運命なんて信じません

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41. 幸せな時間

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 私の家を出発してから何時間たったのか…。

 もう日が暮れて夕日が美しい海を見ながら明石大橋を渡っています。

「すごい綺麗!」

「そうだね。あっ、ここ人気らしいけど寄っていこうか。」

 …ということで、淡路のサービスエリアに立ち寄ることになりました。

「ここって何が人気なんですか?」

「まあ、見ればわかると思うよ。」

 見ればわかる?見てわかる人気なもの…なんだろう。

 車を駐車して外にでる。長時間同じ体制でいると身体が固まっているから大変ですよね。車から降りてすぐに身体を伸ばしましたよ。

「向こうに行こう。」

 指差した方は明石大橋がある海の方向です。

「うわぁ…。」

 目の前にあったのは遊園地で恋人たちが乗る定番のあれでした。

「大きな観覧車ですね。しかもライトアップされてるし…綺麗。」

「これに乗らない?」

「でも…。」

 私は見てしまいました。この観覧車は有料なんです。

「実は…もうチケット買っちゃったんだよね。乗ってくれないと無駄になるんだけどな…。」

 いつの間に!

「乗ります。」

 夕暮れはあっという間に日が落ちて、もう辺りは真っ暗になっています。観覧車に乗っても真っ暗な海が見えるだけでは?と思いながら乗り込みます。

 しかし…。

「うわぁ…神戸の夜景が見えるんですね。綺麗…。」

 良い意味で裏切られました。海を挟んで向こう側に位置する神戸の夜景がキラキラと輝いて見えます。

 私と向かい合う席に座っていた凌さんが、急に私の前に跪きました。

「え!?どうしたんですか?」

「葵ちゃん…君は信じていないかも知れないけど、僕にとって葵ちゃんは運命の人だという思いは変わらないんだ。これからの人生を僕と一緒に最後まで過ごしてくれないかな?」

 凌さんが、どこに隠していたのかマジシャンの様に指輪を私の目の前にだしました。

 …これってプロポーズだよね。

 驚きのあまり頭が真っ白になりました。

 黙っている私の左手をとり薬指に持っていた指輪をはめてくれます。

 ダイヤがついた可愛い指輪です。これって前にテレビを見ていた時に私が可愛いって言っていた指輪だ。私が言った何気ない言葉を覚えてくれていたんだ…。

 運命の人という占いの言葉にこだわっていたけど、凌さん自身を見ると素敵な人だよね。

 凌さんとこれからの人生を一緒に過ごす。

 家族の事とか気になることはお互いにあるけど…。2人ならどんな問題も越えていけるのかもしれない。

 私の答えは…。

「私で良ければ…最後まで凌さんと一緒に過ごしたいです。」

「ありがとう。」

 私達は夜景が見える観覧車の頂上で抱きしめあいキスをした。

 幸せの涙がこぼれ落ちる。

 私は幸せだな…。












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