ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

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12. 早く説明して下さい

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 僕のブラッディーボールの淡い光が地上に近づくにつれて強い光を放ち始めた。それを見たヴァン様が僕に建物の屋根に降りるように指示をしたんです。

「ヴァン様、どうしたんですか?」

 この建物にブラッディーボールがあるのかな?

『光が強くなったということはブラッディーボールを持つブラッディーガールが近くにいるということだ。まだお前にきっちりと説明をしていなかったと思ってな』

 …ヴァン様が真面目に話をしてくれているんだけど、僕は集中できない。

「ヴァン様、この体制は何とかなりませんか?」

 実はヴァン様の居場所が問題なんです。屋根の上に鳥のように居るのかと思っていたでしょ?

 なんと…僕の顔に張り付いているんです!

 しかもヴァン様の身体は逆さま状態で顔が僕の目の前にあって、身体は額から頭にかけて乗っかっているんです!

 こんなので真面目な話…聞けないよね?!

『仕方なかろう!顔を見て話すには飛び続けているか、張り付くかしかないのだ!』

 いや、他に方法があると思う。何か…。

「そうだ!ヴァン様、もう一度僕の血を吸いませんか。そうすれば人間の姿になれるのですよね?」

 その方が話も聞きやすい。僕は血を吸われても痛くないし、それに…能力がまた上がるかも…。

 僕って悪い子かも?

『もう一度か…。確かにそれもありだが…いやしかし…』

 ヴァン様は悩んでいるみたい。

 ヴァン様…知らない人が僕達の今の姿を見たらコウモリに襲われている人間の子供にしか見えないと思うよ。誰かに驚かれる前に早く結論出しましょう。

『…そうだ!お前、腕を前に出してみろ』

 僕の腕?何するつもり?

 僕は不思議に思いながらもゆっくり腕を前に出した。

 すると顔に張り付いていたヴァン様が顔から離れて飛び立ち今度は僕の腕にぶら下がった。

 そう…つかまっているのではなく、ぶら下がっているんだ。木にぶら下がるみたいに。

 いや、ヴァン様…これは僕の腕が辛くなるよね?

『どうだ!これなら良いだろ!!』

 自慢げにしてますが、これは無しでしょ。

「ヴァン様…僕の腕がもちませんよ」

 僕が反論するとヴァン様が僕を睨んできました。

『お前は本当に我が子孫なのか!情けない!!コウモリの一匹や二匹を腕にぶら下げる事ができないなんて恥ずかしいぞ!!!』

 いえ、別に恥ずかしくはないと思います。そもそもコウモリを腕にぶら下げている人がいたらヤバイ人として噂をされて、違う意味で恥ずかしいと思います。

『あ!お前はまた私をバカにしたような事を考えているだろう!』

 だからナゼわかるのか教えて下さい。…って言うか今はこんな口論をしている場合ではないと思うんですけど~!!!

 ヴァン様、早く説明してください!
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