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30. やっぱりヴァン様って変わり者
しおりを挟むうん、知ってましたよ。
ヴァン様が変わり者だってことは…。
だけど…だけどね。
『なかなか良く出来ているではないか。この枝もぶら下がるのにちょうど良い太さだし、光りが入らないようにしてあるのも良いな』
母さん達が作った小屋を気に入ったみたいで、絶賛してるよ。
ヴァン様を捕まえる為に作ったのだと教えないといけないのかな?
「あの…ヴァン様実は…」
僕は意を決して真実を話そうとしたのだけど…
『わかっておるぞ。この小屋は幸せのコウモリを捕まえる為の小屋であろう?知っている』
…いや、だから前から言ってますが何でわかるの?そういう能力があるのなら僕にも教えて欲しいのです!
「知っていてどうして逃げないのですか?」
小屋から飛び出てきたヴァン様は僕の顔の周りを飛んでいた。
『これからの事を考えるとお前と一緒にいる方が良いと思ってな。お前の両親はいざとなれば催眠をかけて言うことを聞かすこともできるだろうし…』
最後に何か怖いことを言ってませんでしたか?
「催眠で言うことを聞かす…?」
『普通、一族同士だと効きにくいこともあるのだが…お前の両親はヴァンパイアとしての能力がほとんどないから術をかけやすいのだ。よくお前のような能力が高い子供ができたものだ』
けなされているのか、褒められているのか…。
コウモリが高笑いしているのはなかなか不気味です。
「でも…どうして急に…」
前に家の中にいるのはダメなのかと聞いたときは良い返事をしなかったのに。
『事情が変わったのだ。お前から色んな種族の臭いがするようになってきたのでな…。急いで次のブラッディーガールを探した方が良いと判断したからだ』
色んな種族の臭い?
「学校に行っているから沢山の人達の臭いがついているのでは?」
僕の行っている学校は何百人といる学校だからね。
ヴァン様は小屋の中に再び戻って、枝にぶら下がった。
腕組みしてる…つもりかな。
翼の先をクロスしている。
可愛い…。
…って、そんな事を思っている場合ではないんだけどね。
『お前はまだわかっていないのだな…』
ヴァン様は小さなため息をひとつ吐き出すと、僕を睨み付けてきました。
ヴァン様が何かを言いかけたその時…。
「あ~、お腹いっぱいだよ。これなら一晩中でも観察に付き合えるよ」
父さんの声だ。戻ってきた!
「当たり前よ、今日は寝ないで生態を観察してどうやってこの家に住み着いてもらうかを考えないといけないんだから!」
母さんの興奮はまだ収まってないんだね…。
このままヴァン様をここに置いて行くか、それとも捕まえて僕の部屋に連れていくか…。
ど、どうしよう~!
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