言ったら絶対に怒られるよね。だから言わない。

「はい。昨日話しましたよね?アリナさんから預かって来たので明日、渡しますって…」

 言ってないけどね。ニコニコ笑っていかにも言った感じを出してみた。

『は…いつの間に?えっ…しかも何故ヴァンボール?ブラッディーボールではないのか…』

 ヴァン様が混乱してます。

「それも昨日言いましたよね?僕とアリナさんのブラッディーボールができたんですが、それが鑑定の能力だったのでそれで鑑定したんですって…僕、言いましたよね?」

 有無を言わせない強行突破作戦!

 酔っているヴァン様に話したことにして混乱させて、ヴァン様の怒りや説教を減らしてみよう!って考えてみたんだけど、今のところ上手くいってるよね。

『…えっ、いや…そうだったかな。鑑定か…どうなっているんだ?』

 怒られないし、お説教もされない。ヴァン様は自分の記憶がないのに思い出そうとしている感じがする。覚えていないから『聞いていない!』『きちんと説明しろ!』とかが言えないんだよね。

 どうやら僕の作戦は成功かな。
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