25 / 169
25. 謎は深まる
しおりを挟む夜、夕食を食べて部屋に戻るとなぜかヴァン様が来ていた。学校が休みの日の前日だけという約束のはずなんだけどな。明日は学校があるんですけど…。
『おっ、戻ってきたな』
僕を見つけて嬉しそうにしているヴァン様だけど、僕は嬉しくないです。
「あの…今日は行けませんよ?明日は学校があるので無理です!」
僕は意を決して、ヴァン様に近寄って大きな声で言った。
最初に言っておかないとヴァン様に無理やり外に連れて行かれそうだからね。
『わかっておるぞ。今日は外には行かん。アイツの事を説明しに来たのだ』
アイツ…って、あの人のことかな?
「キュラドさんの事ですか?」
『そうだ』
僕も気になっていたんだけど、学校が始まって忙しかったから忘れてたよ。最近はウルの事が気になっていたしね。
『アイツは私たち一族と仲の悪かった一族の末裔でな…今はアイツしか残っていなんだが…』
キュラドさんしか残っていないって…寂しいだろうな。
「なぜ1人になったのですか?」
それってこの前ヴァン様がキュラドさんに怒っていたことが関係するのかな?
『お前にはまだ話していなかったが…我々ヴァンパイア一族は誰の血でも接種が可能な訳ではないんだが、もし身体に合わないものを接種してしまったら…』
「接種してしまったら…どうなるんですか?」
ヴァン様が黙ってしまった。
あれ?これはヤバイ感じがしますね。
『…死ぬな』
「え!死ぬんですか?!」
そういう大事なことは先に言ってほしい!ヴァン様っていつも説明が二転三転するんですよね。
ブラッディーボールがなぜできるのかを聞いた時だって恋愛する情熱があればできる!って言っていたのに…実際は少し…いやかなり違ってたしね。異姓が関係していることしかあってなかっよ。
この死ぬって言うのも大袈裟なだけなんじゃない?!
『アイツの一族は自分達の一族に合う血液の女性を探すのが面倒になって、他のヴァンパイアが契約したブラッディーガールを奪っていった。結果は…身体が衰弱して皆亡くなった。アイツにも止めろと言っているのだが…死んだのは関係ない!と言いはっていてな…』
それでヴァン様があんな必死になってお説教してたのか!
ん?じゃあ、ヴァン様はキュラドさんの事を嫌ってないってことなのかな。嫌っていたらほっておくよね。
そもそもブラッディーガールの血が自分に合うってどうやってヴァン様は調べたんだろう?
ブラッディーボールが光る以外に何か方法があるのかな?
だってキュラドさんはブラッディーボールを持っていなかったよね…。
持っていたら僕みたいに光で探せるはずだし…。
あれ…。
もしかしてブラッディーボールって僕達の一族だけなの?
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる