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29. まさかの…
しおりを挟むやっぱり夕食なんて味わって食べることはできなかったよ。
急いで部屋に戻ってヴァン様が来ていないか探してみたけど…姿はなかった。
あ~、どうしよう?!
ヴァン様があの小屋に興味を示さなくて僕の所に来たとして…そこからも問題じゃないか?
ヴァン様の事だから説明しても、案外何事もなかったかのように、いつも通りにブラッディーガールを探しに行こうとしそうだよね。
…となると、僕の姿も両親に見られる可能性がある訳で…。
1人で部屋の中をぐるぐると回りながら考えていたら、下から両親の声が聞こえてきた。
「来たわ!来てくださったわ!」
「落ち着け…落ち着くんだ。まだ…安心できない」
この興奮した声…。もしかして!?
僕は部屋の窓から夜空を見た。
やっぱり!ヴァン様だ!!
ヴァン様…どうするかな?
ここで僕が窓から手を振って呼び込んだら良いのかな?
だけどそれだと何でコウモリを招き入れる事が出きるんだ?と言われそうだし。
様子を見る?…そう思っていたらヴァン様が小屋に気がついたらみたいだ。下を気にしながら飛んでいるのがわかる。
ヴァン様…どうする。
ヴァン様は小屋に興味をもったらしく、僕の部屋の窓ではなく小屋の方に飛んで行ってしまった。
僕は急いで下におりて、ヴァン様と両親の様子を伺った。
ヴァン様は小屋の回りを一周まわった後、中に入っていった。
え!ヴァン様入るの?!
…そして用意されていた枝にぶら下がっている。
えー!!!ヴァン様、いくらなんでもすんなり受け入れすぎじゃないですか~?!
それをこっそりと部屋から見ていた両親は…
「キャッ~!やったわ貴方!!ほら、額にアザがあるじゃない!やっぱり幸福のコウモリ様よ~!!間違いないわ!!」
母さんが倒れるんじゃないかというくらい興奮している。
「ほ、本当だ…。フィクションじゃなかったのか…」
父さんは信じられない…といった感じだけど、母さんと同じで興奮しているみたいだ。
「どうする?扉を閉じるのか?」
父さんがゆっくりと小屋に近づきながら母さんに聞いている。
「今日はダメよ。慣れてきてからじゃないと寄り付いていただけなくなる可能性があるわ」
…ということは今日は閉めないけど、いつかは閉めるということか。
今日の所は、ヴァン様が捕獲されないと知って少し安心したよ。
「じゃあ、これからどうする?」
まさかここで観察するなんて言い出さないよね。
「ここでコウモリ様を見ながらお祝いしましょうよ!」
えええ~!!!
「そ、そうだな」
父さんも反対しないの?!
2人は嬉しそうにお酒とおつまみを用意してくると言って部屋から出ていった。
今しかない!
「ヴァン様!早く僕の部屋に移動してください!!」
急いで小屋に行ってヴァン様に僕の部屋に行くように促したけど…。
『え~!ここが気に入ったからもう少しここにいるぞ』
だってさ~!
まさかの…小屋お気に入り認定です。
ヴァン様勘弁してくださいよ~!
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