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7. まだ続くよ誕生日の夜
しおりを挟む僕の誕生日の夜はまだ続いています。
「ヴァン様、お聞きしたいのですがブラッディーボールはどうやって増えるのですか?」
そもそも産まれた時に握って出てくるだけでも不思議なのに、それが増える?謎すぎです!
ヴァン様が再び僕の顔に張り付いてきました。ドアップでヴァン様の顔が…目がつぶらで可愛いですねって言ったら怒られるかな。
『お前…本当に我が一族の子孫なのか?本当に、まだブラッディーボールが1つしかないのか?』
ヴァン様は器用に僕の顔を翼で覆って揺らしている。
「はい。増えるなんて知りませんでした」
僕の言葉を聞いたヴァン様は僕の顔から翼を離して床に落ちた。
「大丈夫ですか?!」
僕が拾い上げようとするとヴァン様に翼で手を払われました。
『情けない子孫の助けはいらぬ!』
…ご立腹のご様子です。
『あ~、情けない。確かにここ何百年と子孫達を見てきたが…ブラッディーボールを持って産まれてきた者は少なかったが…まさかここまで衰退しているとは…。やはり何としても探し出さなくてはならないようだな』
ヴァン様はヨタヨタとなりながらもカーテンのレールまで飛びながら独り言のように話しています。
僕の質問には答える気がないみたいですね。
『…コホンッ!良いか…ブラッディーボールは感情の高ぶりによって生まれてくる』
感情の高ぶり?まだよくわからないな。でも答えてくれただけでも、よしとしなければいけないのかな。
『私の若い頃は、沢山の美女達と恋愛をしてブラッディーボールが数えきれないくらいにあったものだ』
一瞬だけしか見れなかったけど人間の姿のヴァン様は確かにイケメンだったからモテたんだろうな。だけど…。
「恋愛をすればブラッディーボールが出てくるってことですか?」
僕には恋愛をする自信がない。
モテたことが無いしね。ほら、昼間は目を細めているから、残念な末っ子って噂をされているのもある。言い訳かもしれないけど…。
お母さんとお姉さんは「夜にデートすればどんな女性でも落とせると思う」と、訳のわからない事を言っていたけど。僕には理由がわからない。
悩んでいる僕を見てヴァン様がイラついたように話しかけてきた。
『そうではないが…恋愛をする情熱があれば増えると言うことだな。お前には情熱が足りないのではないか?』
情熱か…。無いかもね。
「あるか無いかで言えば無いと思います」
ヴァン様は驚いた表情になった後頭を抱えてしまった。恥ずかしがって顔を隠しているようにも見えて可愛い…なんてヴァン様には言わないけどね。
また翼で叩かれそうだ。
『こんな者に私の運命を託さなくてはいけないのか…。しかし、何百年と待ってようやく私の声が聞こえる者に出会えたのだし…。あ~、もう仕方ない。コイツに託すしかない!』
ひたすらブツブツと独り言を言っていたヴァン様が意を決した様に僕を見てきた…というか睨まれているみたい。
『良いか!よく聞け!これからお前に大事な任務を授けるぞ!』
右の翼を僕に向けてバタつかせているけど、これって人間でいうとこの指差しのつもりかな?
可愛いくて見いってしまうけど話しに集中しないとね。
大事な任務って何だろうね?
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