ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

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19. 誰?

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『今日こそはしっかり契約を結ぶんだぞ!お前は我が子孫なのだから、やればできる!…はずだ』

 ヴァン様に叱咤激励されながら昨夜訪れたアリナさんの家に向かって飛んでいます。

 結局のところ、契約方法はどうなったかと言うと…ヴァン様を何とか説得してキスをするのではなく手から…ということになりました。

 とても…とっても大変でした。

『お!今日は窓がすでに開いているぞ!待っているのではないか?』

 ヴァン様が興奮して翼をバタバタと多めに動かして飛んでいる。…それって後で疲れません?もう良いお歳なんだから考えた方が良いですよ…とは口に出せない。

 興奮していたヴァン様の様子が急変しました。

 ある方向を見つめて止まっています。

 どうしたのかな?

 ヴァン様が見つめる方向を見てみると…。

「久しぶりだな…。まだそんな姿をしているのかジジイ!」

 目の前に、僕達と同じ様に黒いマントを来た男性がいました。

 濃紺の長い髪を風になびかせて、青白い顔は月の光に照らされて不気味に感じます。瞳は緑色で綺麗だし、顔もイケメンの部類なんだけどね…なんだろう少し怖く感じる。

 あれ?今気がついたけど…この人も僕達と同じで空を飛んでる!

 この人もヴァンパイアなの?

『誰がジジイだ!相変わらず口が悪いな。お前もまだしぶとく生きていたんだな』

 ヴァン様の知り合いには違いないみたいだけど、仲は良くないみたいだね。

「そっちはジジイの子孫か?」

 ジジイって…。ヴァン様のことだよね。挨拶をした方が良いのかな。

 どうしようかと迷っていたらヴァン様が代わりに返答してくれました。

『そうだ』

「フン!お前の一族は相変わらずの間抜け顔をしているな。そんな顔でブラッディーガールを作ることができるのか?」

 男は胸の前で手を組んで僕の事を見下げた状態でふんぞり返っています。

 この人…嫌いです。

 僕はともかくヴァン様はイケメンですよ。少なくとも貴方よりはね…と言ってやりたいけど言えない気が弱い僕…。

『そんな心配はいらない。もう決まっているからな』

 ヴァン様は男の目の前で翼をバタつかせて風を男の顔にあてて挑発するように話しているよ。

 ヴァン様の心臓って毛が生えてるのかな?

「もしかして、ここのアリナか?」

『「え!!」』

 驚いて、ヴァン様と声が重なっちゃったよ。

『まさか…お前…』

 ヴァン様…怒ってる?声がいつもより低い。

「ああ、いただこうと思って催眠をかけた…」

 もしかして、それで窓が開いてたの?

『なんて事を…』

 ヴァン様の怒りが増しているみたい。凄い顔で男の事を睨んでる。

「最後まで聞けよ!催眠をかけてキスをしようとしたが彼女が持っていたブラッディーボールに邪魔をされて契約は出来なかった」

 ブラッディーボールが邪魔をした?

 どうやって?

 …というか、この人何者なの?!






 

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