ブラッディーガールを探せ!

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2. 15歳の誕生日

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「いや~、めでたいな~!!一族の期待の星であるわが息子フルドが15歳の誕生日を迎えるなんて」

 大声ではなしながら泣いているのは僕の父親のヴラド伯爵家当主のルドルフです。

 銀髪の長い髪の毛を後ろで1つに結び、ブルーサファイアの様な瞳を持つ、年齢がいっているわりにはかなり若く見える美中年だ。

「もう~、貴方ってば泣きすぎですわ。もうすぐお客様がいらっしゃるのですからしっかりしてください」

 父親を叱っているのは僕の母親のマーシャです。艶やかな藤色の髪にシルバーの瞳をした僕の自慢の美人母です。

「父さんは相変わらずですね」

 颯爽とあらわれたのは僕の兄のマルドです。サラサラストレートの長い銀髪に髪と同じ色の銀の瞳をした世間で噂の18歳の美少年騎士です。

「あら、お帰りなさいお兄様」

 そこ後ろに姿を見せたのは僕の姉のルーシャです。母と同じ藤色の髪に父と同じ瞳の色を持つ両親の良い所どりをした17歳の美人の姉です。

「フルド…今日も眠たそうな顔をしているのね。本当に昼間の貴方は別人ね」

 姉がため息をつきながら僕の頬に触れ話しかけてきます。

 眠たそうな顔…世間では僕の事を残念な末っ子と言っているのを知っています。

 僕の一族は美人が多い事で有名なのに末っ子の僕は…かろうじて父親の瞳の色は継いでいるものの目が小さすぎて分かりにくいし、髪色は黒で地味と噂をされているんです。

 だからって残念はないよな!

 それに…目は小さいのではなくて昼間は太陽が眩しくて目を開けることができないだけで本当は小さくないんだ!

 夜はパッチリと開いてるよ!

 まあ、こんな事を言っても負け惜しみと言われそうだから他人には言わないけどね。争い事は苦手だし、僕は平和に暮らしたい。

 だけど…。

「15歳…もうそろそろ先祖返りの能力が開花してもおかしくないと思うぞ。楽しみでしかたないな」

 父さん…勝手に決めつけてプレッシャーを与えないでほしいです。

「貴方ってば、フルドは大器晩成タイプなのよ。焦らないで待ってあげないと」

 母さんも…勝手に決めつけてる。大器晩成って…能力が開花するのは絶対なんだね。

 僕がブラッディーボールを持って産まれてきたせいで誕生日ごとにこんな会話になるんだ。僕は能力なんて無くても良いからのんびり暮らしたいと思っているのに…。

 何でマルド兄さんがブラッディーボールを持って産まれて来なかったんだろう…。兄さんは剣術の達人だし勉強もできるのに…。

 僕は学園の勉強も普通だし、剣術も人並み…。兄さんに勝てるものなんて無いんだけどな。

 一体僕にはどんな能力が秘められているんだ?

 僕が一番知りたいよ。




 
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