2 / 169
2. 15歳の誕生日
しおりを挟む「いや~、めでたいな~!!一族の期待の星であるわが息子フルドが15歳の誕生日を迎えるなんて」
大声ではなしながら泣いているのは僕の父親のヴラド伯爵家当主のルドルフです。
銀髪の長い髪の毛を後ろで1つに結び、ブルーサファイアの様な瞳を持つ、年齢がいっているわりにはかなり若く見える美中年だ。
「もう~、貴方ってば泣きすぎですわ。もうすぐお客様がいらっしゃるのですからしっかりしてください」
父親を叱っているのは僕の母親のマーシャです。艶やかな藤色の髪にシルバーの瞳をした僕の自慢の美人母です。
「父さんは相変わらずですね」
颯爽とあらわれたのは僕の兄のマルドです。サラサラストレートの長い銀髪に髪と同じ色の銀の瞳をした世間で噂の18歳の美少年騎士です。
「あら、お帰りなさいお兄様」
そこ後ろに姿を見せたのは僕の姉のルーシャです。母と同じ藤色の髪に父と同じ瞳の色を持つ両親の良い所どりをした17歳の美人の姉です。
「フルド…今日も眠たそうな顔をしているのね。本当に昼間の貴方は別人ね」
姉がため息をつきながら僕の頬に触れ話しかけてきます。
眠たそうな顔…世間では僕の事を残念な末っ子と言っているのを知っています。
僕の一族は美人が多い事で有名なのに末っ子の僕は…かろうじて父親の瞳の色は継いでいるものの目が小さすぎて分かりにくいし、髪色は黒で地味と噂をされているんです。
だからって残念はないよな!
それに…目は小さいのではなくて昼間は太陽が眩しくて目を開けることができないだけで本当は小さくないんだ!
夜はパッチリと開いてるよ!
まあ、こんな事を言っても負け惜しみと言われそうだから他人には言わないけどね。争い事は苦手だし、僕は平和に暮らしたい。
だけど…。
「15歳…もうそろそろ先祖返りの能力が開花してもおかしくないと思うぞ。楽しみでしかたないな」
父さん…勝手に決めつけてプレッシャーを与えないでほしいです。
「貴方ってば、フルドは大器晩成タイプなのよ。焦らないで待ってあげないと」
母さんも…勝手に決めつけてる。大器晩成って…能力が開花するのは絶対なんだね。
僕がブラッディーボールを持って産まれてきたせいで誕生日ごとにこんな会話になるんだ。僕は能力なんて無くても良いからのんびり暮らしたいと思っているのに…。
何でマルド兄さんがブラッディーボールを持って産まれて来なかったんだろう…。兄さんは剣術の達人だし勉強もできるのに…。
僕は学園の勉強も普通だし、剣術も人並み…。兄さんに勝てるものなんて無いんだけどな。
一体僕にはどんな能力が秘められているんだ?
僕が一番知りたいよ。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説


セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる