18 / 169
18. 私の一族 (アリナ視点)
しおりを挟む私の一族には女性にだけ伝えられる言い伝えがある。それは物語の様な話しで、真実かどうかはわからない。だけど100年以上伝えられている。
コウモリを連れた美しい人が現れたら必ず契約を結びなさい。そうすれば女性の夢が叶う…。
美しい人って女性なの?とおばあ様に聞いてもおばあ様もわからないと答えた。
「私も子供の頃におばあ様から聞いた話だから、はっきりと覚えていないのよ…。私はそんな人に会うことはなかったし…。残念よね…」
おばあ様が頬に手をあてて首を横に傾ける。
「残念?なぜ、残念なのですか?」
私はおばあ様がなぜそんなに残念だと思うのか知りたかった。そんなに会いたい人?
「ん~、そうね~。この話をしてくださったおばあ様は子供の頃の私の目からはとても若く見えたのよ。確か…あの時おばあ様は45歳くらいだったと思うのだけど20歳代くらいにしか見えなかった…。私もおばあ様の血を受け継いでいるのだから同じ様になるのだろうと思っていたのだけど、実際は違っていたのよ。だからこれはきっとコウモリを連れた美しい人が関係しているのだわと思ったの。私は会えなかったから若さを保てなかったのだと思っているから残念だと思ったのよ」
私はその時、思いだしました。
我が家にあるおばあ様のおばあ様の自画像はとても若い頃が描いてあると思っていたが、ある日裏に書かれている年月日を見て驚いたのです。
20歳代くらいだと思っていたが、年月日から計算すると、どう考えても50歳は超えているのです。
流石におかしいと家族と話し合ってみた結果、年月日を書き間違えたのだろうということで終わったのだけど…あれは間違ってなかったのねとその時は幼いながらに衝撃が強くて覚えていました。
今はその話をしてくださったおばあ様も天国に召されて話ができないけど、生きていらっしゃったなら私の話を是非聞いて頂きたかったわ…。
「まさか私が言い伝えのコウモリを連れた美しい人にお会いできるなんて…」
朝起きた時は夢かとも思いましたが、窓が少し開いていたのを見て夢ではないと確信しました。
美しい人…少年だったけど、月光に照らされて神秘的な美しさが漂っていた。
あの美少年はいったい何者なのかしら?
気になりますが…おそらくまたすぐに会える様な気がしますので、その時に聞いてみようかしら。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説



【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる