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6. 一族の掟
しおりを挟むコウモリ男さんに渡された紙の束に書いてあったのは僕の一族の知らない話だった。
一族の掟
1. ブラッディーボールを持って産まれた男児は秘密にせよ
2. ブラッディーボールは必ず身につけて大事にすること
3. 産まれた時に持っていたブラッディーボールを失くすと人間ではいられなくなるので注意せよ!
4. 成長するとブラッディーボールが増える事があるが大事にせよ
5. もしも増えた全てのブラッディーボールを失くしてしまうと永遠の呪いにかかるので注意せよ!
ブラッディーボールを失くさなければ良いからね~!子孫よ人生楽しめよ~!!
いや最後軽すぎじゃない。ご先祖様って…。
『読めたか?』
いつの間にかコウモリ男さんはまたコウモリの姿に戻っていた。
「…はい」
…というか、このコウモリ男さんが人間からコウモリになったのは3番目の掟の産まれた時のブラッディーボールを失くしたからなのかな?
『ブラッディーボールについて理解したか』
「たぶん…?」
コウモリ男さんはお怒りのご様子でまた僕の顔をバシバシと翼で叩いてきた。
まあ、そんなに痛くないんだけどね。
『たぶんとはなんだ!?』
だって、さっき読んだばかりだから驚きや戸惑いがあって、いつもの僕の感じじゃないんだもん。
『私はこの日を何百年と待っていたというのに…。ナゼお前はそんなにマイペースなのだ!』
…ん?なんだか気になるフレーズがありませんでしたか。何百年…?
「え!?何百年も生きてるんですか!」
そういえば5番目の掟にあった永遠の呪いって…え?!永遠に死なないとかってことなの!?
『お前みたいにマイペースな者でも気がついたみたいだな。私はお前の何代も前の先祖だ。私もブラッディーボールの持ち主だった』
やっぱり!!!
コウモリ男さんは僕を叩くのを止めてカーテンのレールにぶら下がっている。
『私は沢山のブラッディーボールを持っていたのだが…いつの間にか全てを恋人たちに渡してしまっていた。そして永遠の時をコウモリの姿で過ごす事になってしまったのだ』
それ!それだよ!!気になったのはブラッディーボールが増えるというところ。
「あの~コウモリ男さん」
僕は名前がわからないのでコウモリ男さんって呼んだけど、どうやらお気に召さなかったみたい。
『そんな呼び方は止めろ!私にはヴァンという立派な名前があるのだ』
ヴァンさん…コウモリの姿で胸を張って威張られても、可愛い感じにしかなってないので威厳はゼロですよ。
「え…と、ヴァンさん?」
コウモリにジロッと睨まれたけど、つぶらな瞳なんだよね~。怖くないのは黙っておこう。
『ヴァン様だ!私はご先祖様だぞ』
はい、そうですね。
このやり取り長そう…。僕の誕生日の夜はまだまだ続きそうです。
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