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35. ヴァンボール!?
しおりを挟むアリナさんの持っていたブラッディーボールを鑑定したら、想像していなかった結果が見えちゃった。
"ヴァンボール ヴァンの契約者が持つボール 効果 美容 ヴァンの血族に惹かれる"
ヴァンボール?!
ブラッディーボールでもブラックボールでもなく!?ヴァン様の名前がついてるの?
しかも、効果がおかしくない?
美容に良いのはまだわかるとしても"ヴァン様の血族に惹かれる"って何!?
だからアリナさんの僕に対しての反応が少しおかしいの!?
いや、これアリナさんから離した方が良いよね。だってこれを持っているせいで残念な末っ子の僕のことが素敵に見えている可能性があるんだよね?
それは可哀想だよ!
「アリナさん…このピアス僕に貰えませんか?」
アリナさんは一瞬戸惑うような様子を見せたけどすぐに笑顔になった。
「それはヴァンデ様のご先祖様からの預かり物と聞いてますので、どうぞお持ち帰り下さい。その代わり…」
その代わり…なんだろう?そこまで言うとアリナさんは顔を赤くしてモジモジし始めちゃった。
「その代わり…なんでしょうか?」
「その代わり…ヴァンデ様にまた会いに来ていただきたいのです」
「え!?僕にですか?」
「はい…。駄目ですか?」
これって…このヴァンボールの効果を受けてるのかな?日にちがたてば薄れてくる可能性が高いよね。それなら、僕の事もすぐに忘れてかれるかな。
「僕で良ければ…また会いに来ます」
もう一度くらい効果が薄れたかを確かめに来た方が良いよね。
「お待ちしていますわ。絶対に来てくださいね」
アリナさん…凄い嬉しそう。このボールってかなりヤバイのかな?効果ありすぎだ…。
「では、今夜はこれで…。おやすみなさい」
僕が帰ろうとするとアリナさんが僕のマントを引っ張った。何なんだ?!
「あの…キスはしていただけませんの?」
アリナさんを見たらもう目を閉じて、僕がキスをするのを待っているみたいな状態です。
…アリナさんって積極的過ぎて困ります!
これって…しないとマントを離してもらえないのかな。
最近の女の子は皆こんなに積極的なの?
確かに…僕の姉さんもアリナさんと似ているかもしれないけど…。
仕方ない…覚悟を決めるよ。
僕はマントを掴んでいる手にキスをして、力が緩んだ隙を見てマントをアリナさんの手から抜いた。
「また…手…」
アリナさんは不満そうに自分の手を見ている。
僕はアリナさんの婚約者ではないし、これ以上は無理ですから!
「アリナさん、おやすみなさい。良い夢を…」
僕はここから早く去った方が良さそうだ。
「あっ!?」
アリナさんはまだ何かを言いたそうだったけど、僕は振り返らずに家に帰った。
手にはヴァン様のヴァンボールを持って…。
さて…これからどうしようかな。
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