運命なんて信じません

縁 遊

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27. デートのお誘い

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 愛される幸せって…織糸に言われてからずっと考えているんですけどピンとこないんですよね。

 元カレと付き合っていた時も私が元カレにアレコレプレゼントして喜んでもらえたら幸せ~!って感じでしたから…。

 そもそも、元カレから愛されていたしるし…ってなんでしょうか?

 もちろん大人のお付き合いだったのでプラトニックではなく肉体関係もあったので、それを愛されていたしるしとするなら愛されていたになる?

 いや、だけどこれって欲望に近いよね?

 う~ん、哲学的になってきたわ。

 そう言えば、元カレに私のどこが好きになったのかも聞いたことがなかったな~。

 あれ?好きから愛にはいつ変わるんだ?

 …ますます沼だよ。

 わからない。


「葵ちゃん、また何か悩んでるの?僕は見ていて飽きないから良いけど。」

 気がつくといつものイケメンスマイルがドアップになっていました。

「ち、近いです。」

 心臓に悪いわ。私は占一さんの体を押した。

「僕達は付き合っているんだからこれくらいは許容範囲でしょ?」

 …そうでしたね。

 付き合うことになってから占一さんの態度が違うというか…。

 まず距離感が近くなりました。

 気がつくとすぐ近くに座っていることが多くなって忍者かと思うくらい気配がしないからいつも驚かされるんです。驚いた私を見て「可愛いね」って言って眺めてるんです。

 それから…気がついた人もいらっしゃると思いますが、私の呼び方が変わりました。

 ある日、「葉山さんって呼んでいたら距離が縮まらない気がするから今から葵ちゃんって呼ぶね。」といきなり宣言されてから葵ちゃんと呼ばれています。

 因みに私にも名前で呼んでほしいと言われたのですが…ハードルが高いと拒否しました。

 今でも私の心拍数は通常時より高めになっているんですよ!これ以上は…無理です。

「葵ちゃん、今週のお休みは何か予定ある?」

 今週は…。

「折り畳みの傘が壊れてしまったので買いに行こうかと思っていますけど…急なご予約とかがありましたか?」

 占一さんが少し驚いた顔をする。

「葵ちゃんは仕事熱心だよね。僕なんか煩悩で葵ちゃんをデートに誘おうと思ったのに…。」

 あ…デートのお誘いだったのか?!

 前は、ほとんど自分からデートの約束をしていたから人から誘われることを考えていなかったわ。恥ずかしい…。

「あ…すいません。デートに誘ってもらえて嬉しいです。」

 占一さんの手が私の頬に触れてきた。

「顔…赤くなってる。」

 いや、それされると余計に赤くなりますから!

 私の目線は泳ぎまくっている。まともに占一さんの顔を見ることはできません。

 恋愛マスターの女性なら相手の瞳を見つめるくらいはするのかな?

「本当…可愛い。」

 思い出しましたが…占一さんって私より年下でしたよね?年下の男性に可愛いなんて言われるのは…どうなの私?

 これって、女性として見られているからオッケーなの?

 それとも、私のこの価値観は古いの?

 織糸にも、あんたは何時代を生きてるの?って言われたことを思い出しちゃった。

「にゃ~。」

 白いモフモフさんを見て占一さんの手が私の頬から離れます。

「白玉…邪魔しちゃダメだろ。」

 白玉先輩!ナイスタイミングですよ。今日は旦那様の小豆さんも一緒なんですね。

「あれ?白玉…家族増えてる?」

 白玉先輩と小豆さんの後ろに白黒のミックスした毛色の子猫ちゃんが2匹ついてきています。

「可愛い~!!」

 いや~、白玉先輩と小豆さんの子供だから可愛いのは当たり前なんですけど…可愛い~。

「おいで…。」

 占一さんが子猫に手を伸ばすと2匹は白玉先輩をチラリと見てから占一さんに近づきました。

 ゆっくりと指を近づけて匂いを嗅がせてから体を持ち上げています。

「お前達の名前を決めないとね。白玉はその為に連れてきたんだろう?」

「な~!」

 え…白玉先輩…返事しました?

 まさか…ね。

「ん~、そうだな~、前の子供は真っ黒だったからあんこしたけど…白黒ミックスか…ぜんざいと大福なんかどう?」

 いや、可愛い名前ですけど…なぜいつも和風?いかも和菓子系?

「な~!」

 また返事!…偶然なの?!

「良し!決まり!!元気に育てよ~。」

 嬉しそうな顔してるな。良いパパになりそう…って、別に2人の未来を想像した訳じゃありませんよ!ただ単に子猫に対しての接し方を見てて思っただけですからね。

「あ、葵ちゃん話が途中になっていたけど今週のお休みは空けておいてね。僕とデートしよう。」

 子猫達とじゃれながらも顔を私に向けている占一さんの姿…動画撮ってSNSでながしたらバズるんじゃない?っていうくらいの眩しさです。

 くぅ~、心拍数はあがりまくりだよ!

 しかもデート…。あっ、返事してない!

「はい!」

「ふふっ…良かった。間があったら断られるのかと思ったよ。なぁー、大福、ぜんざい。」

 子猫達に頬すりすりしてますよ…。

 萌え死ぬってこういう時につかうのかな…。

 眼福すぎて鼻血が出そうですが大人なので我慢します。

 …というかデート。

 あれ…着ていける様な服持ってたかな?

 


 

 





 




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