ブラッディーガールを探せ!

縁 遊

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4. 夜の訪問者

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 パーティーが終了し、疲れきって部屋に戻りベッドに倒れこむようにして寝転んだ。

 姉さん…何も僕を令嬢達の中に放り込まなくても良いと思うんだけど…。

「はあ~。婚約ね…興味ないな~」

『嘆かわしいな。それでも我が一族の子孫なのか?!』

「え?!」

 何処からか声が聞こえてくる…けどこの部屋には僕しかいない。

「え…幽霊?」

『誰が幽霊だ!失礼な!!…というかもしかして私の声が聞こえるのか?!』

 もう一度周りを見るが人の姿は見当たらない。

 やっぱり幽霊…。

 背筋がゾッとしてきた。

 ベッドから這うように下りて部屋のドアまで行こうとしたら僕の顔に何かが張り付いて前が見えなくなった。

『何処に行くつもりだ!私を置いて行くでないぞ!』

 ん?!声の主はこの張り付いている物体なのか?

 僕は目元に張り付いたそれを剥がした。

「…コウモリ?」

 それは黒くて夜に見かけるあのコウモリで額に赤い薔薇の様なアザがあった。どうして部屋の中にコウモリがいるんだろう?窓…開けてなかったよね?

 それに何でコウモリが人間の言葉を話してるの?

『お前、ナゼ逃げるのだ!』

 ナゼって言われても…。怖かったからなんだけど。幽霊がいるかもしれない部屋に居たいと思う人はそんなにいないよね。

『私の声が聞こえているのだろう!答えぬか!!』

 …何だか偉そうな話し方のコウモリだよね。いったいなんなんだろう。

 コウモリは僕の顔をペチペチと翼で叩いてくる。…痛いんだけど。

「もう!顔を叩かないでよ。痛いよ!」

 僕は目の前にいるコウモリを両手で捕まえたて睨んだ。

『お前が答えぬからだ!』

 僕に捕まっているのにまだ偉そうにしている。人間が怖くないのかな。普通じゃないよね?

「ただのコウモリじゃないの?」

 疑問を口にしたら、コウモリはつぶらな瞳を大きく開けて顔を輝かせた。

『わかるか!やはり私の子孫だ!!』

 ……?

 そう言えばさっきも我が一族の子孫って言ってたような気がするけど、コウモリが僕の先祖なんて聞いたことないし、ありえないよ!

『あ!疑っているな。今はこんな姿をしておるがブラッディーボールさえ戻れば人間の姿になることができるんのだ!…ただ今は手元にブラッディーボールが無いゆえ…』

 何で、コウモリがブラッディーボールを知ってるの!?

 本当にこのコウモリ何者!?




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